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介護スタッフの負担と保守費を抑えた高齢者施設づくりのポイントとは

多数の高齢者の方が生活をする高齢者施設では、車いす、杖、歩行器などを使用する方が多いため、一般的な住宅に比べて傷や汚れがつきやすい傾向があります。 本来であれば傷がついた箇所を修理したり、汚れを掃除したりすることが理想ですが、人員不足、多忙な業務、修繕費の捻出といった問題から、そのまま放置されてしまっているケースも多いようです。

そこで今回は、高齢者施設で働く介護スタッフの負担も考慮した、傷や汚れの対策方法についてご紹介します。

傷や汚れが目立つ施設は選ばれにくい?

傷や汚れが目立つ施設

そもそも入居者のご家族はどのようなところをチェックして高齢者施設を選んでいるのでしょうか。

ほとんどの場合は、食事の内容、レクリエーションの充実度、職員の対応、医療体制など、様々な部分を見ての総合的な判断によるでしょう。 しかし、実を言うと一番はじめに見られているのは「内装の美しさ」なのです。

食事の内容、レクリエーションの充実度、職員の対応、医療体制などは、実際に入居してからわかる部分が多かったり、口頭で説明されてもイメージがつかみにくかったりすることがあります。

その一方、内装の美しさは見学をすればすぐに認識できます。建物内を歩いて見学した際に「雰囲気」と「奇麗かどうか」は入念に観察されているのです。 自分の家族を入居させるなら、奇麗な高齢者施設のほうが良いと思うのは当たり前のことですよね。

では、高齢者施設に見られる傷や汚れにはどのようなものがあるのでしょうか。 いくつかの例を挙げると「車いすが当たってできたドア・壁のキズや凹み」「杖や椅子を引きずってできた床のキズ」「ぶつかってできたドアのゆがみ 」「食べこぼしによる汚れ」「失禁、便失禁など排せつ物の汚れ」などがあります。

様々な状態の高齢者が生活をするという特性上、高齢者施設には他の公共・商業施設と比較して傷や汚れがつきやすいという問題点があります。しかしながら、傷をその都度修繕したり、汚れをその都度掃除したりするのは現実的に難しい場合が多いと思われます。

それは、日々多忙な業務に従事している介護スタッフの負担を増やすことにつながり、修繕するたびに費用もかかるためです。

そこで、高齢者施設の建材にはあらかじめ「傷がつきにくく、汚れに配慮」したものを選んでおくことが重要です。

そうすることで修繕費を減らすことができ、施設の減価償却費を抑えることも可能です。

さらに、介護スタッフの作業負荷が軽減され、離職率の改善やサービスの向上も見込めますし、美しく衛生的な生活環境の維持ができることで、施設全体のイメージ向上につながります。

意外に多い減価償却費は事業主の悩みの種

施設の減価償却費について、まずは下のグラフをご覧ください。

●介護老人福祉施設の事業費用の内訳

事業費用の内訳

※ 各項目の数値は、それぞれ表章単位未満で四捨五入しているため、内訳の合計が総数に一致しない場合等がある。

出典:厚生労働省「令和元年度介護事業経営概況調査結果」、「平成19年度介護事業経営概況調査の概要」1−①  介護老人福祉施設(総括表)より平成16年データを抽出

このグラフは平成30年度の「介護老人福祉施設の事業費用の内訳」です。給与費が一番の割合を占め、次に多いのが減価償却費という結果になりました。

グラフを見ると給与費が他を大きく引き離していますが、優れた介護スタッフが離職することを避けるためにも、介護スタッフの待遇を手厚くすることは必須と言えるでしょう。

給与費に次いで割合が多いのは減価償却費ですが、平成16年(2004年)の調査結果によると減価償却費の占める割合は7.7%でした。平成30年度が8.5%ですので、やや増加の傾向にあります。

つまり、高齢者施設の事業運営は、補修やメンテナンスの費用をできる限り出さないような設備計画を立て、経営効率を上げることが重要といえます。

質の高いサービスを提供するためにも、介護スタッフへの待遇などは手厚くし、保守費を抑えながら運営を続けていくことが大切なのです。

事業主・スタッフに優しい「傷つきにくく、汚れに強い」内装材

「傷つきにくく、汚れに強い」内装材

選ばれる高齢者施設になるための、「傷つきにくく、汚れに強い」建材にはどのようなものがあるのでしょうか。

まず、車いすや杖などをぶつけがちな廊下・室内の壁には、傷や汚れに配慮した壁材を採用することで、ダメージを最小限に抑えることができます。また、ドアについても、車いすがぶつかりやすい箇所を保護するオプションが選べる商品があります。床材も、車いす対応で、傷や汚れはもちろん、水濡れや滑りなどに配慮したものを選ぶと良いでしょう。

今回、介護スタッフの負担と保守費を抑えた高齢者施設の運営についてご紹介させていただきました。

高齢者施設は特性上、傷や汚れに悩まされることも多いと思います。 長期的な目で見て、建材にも視線を向けていただき、「傷つきにくく、汚れに強い」建材の導入をご検討いただきたいと思います。

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