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保育現場のヒヤリハット! 子どもの1/3が遭遇する「ドア挟まれ事故」を防ぐ安全対策

幼稚園・保育園・認定こども園などの施設では、子どもたちが毎日元気に動き回っていますが、時折「危ない!」と感じる場面に遭遇することもあります。このように、事故には至らなかったものの、ヒヤリとしたり、ハッとしたりした、事故の兆候は「ヒヤリハット」と呼ばれています。

保育現場で起こりうるヒヤリハットについて、考えられる事例や対策について考えてみましょう。

幼保施設のヒヤリハットとはどんなもの?

ヒヤリハット

1件の重大な事故があった場合、その裏には29件の軽微な事故、さらに300件のヒヤリハットが存在するという法則をご存知ですか? これはアメリカの損害保険会社に勤めていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが発表した労働災害における経験則で、「1:29:300の法則」や「ハインリッヒの法則」とも呼ばれています。

ヒヤリハットとして表面化した事例をまとめて、個々に対策を講じていくことで、重大な事故が発生する確率を減らせるという考え方です。そのため、ヒヤリハットの事例を職員間で共有し、丁寧に対策を講じていくことが大切です。

では、保育の現場で起こりやすいヒヤリハットにはどの様なものがあるのでしょうか。

主に幼保施設内の室外・室内で起こりやすいヒヤリハットをご紹介します。

≪施設内室外で起こりやすいヒヤリハット≫

・階段・段差のある場所で走り回っている

・動いているブランコに近づく

・遊具(滑り台・鉄棒・ジャングルジムなど)を間違った扱い方で遊ぶ

・コンビカー(乗り物型の玩具)で前につんのめる

・他児がいる場所で走り回っている

・プール、水遊びで水を飲んでしまう

・子どもが園外に出てしまう(門のカギを子どもが開けてしまう等)

施設内室外でのヒヤリハットでは、一歩間違えば転倒・転落・衝突につながってしまう事例が多く見られます。園外に出ようとする子どもも意外に多く、万が一子どもが施設の外に出してしまうと、交通事故や迷子になるリスクがあります。

≪施設内室内で起こりやすいヒヤリハット≫

・閉まりかけの扉に手や指を近づける

・座り方が悪く、不安定な状態で椅子を使う

・柵や棚の近くで大暴れする

・机の周囲で走り回る、机に乗る

・子ども同士でおもちゃを取り合う

・他児がいる場所で走り回る

・トイレで走り回って滑る

・おもちゃなどを口に入れようとする

・急いで食べ物を食べる

・アレルギーを持つ子どもが普通食を食べようとする

・午睡(昼寝)中にうつぶせ寝をしている(乳幼児突然死症候群の原因)

室外に比べて保育士や先生の目が届きやすいと思われがちな室内ですが、内閣府が調査した「教育・保育施設における事故報告集計」によると、現場で起きた事故のうち、施設内室外は48%で、施設内室内が40%、施設外が12%という結果が出ており、室内でも事故の比率が高いことがわかります。

そして、室内で起きる事故の中でも特に発生しやすいのは、子どもがドアなどに手や指を挟む事例です。

3人に1人は「挟まれた」経験あり!ドアの「挟まれ事故」とは

ドアの「挟まれ事故」

実際のデータ上でも、ドアでの「挟まれ事故」が多いことがわかっています。

東京消防庁の調査によると、2015年中に起きた子ども(0歳〜12歳)の「挟まれ事故」の要因は「手動ドア」によるものが最も多くなっています。この調査結果では0歳児から12歳児まですべての年代で、挟まれ事故のトップが手動ドアによるものとなっています。 さらに、救急搬送された子どもの数は2011〜2015年の5年間で932人もいて、その中の45人は指を切断しているという痛ましい報告もあがっています。

●挟まれ事故の要因上位5つ(2015年)

挟まれ事故の要因上位5つ

●手動ドアの挟まれによる子供(0〜12歳)の救急搬送人員(2011年〜2015年)

挟まれ事故の要因上位5つ

※出典:東京消防庁「救急搬送データからみる日常生活事故の実態(平成27年)」

東京都は調査の結果を受け、「ドアの安全対策」を推進する要望を発表しています。

手動ドアでの挟まれ事故がこれだけ多く報告されていることを考えれば、幼保施設におけるドアでの指挟み対策は必須といっても良いでしょう。

幼児の「ドアで指挟み」に配慮しよう!

幼保施設におけるドアの指挟み関連のヒヤリハットにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的には、以下のようなヒヤリハットが想定されます。

《室内ドアに関するヒヤリハット》

・窓のないドアのそばで遊んでいる

・カギを開けようとしている

・ドアストッパーの穴に指を差し込んで遊んでいる

・ドアを繰り返し開け閉めして遊んでいる

・大きな音を出そうと、ふざけてドアを勢いよく閉める

事故と直結しやすい場所なだけに、ドアの周りやドアで遊んでいる子どもがいる場合は、細心の注意が必要です。

ただ、どれだけヒヤリハットの対策が進んでも、保育士が子どもの行動をすべて見守り続けることには限界があります。

そこで発想を転換し、ドア自体を「挟まれてもケガをしにくい」構造にしてみてはいかがでしょうか。

ヒヤリハットは、発見と同時に防止策を考えていくことが重要です。

幼保施設におけるヒヤリハットは特に注意が必要ですので、早めの対策を心がけましょう。

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