童謡を歌う声も聞き取りやすい、反響音を抑えた耳に優しい空間づくり

童謡

保育園や幼稚園などでは、必ずといって良いほど童謡などの歌を歌う音楽教育の時間があります。子どもにとって幼保施設で歌を歌うことは、発育に欠かせない様々な成長効果が期待できる時間でもあるのです。ただ、教室の音環境が悪いと、せっかくの音楽教育も効果が低減してしまいます。

そこで今回は、幼保施設で童謡などを歌うメリットに加え、音楽教育に適した音が聞き取りやすい環境づくりについて考えます。

童謡を歌うメリットや効果とは?

保育園や幼稚園ではなぜ童謡を歌うのでしょうか。

それは童謡が子どものためにつくられた歌であり、この時期の子どもの成長に適した内容になっているからです。

例えば、童謡はわかりやすく美しい日本語でつくられているため、言語能力をスムーズに伸ばすことができ、ストーリーや情景を考えさせる歌詞は想像力を養います。赤ちゃんの時期から聞いて楽しむことができ、子どもから高齢者まで、年齢層を問わず歌えるため、みんなで歌って楽しめるのも魅力といえるでしょう。

他にも、童謡が持つメリットや効果としては以下のようなことが考えられます。

・歌を通して季節や行事を感じ取る

保育園や幼稚園で歌う童謡や子どもの歌には、行事や日本古来のイベントをイメージできるものがたくさんあります。また、「チューリップ」「水鉄砲の歌」「まっかな秋」「ゆきやこんこ」など、季節の移ろいを感じながら歌う歌も数多くあり、自然と季節や行事をイメージできる感性を育てます。

・様々な言葉の表現方法を知る

赤い葉っぱを「まっ赤だな」、雪の降る様子を「雪やこんこ」など、歌の中に出てくる物事や場面を指す言葉を通し、様々な表現を知ることができるのも童謡の特徴です。

・友達同士が一緒に歌うことで仲間意識を高める

声を合わせ、みんなで歌うことは協調性を育みます。小さな子どもも一緒に歌いながらリズムをとることで、楽しく爽快な気分が味わえます。一緒に歌を歌うという体験を通し、仲間意識も高められます。

・メロディーやリズムを歌で表現して音感を養う

言葉をメロディーに乗せて歌うことで、音楽の中のある拍子(ひょうし)を自然と感じることができます。また、美しいメロディーや音の高低を歌から感じ取り、身につけることもできるでしょう。

・歌詞を覚えることで記憶力を育てる

歌の歌詞を覚えることで語彙力が上がり、記憶力も養われます。

また、保育園や幼稚園によっては、「リトミック」を取り入れている施設もあるでしょう。リトミックとは、フランス語で「良い音楽」という意味で、スイスの音楽教育家エミール・ジャック・ダルクローズが提唱した音楽教育です。

具体的には音楽に合わせて自分で考えて体を動かすことにより、リズム感や表現力を身につけるだけでなく、想像力、集中力、協調性、社会性など、子どもの潜在的な能力を引き出して成長を促すもので、音楽の基礎能力向上に加え、人間教育も同時に行える教育法です。

このように歌を歌うことやリトミックを体験することは、子どもの様々な力を育てる効果が期待できるほか、歌を歌う楽しみや声を出すこと、体を動かすことなどでストレスを発散させることも狙いとして挙げられます。

音が聞き取りやすい環境とは?

音が聞き取りやすい環境とは?

ただ、施設内の音環境が悪いと、反響で音が聞こえづらく、気持ちよく歌が歌えない状況になります。幼保施設における子どもの集団生活では、歌以外にも常にわいわいと様々な声が飛び交って騒がしいのが日常でしょう。 子どもたちにかける声が通りにくく、声が枯れてしまう、ストレスを抱える、大声を出すことで子どもたちが更に騒ぐ……という悪循環になってしまうこともありますね。

音の大きさはdB(デシベル)で表現されますが、施設で発生する子どもたちの声や楽器が発する音量の目安70dB~100dBは、ゲームセンターの音量80dBを超えるレベルに相当することから、かなりの音量となっていることがわかります。 近隣からの苦情を気にして窓を閉め切るなどの対策をすると、室内にはさらに音が充満し、未発達な子どもの耳や保育士のストレスに対して良い影響はありません。

幼保施設における響きの指標

幼保施設における響きの指標

日本建築学会が発行する「学校施設の音環境保全基準・設計指針」の改訂版(2020年発刊)では新たに保育室の音響基準が設けられました。

●保育室の音環境に関する規準と設計指針

保育室の音環境に関する規準と設計指針

これらの音響基準を達成するためにおすすめしたいのが、吸音性能をもった天井材の導入です。天井材であれば、子どもが汚したり、遊んでケガをしたりする心配もないので、幼保施設の吸音材としてはうってつけです。実際に吸音材を設置した部屋では「絵本の読み聞かせを最後まで聞けるようになった」「全体的に静かになり子どもの小さな声にも気づきやすくなった」との声が聞かれました。子ども同士のコミュニケーションもスムーズになり、発音の発達などに対する好影響も期待できる、快適な空間を作ることができたようです。

大切な聴覚と言語の発達時期にある子どもたちの育成に役立ち、保育士のストレス要素を低減する効果も期待できる吸音材の導入について、この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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