高齢者の低体温には要注意！ 対策と高齢者施設に求められる設備

高齢者の体温は若い人よりも低くなる傾向にありますが、低体温には注意しなければなりません。低体温は自覚がないまま進行する場合があり、免疫力の低下やさまざまな悪影響をもたらす可能性があります。そこで、低体温を予防するための方法や、高齢者が快適に過ごすために施設に求められる冷暖房設備などを紹介していきます。

「低体温」と聞いても、冷え性との違いが分からず、似たようなものだと思われがちですが、実はこの2つは大きく異なります。簡単にいうと、冷え性は「手足の先が冷えてつらい状態」で、低体温は「身体の深部体温（脳や内臓など身体内部の温度）が35℃以下まで低くなっている状態」のことです。
冷え性は手足が冷えている自覚がありますが、低体温は自覚がないまま進行する場合があり、その結果免疫力が低下し、体調不良や病気になりやすくなるため注意が必要です。そして高齢者は、基礎代謝と体温調節機能が低下しているため、低体温になりやすい傾向があります。ご家族の方が見て、高齢者の方の判断力が低下していたり、動きが緩慢になっていると感じた場合には、すぐに病院で診てもらうようにしましょう。

低体温を予防するためには、バランスの良い食事と運動、身体を温める日々の生活習慣の対策が大切です。

＜食事＞

・日頃から冷たい飲み物は避け、温かい飲み物を飲む習慣をつける
・身体が目覚め温まりやすくなるので起床時に白湯をコップ1杯飲む
・緑黄色野菜と肉・魚は、身体を温める作用があるので、積極的に摂取する

＜運動や生活習慣＞

・体操や散歩など無理のない範囲での運動を続ける
・衣類は薄着や肌の露出を避け、下着から気温に合わせて調節する
・身体を芯から温めるためにャワー浴ではなく、湯船にゆっくりつかる

もちろん、暖房で室温が低くならないように調節することも忘れてはいけません。

家庭内では、ご家族が高齢者の健康を気遣うことができますが、施設で過ごす高齢者はどうでしょうか。高齢者が集団で生活をすることになる施設に関して、ご家族はどのようなことを求めているのか。DAIKENはご家族が高齢者施設に入居中の方112名にアンケート調査を実施しました。

＜高齢者施設を選ぶポイントは「立地・費用」＞

施設を選んだポイントを聞いたところ、1位は「立地、費用」が60.9％でした。また、居室や共有設備の充実さを選んだ方も40％いました。

＜高齢者施設に望むことは：心地よさ＞

また、施設に望むことを聞いたところ、「心地よく過ごせる」ことが80％と最も多い結果となりました。そのほかには、「安全への配慮」や「健康への配慮」があげられ、家族は支えていきやすい条件を優先しながらも、高齢者が快適に過ごせる設備・環境を求めていることがわかりました。

次に、高齢者施設の冷暖房設備へ関心についてご紹介します。

アンケートの調査結果から高齢者施設の冷暖房設備はエアコンであることが多いです。気になる点としては、夏場は冷えすぎ・乾燥、冬場は暑すぎ・乾燥があげられ、風が直接身体に当たることやホコリっぽくなることなどを懸念するご家族も一定層いるようですが、大多数のご家族が冷暖房設備についてあまり課題意識を持っていないことです。

ご家族は「高齢者が快適な入居生活を過ごすことができる施設」を望みながらも、冷暖房設備の種類や効果的な設置方法については十分に知見がないのかもしれません。実は、冷暖房設備には様々な種類があり使用者目線で選ぶことが重要です。施設設計の段階で冷暖房設備や環境について配慮しておくと良いでしょう。

先述のアンケート結果でもわかるとおり、日本における冷暖房設備はエアコンが一般的ですが、ここでは高齢者施設により適している冷暖房として「ふく射（放射）方式」をご紹介します。

熱の伝わり方には、エアコンなどの空気を暖める「対流方式」と、電気カーペットなどの直接触れることで熱を伝える「熱伝導方式」のほかに、ストーブなどのように遠赤外線などの効果で離れた場所にあるものに熱を伝える「ふく射方式」の3種類があります。

ふく射方式の冷暖房には、高齢者に適した特徴が多くあります。

＜肌や体に優しい＞

・エアコンのように風が直撃しないので、身体に当たる不快感もなく、肌が乾燥しにくい
・風でホコリが巻き上がりにくく、高齢者に優しい

＜部屋中どこでも快適＞

・部屋全体をムラなく均一に室温管理できる
・全館対応にすれば部屋間や洗面所・更衣室・トイレなども温度差がなくなり、高齢者に多いヒートショックの防止につなげられる

体温が低下しがちな高齢者が快適かつ安全に生活ができ、ご家族の方も安心して任せられる施設環境づくりのために、ふく射方式の冷暖房設備の導入も検討してみてはいかがでしょうか。