2025年問題は保育園にも! 待機児童問題から一転、利用児童数ピーク後を考えた施設設計

2025年問題

待機児童問題が社会問題として話題になったことは記憶に新しいと思います。その後さまざまな対策が行われた結果、待機児童数は2017年の26,081人から、2021年には5,634人と約5分の1まで減少しています(出典:厚生労働省「令和3年4月の待機児童数調査」)。
しかし、厚生労働省発表の資料によると、保育所の利用児童数は2025年がピークとなり、それ以降は子どもの数が減り続け、いずれ保育所が余る事態になる保育の2025年問題が発生する可能性が出てきました。

そのため、施設の運営を行う場合、今のうちから選ばれる保育園づくりを検討していく必要があります。そこで今回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)化による運営の効率化や優秀な保育士の確保・育成のほか、子どもの安全性に配慮した保育施設の設備についても紹介します。

保育所の利用児童数は2025年がピークに

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待機児童解消に向けた厚生労働省によるプランは、2021年4月から「新子育て安心プラン」がスタートし、待機児童の解消と、母親の就業率がさらに高まると予測し保育園の増設や各自治体の子育て支援策を増やすなど、2024年度までの4年間で約14万人の整備や増員を予定しています。

ところが「保育所の利用児童数が2025年にピークを迎える」とも発表され、保育園の需要と供給のバランスが崩れる恐れがあることも明らかになり、いわば保育における2025年問題となっています(出典:厚生労働省「新子育て安心プラン))。

理由としては、コロナ禍の影響によるものが大きく、自宅での保育が増えたことに加え、女性の就業率の増加より少子高齢化の速度が上回っていることがあげられます。
既に人口減少地域の保育園では、定員割れが発生しています。現在は安定した経営を行っている施設においても、今後は、保育所が余る事態を想定した取り組みをしていく必要がありそうです。

数ある中から選ばれる保育園になるために

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保護者が保育園に求めているものにはどのようなものがあるでしょうか。
ミキハウス子育て総研が幼稚園・保育所選びを行っているママ・パパに行ったアンケートによると、「家や職場からの近さ」が一番で、「保育士・先生の雰囲気」「園児の様子・雰囲気」が上位に上がっています。
保育士の雰囲気を良くするためには、余裕をもって快適に仕事が行える環境づくりが大切です。保育士に余裕ができれば、自然と園児の雰囲気も良くなるはずです。

保育士の業務は多忙になりがちですので、スムーズで効率的な運営ができるように、業務のICT化を含めた「保育のDX(デジタルトランスフォーメーション)化」も検討していきたいところです。DXとは組織全体の業務フローなどのデジタル化のことをいい、手間がかかる日誌・保育記録・保護者への報告・連絡網といった事務作業もデジタル技術を活用することで省力化することが可能です。園児の身体の動きを感知する体動センサーなども導入できれば、保育士の業務負担を大きく軽減できます。
働きやすい環境が用意できれば、保育士の業務にも余裕ができ、優秀な保育士の確保や育成もしやすくなります。
また、保育士の負担を低減するためには、施設の設備改善も効果的です。

子どもの安全性に配慮した設備づくりを

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安全に配慮した空間や設備を整えることは、子どもや保護者はもちろん、保育士にとっても安心につながる、施設の大きな強みとなります。全ての人に安全と安心感がもたらされることで、より質の高い保育が実施できるようになるのです。

例えば、子どもが指をはさむリスクを軽減するために、扉の戸先にクッション材やストッパーが付けられていたり、閉まる直前にゆっくり閉まる機能が搭載された室内ドアや、傷や汚れに強い床材などを採用することで、保育士の業務負担を大きく減らすことができます。

今後児童数が減り、利用者が施設を選ぶ時代が本格的に到来する前に、保育のDX化や設備面の見直しなど、保育士の負担を減らすための対策を検討してみてはいかがでしょうか。

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