地震被害を最小限にするためのヒヤリハット事例と対策! 災害に強い宿泊施設へ

地震 被害

日本は太平洋を取り巻く環太平洋火山帯に含まれており、世界的に見ても有数の地震大国です。そのため私たち日本人は過去に何度も地震を経験しておりますが、外国人旅行者の中にはこれまでまったく地震を経験したことがないという方も多くいます。
外国人旅行者が滞在中に宿泊施設で地震が発生した場合、初めての経験にパニックを起こす人も少なくありません。そこで、通常の防災対策に加えて、外国人旅行者に対する配慮や対応について事前に準備しておきたいこと、建物の耐震対策などについて紹介します。

地震大国のヒヤリハット事例を教訓に

地震 被害

地震大国である日本には、数多くのヒヤリハットや危害の事例が教訓として蓄積されています。地震発生時のヒヤリハットとして多いのは、物の落下や家具の転倒、照明やガラスなどの落下、地震酔い・めまいなどの体調異変です。宿泊施設としては客室内の家具・テレビなどの固定や、ロビーやレストランなどの照明やインテリアの転倒・落下防止対策をしっかりしておく必要があります。
また、宿泊客の安全確保、避難誘導の方法を全従業員に徹底するとともに、いざというときに従業員自身が落ち着いて行動できるよう、定期的に防災訓練を行うなど、日頃から防災意識を高めておくことも大切です。
大規模な宿泊施設であれば、旅行客だけでなく地域住民の避難所になる可能性があることも念頭に置いておきましょう。

事前に情報共有! 災害時の訪日外国人宿泊者への対応

地震 被害

多くの外国人旅行者を受け入れる宿泊施設においては、さらに特段の対応や配慮が求められます。イギリスやフランス、ドイツといった西欧と、オーストラリアやカナダなど、体感できる地震がほとんど起こらない国で生まれ育った人にとっては、地面が揺らぐなど未知の体験です。外国人旅行者が集団パニックの引き金になる可能性もあるため、初動で迅速かつ適切な対応ができるように準備しておきたいところです。
日本は地震が多い国であるということ、施設には地震に対する備えがあり安全であることをチェックイン時などに伝えておくとよいでしょう。

●想定される外国人旅行者の反応や行動

・地震・余震でパニックを起こす
・エレベーターで避難しようとする
・従業員への質問が殺到する
・他の場所に移動したがる

●施設側の事前準備

・災害発生時における外国人旅行者対応の指揮・命令系統を決めておく
・多言語での防災・避難マニュアル、館内放送用音声を用意しておく
・外国人旅行者のための情報収集先リストの作成

●地震発生後の対応例

地震発生直後は、迅速かつ落ち着いて外国人旅行者に何が起こったのかを説明し、建物が安全であることを伝えて安心してもらう必要があります。

・エレベーターやエスカレーターの使用禁止をアナウンスする
多くの日本人は知っていることですが、地震発生時や直後にエレベーターを使用すると停電などで閉じ込められるおそれがあります。外国人旅行者はそれを知らずにエレベーターやエスカレーターを使ってしまう可能性があるため、地震発生時はすぐに使用禁止の告知を多言語対応の館内放送で知らせる必要があります。

・安全確保と移動先のサポート
母国から遠く離れた日本で災害にあった場合、言語もわからず不安が募り、安全な場所への移動や帰国を希望する外国人旅行者がでてくることが想定されます。しかし、公共交通機関が停止しているような場合には、むやみに移動するより屋内にいる方が安全であることなどを丁寧に説明する必要があります。それと並行して、交通機関の最新運行状況を調べ、逐一情報提供をするようにします。

観光庁は外国人旅行者が不安なく旅行できる環境整備を目的に、外国人旅行者向け「伝わる表現」用語集と非常時対応マニュアルの作成指針を発表しています。

こちらも参考にしながら、事前に多言語のマニュアルまたは音声案内を準備しておくことも安全確保の助けになることでしょう。

観光庁「非常時における訪日外国人旅行者対応のための用語集について」

天井対策で地震被害を抑える

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宿泊者の安全を守るためには建物の耐震性能も重要です。日本の建造物の耐震性能は世界でも高いレベルにありますが、それでも東日本大震災では震源地から遠く離れた関東の建造物においても天井が落下する事故が起こり、その後安全基準の見直しが行われました。天井の落下は人体に大きな被害をもたらす可能性があるのは勿論のこと、落下した天井材が避難経路を塞ぎ新たな二次災害を生む危険性もあります。そのため、不特定多数が利用する宿泊施設においては耐震性能の高い天井工法をぜひとも取り入れたいところです。現在は施工性に優れた耐震天井も登場しているので、短期間での導入も期待できます。

日本の宿泊施設において、宿泊客の安全を守るためには、日頃からの防災対策や外国人旅行者への対応方法の事前準備、従業員との情報共有の徹底が大切です。
しかし何よりもまずは、人を守る建物の堅牢性が高くあってこそです。
今いちど、建物の耐震性能の見直しと安全性の確保を徹底しましょう。

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