
キッチンパネルとはどんなもの? その特徴と種類、キッチンタイルとの違い
※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
キッチンをリフォームする際、選択肢の1つに挙げられるキッチンパネル。キッチンの内装を考える時には、キッチンパネルの素材や特徴を理解して、自分の目的に合ったキッチンを実現したいところです。
本記事では、理想的なキッチンをつくるためのポイントであるキッチンパネルの選び方についてご紹介します。
キッチンパネルとは

キッチンパネルとは、主に調理スペース周りの壁に取り付けるパネルのことです。コンロが発する熱や調理中の油はねなどから壁を守るために、耐火性や耐汚染性を高める目的で使用されます。
様々な素材や多彩なデザインのものがあり、多くの家庭で選ばれています。
素材の種類とそれぞれの特徴
キッチンパネルは見た目の美しさだけでなく、機能性や耐久性などを兼ね備えた重要なキッチンアイテムですが、素材によって特徴が異なります。ここでは“ステンレス”“アルミ”“メラミン不燃化粧板”“ホーロー”の4つの主要なキッチンパネル素材について見ていきましょう。
●ステンレス
ステンレスは、熱に強く、耐食性(腐食・錆びに耐える性能)に優れています。調理後のメンテナンスもしやすいです。金属特有のクールな印象があり、インテリアの選択肢として好みが分かれることもあります。
●アルミ
アルミは、ステンレスと似た特性を持ち、光を反射する性質があるのでキッチン内が明るく見えます。ステンレスに比べて安価で加工がしやすいのですが、表面がやわらかいため、取り扱いには注意が必要です。
●メラミン不燃化粧板
メラミン不燃化粧板は、硬質合板にメラミン樹脂を浸透させたシートを重ね合わせて加工したもので、耐水性と耐久性に優れています。石目調や木目調など様々なデザインバリエーションがあり、それぞれのインテリアスタイルに合わせて豊富な種類から選べるところが魅力です。
●ホーロー
ホーローは、金属の表面にガラス質のコーティングを施した素材で耐久性や耐熱性があり、ガラスのもつ美しさと高級感が魅力です。また、ガラス質の表面コーティングが油汚れや水垢を付きにくくし、掃除がしやすいという利点もあります。ホーロー素材は磁石を使えるので、壁面にマグネット付きの収納ラックやレシピを貼ることもできます。ただし、ほかの素材と比べると、キッチンパネル本体価格のコストがかかる傾向にあります。
キッチンパネルとキッチンタイルの違い
キッチンの壁面を美しく機能的に仕上げるために使用される素材として、キッチンパネル以外にキッチンタイルもあります。ここでは、キッチンパネルとキッチンタイルのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
●キッチンパネルのメリット・デメリット
キッチンパネルの最大のメリットは、その施工の容易さです。パネル自体が大きな面をカバーするので、施工時間が短縮できます。耐水性が高く、目地などの継ぎ目がタイルに比べて少ないため、清掃も非常に簡単で日常のメンテナンスが楽に行えます。また、キッチンパネルを採用すれば、金属やホーロー、メラミン不燃化粧板など多様な選択肢からインテリアに合わせて素材を選べます。
デメリットとしては、メリットでもある大判サイズゆえに見た目がシンプルになりがちな点が挙げられます。
●キッチンタイルのメリット・デメリット
キッチンタイルの魅力には、耐熱性の高さとデザインや素材の豊富なバリエーションがあります。サイズにも幅広い選択肢があり、個性的なキッチンを演出できます。
デメリットには施工費が挙げられます。取り付け作業に手間がかかるので、キッチンパネルに比べると施工費が高くなることがあります。また、キッチンタイルには目地があります。目地に付着した油汚れは染み込みやすいため、お手入れにはこまめなお掃除が必要です。
キッチンパネルの選び方
キッチンパネルは、キッチンの機能性やインテリアのデザイン性を高めるために欠かせない要素なので、素材によるメリットを考慮して選ぶことが重要です。
では、キッチンパネルの選び方には具体的にどのようなポイントがあるのでしょうか。
●耐久性や清掃性
キッチンは油汚れが発生しやすい場所なので、油汚れに強いキッチンパネルを選ぶことが肝心です。油汚れに強い素材として代表的なメラミン不燃化粧板やステンレスは、表面が滑らかで油汚れを拭き取りやすく、掃除の手間を軽減します。また耐久性が高く、施工当初の見た目を長く維持しやすいというメリットもあります。
●色
キッチンパネルの色選びは、重視する点で変わります。
汚れを目立ちにくくしたいのであれば、グレー系やアイボリー系といった中間色のキッチンパネルがおすすめです。
キッチンに高級感や重厚感を出したいのであれば黒系の色、落ち着いた雰囲気にしたいのであればブラウン系や木目柄のキッチンパネルを選ぶと良いでしょう。濃い色だと個性的すぎるかもしれないと迷うなら、明るさや清潔感を演出できる定番の白系の色を選ぶと安心です。
●デザイン
キッチンパネルは実用性だけでなく、デザイン性も重要です。家全体のインテリアに調和するデザインや色を選んだり、逆にキッチンだけがらりと雰囲気を変えるなど、個々の選択に合わせて楽しむことができます。
中でもメラミン不燃化粧板はデザインが豊富で、モダンなスタイルからナチュラルな木目柄まで多様な選択肢があり、思い通りのキッチンをつくり出せます。
石目柄から銘木柄までデザイン豊富なDAIKENの『グラビオ』
これまでご紹介してきた中でも、デザイン性や機能性に優れているのがメラミン不燃化粧板のキッチンパネルです。またDAIKENでは基材がダイライト(高圧岩綿複層板)の様々なキッチンパネルを取り揃えています。
●熱・水・汚れに強く、抗菌性能をもつ『グラビオLA 石目・抽象柄』

