インクルーシブ保育とは? 多様性を知り、子どもの自発性を育てる教育

インクルーシブ

海外で積極的に取り組まれている「インクルーシブ保育」をご存知でしょうか。共生社会の実現に向けた取り組みとして、日本でも取り入れる保育園がでてきています。
この記事ではインクルーシブ保育の概要やメリット・デメリット、国内外の採用事例などについてまとめています。また、多様性を受け入れる快適な環境づくりについてのヒントもご紹介します。

インクルーシブ保育とは? 

インクルーシブ

インクルーシブ保育とは、障がいの有無、年齢、国籍に関わらず、すべての子どもを受け入れる「インクルーシブ教育」を保育にも取り入れたものです。ただし、インクルーシブ教育とは、単にすべての子どもが同じ環境で教育を受ける、というだけの教育法ではありません。
障がいをもつ子どもに対して特別な対応をとらず、通常学級に参加させる形の教育をインテグレーション教育(統合教育)といいます。しかしこの教育法では、“同じ環境で教育をする”ということばかりが重要視され、障害をもつ子どもの個性を活かしづらい状況になりがちでした。
一方、「包み込む教育」という意味のインクルーシブ教育では、子どもたち一人一人のニーズに合わせるため、教育プログラム自体を変更することも厭いません。マジョリティの中にマイノリティを受け入れるのではなく、マジョリティ、マイノリティどちらの子どもの立場も重視していく立場を取ります。このように個人差や多様性を尊重したインクルーシブ教育を保育現場に取り入れたものが、インクルーシブ保育です。

インクルーシブ保育実施のメリット・デメリット

インクルーシブ

海外では、インクルーシブ保育を積極的に取り入れている事例が見られます。例えば難民を多く受け入れているスウェーデンでは、障がいがある子や多様な国籍を持つ子どもたちが一緒に生活するかたちで保育が行われています。就学前から民主主義と平等について学び、一人一人が大切であるという価値観を身に着けていく点も特徴的です。
日本でインクルーシブ保育を取り入れた事例では、年齢や能力が違う子どもたちを1つのグループにし、共通の課題に取り組むという保育方法を実践している保育園や、発達差にかかわらず子どもたちが自発的に取り組める遊びについて研究している幼稚園、また、障がいの有無にかかわらず0~18歳までの子どもたちが自由に行き来できる保育園などがあります。

では、実際にインクルーシブ保育を実施する上でのメリット、デメリットはどのようなものでしょうか。

・インクルーシブ保育のメリット

社会に出れば様々な年齢の人、外国人、障がいがある人など多様な個性を持つ人たちと生活するのが当たり前になります。保育園という早い段階で自分とは違う存在を知り、関わり方を学ぶことは、将来子どもたちが共生社会を実現するための基盤となるでしょう。また個人差を受け入れるインクルーシブ保育の中では、自発的な行動が自然に身につき、どのような立場にいる子どもも個性を伸ばしやすくなります。
保育士の側にもメリットがあります。インクルーシブ保育では、障がいに関する専門的な知識が必要とされる場面もあるでしょう。さらに個性と個性が衝突するため様々なトラブルも起こりやすくなります。大変な側面はありますが、その分保育スキルや専門知識を身に着ける機会が多く、保育士としての成長が期待できます。

・インクルーシブ保育のデメリット

インクルーシブ保育では、マイノリティ側の子どもが「自分は他の子のようにできない」と劣等感を抱く可能性が出てきます。多様性を尊重するには、まず子ども達が自分を認め、自尊心を高めていくことが大事です。どうしたら個人差を認めながら、自尊心を育んでいけるのか。この課題を追求していかなくてはなりません。
また、保護者の理解を得られるかどうかも難しいところです。マイノリティへの配慮を「特別扱い」と捉えられたり、通常保育に支障をきたすものとネガティブなイメージを持たれないよう園側で十分な説明を行う必要があります。
保育士にもより多くの知識やスキルが求められるようになり、多様性への対応、学習時間などの負担が大きくなります。

インクルーシブ保育の導入は、上記のメリット・デメリットを含め、保育士の人数や体制などもよく検討したうえで行うことが重要です。

設備を見直し、すべての子どもが快適に過ごせる環境を

インクルーシブ

インクルーシブ保育を実践する上では、生まれつきの能力や個性が異なる子どもたちがみな快適に過ごせる環境を整えることも重要です。
例えば、言葉をうまく話せない子や聴覚障害がある子どものために、室内を声が聞き取りやすい環境に整備するのも良いでしょう。ぜひ下記の記事をご覧ください。
⇒「保育環境を改善する「吸音設計」のススメ

教室の天井に吸音性のある素材を使うなどして反響音を抑えられれば、子どもだけでなく保育士のストレスを低減させることも期待できます。こうしたことは円滑なコミュニケーションを促進すると同時に、多様性を理解し、すべての子どもの自発性を育てる「インクルーシブ保育」を実現させるための手助けとなるでしょう。

このようなことから、最近はインクルーシブデザインという施設設計やデザイン手法にも注目が集まっています。それまで排除されてきた人々が抱える多様な課題をも解決し、それらの人々に配慮し、ともに考え、デザインを設計していくという概念です。

インクルーシブデザインについては、下記の記事でご紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
⇒「インクルーシブデザインの意味とは ユニバーサルデザインとの違いとピクトグラム活用

recomended item

おすすめ製品