『グラビオLA 石目・抽象柄』は、抗菌性能をもつ鏡面調仕上げの壁材です。細菌の繁殖が気になるキッチン周りにおすすめです。
●傷や水に強く、抗菌性能をもつ『グラビオLA 木目柄』

『グラビオLA 木目柄』は、抗菌性能を付加し、光の反射を抑えたマット調壁材です。大判サイズなので、腰壁から天井の高さまで目地の数を少なく仕上げることができます。
(※)ガスコンロなどの火に近い場所への設置は、表面が変色したり、焦げることがあります。不燃材料としての性能は問題ありませんが、美観を損ないますのでコンロと壁面との間隔を150mm以上とるか、『グラビオ専用施工部材 防熱板600』で表面を保護してください。ただし、その場合でもコンロとの間隔は50mm以上設けてください。
まとめ
キッチンパネルについての理解を深めると、キッチンの美観と機能性を兼ね備えた空間づくりがしやすくなります。キッチンパネルは壁を保護し、長く美しい状態を保つだけでなく、メンテナンスのしやすさによって家事の効率を高めるでしょう。そして、家庭のインテリアスタイルに合わせて自由に選択できるデザインの多様性も、キッチンパネルの大きな魅力です。今回ご紹介した知識を参考に、理想的なキッチン空間を実現してください。
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執筆者
志鎌のり子(しかまのりこ)
一般社団法人日本模様替え協会 理事/COLLINO一級建築士事務所代表。日本女子大学住居学科卒業、五洋建設でマンション・ビルの設計監理/内装デザインを10年担当。その後、日本ERIにて住宅検査など10年担当、設計・検査・審査した住戸数は延べ5,000件以上にのぼる。現在は部屋を「機能による空間分け」「動線」「収納」の観点から模様替えする独自のメソッドにより、機能的な部屋づくり/仕組みづくりなどを提案。書籍「家具配置のルール」のほかSUUMO、AERAwithKids、建築知識ビルダーズ、住まいの設計など著書多数。
保有資格:模様替えアドバイザー 一級建築士 建築基準適合判定資格者 住宅性能評価員 建物耐震診断士 フラット35適合証明検査員 など