データセンターの配線課題と対策|AI時代に対応する設計ポイントは?

データセンター

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。

仕事から私生活まで広くAIの活用が進む現代では、データ処理量の増加に伴い、データセンターの建設や設備更新の重要性が急速に高まっています。

データセンター内のケーブル配線は、機器の冷却性能や運用効率、耐震性、将来の拡張性などに直結するため、綿密な計画が求められます。配線計画を誤ると、ラックの増設がしにくくなったり、冷却不足による障害リスクが高まったりと、様々な悪影響をもたらします。

この記事では、AI時代に求められるデータセンターの配線方法や、建築設計で押さえておくべきポイントを紹介します。

データセンター(サーバールーム)とは?

まずは、そもそもデータセンターがどういった施設なのか、近年需要が増えている背景と併せて解説します。

●データセンターの概要

データセンターは、サーバーやネットワーク機器を収容し、情報システムを安全かつ安定的に稼働させるために設計された専門施設です。

単に機器を置くだけの施設ではなく、システムを「安全」かつ「ダウンタイム(※1)なく」稼働させるため、24時間365日の稼働を前提とした環境制御が求められます。そのため、電源の二重化やUPS(無停電電源装置 ※2)、非常用発電設備などの大容量電源システムを整備し、停電や障害が発生してもサービスが停止しない構成とします。

※1.システムやサービスが停止している時間のこと。※2.停電などの電力障害時に重要な機器へ電力を安定供給するための装置のこと。

データセンターに収容されるサーバーは常に強い発熱を伴うため、冷却設備の性能が稼働率を左右します。従って空調方式は床吹き出し方式や天井吹き出し方式、機器の近傍からのスポット冷却などが採用されることが多いです。加えて、AIに対応するための高性能なサーバーの普及に伴い、高発熱に対処できる強力な冷却能力が求められていると言えるでしょう。過剰な温度と湿度はIT機器の寿命短縮や誤作動につながるため、精密な空調設計による高度な環境制御が不可欠です。

また、外部回線の高速化も重要で、通信事業者との接続点を複数化し、遅延を抑えた安定的なネットワーク環境を構築する必要があります。

●データセンターの需要

近年、データセンターの需要は国内外で大きく拡大しています。クラウドサービスの利用拡大、動画配信やオンライン会議の普及、IoTデバイスの増加など、データ流通量の急増が要因の1つと考えられます。さらにAI技術の進化に伴い、大規模な学習処理を行うGPUサーバーが増加し、その高電力化・高発熱化に対応するため、新しいデータセンターの建設が加速していくと予想されています。

データセンターは金融取引や物流システム、行政サービス、社会インフラの根幹を支える重要拠点です。そのため信頼性の確保が重要であり、建築設計では耐震、電源、空調、セキュリティなど、さまざまな要素の考慮が必要になります。

配線計画もその一部で、運用効率や安全性、拡張性に大きく関係します。配線が整理されていない場合、トラブル時の復旧が遅れたり、ラック増設のための空間が確保できなかったりするため、結果として継続稼働性に影響します。

今後のデータセンター設計では、AIに対応するサーバーの普及を見据えた電源容量や空調能力の増強とともに、配線方式の最適化が欠かせません。設計者にとって配線の考え方を理解することは、データセンターの将来価値を左右する重要な視点となるでしょう。

データセンターの配線の種類

データセンターの配線方式は、主に「床下配線」と「架上配線」が採用されます。設備条件やラック構成に応じて配線方式を適切に選び、将来の拡張性と保守性を確保することが重要です。

●床下配線

床下配線は、二重床の下部スペースを利用してケーブルを通す方式で、国内のデータセンターで広く普及しています。

床を二重構造とすることで生まれる空間に、電源ケーブルや光ファイバーなどを収納します。ケーブル配線が室内に露出しないため、断線や誤接続、誤って踏まれるなどの物理的リスクを軽減できます。

不正なアクセスを防ぎやすい点も特徴で、セキュリティの観点から採用されるケースも多いです。ケーブル管理もしやすく、室内側にケーブルが見えないため、美観の確保にも役立ちます。

●架上配線

架上配線は、天井やラック上部の空間にケーブルラックやレースウェイを設置し、配線する方式です。架上配線には主に3つの方法があります。
・躯体から吊る
・ブドウ棚(鉄骨)から吊る
・吊り天井から吊る

以下で、それぞれの配線方法について解説します。

躯体から吊る

躯体から吊る方式は、建物の構造体にアンカーボルトを設置し、ケーブルラックやレースウェイを直接支持するもので、オフィスビルや一般建築で広く採用されています。

構造体に直接固定するため強度が確保しやすい点が特徴ですが、躯体から吊る長さによっては地震時に揺れが大きくなる可能性があるため、揺れ幅を想定した設計が求められます。

ブドウ棚(鉄骨)から吊る

ブドウ棚(鉄骨)から吊る方式は、天井裏に鉄骨製の架台を組み、そこからラックを吊るす手法です。階高が高い建築で採用されることが多く、長い吊りボルトで支持する必要がある状況に適しています。

ただし、重量があり施工手間が増えるとともにコストが増加するという課題があります。

吊り天井から吊る

吊り天井から吊る方式は、天井下地を利用してラックを支持する手法です。軽量化が図れる一方で、支持荷重の制限があり、過積載による天井下地の破損を防ぐため、設計段階での検証が欠かせません。

データセンターにおける配線の課題

床下配線と架上配線の両方式には特有の課題があり、AIに対応したサーバーの増加によって、従来よりも厳しい条件での配線計画が求められています。

●床下配線における課題

冷却を妨害する

AIに対応するサーバーの普及により、ラックあたりの電力消費と発熱量は従来よりも大きく増加し、冷却負荷が急激に高まっています。

床下配線では、ケーブルが床下空間に密集することで空調の気流を阻害し、冷気がラック内やラック前面に届きにくくなる問題が生じるおそれがあります。

結果として冷却効率が低下し、サーバーの温度上昇を招くため、熱暴走による故障リスクの上昇が考えられます。

床がサーバーの重さに耐えられなくなる

サーバーラック1台あたりの重量が増加している点も無視できません。

AI向けの高密度ラックは数百kgに達するケースもあり、二重床の許容荷重を超える可能性があります。床下配線は二重床で空間を確保するため、支柱間隔や床材の強度が冷却環境と同時に構造的負荷にも影響します。

重量超過による床のたわみや破損は重大な障害につながるため、設計時の荷重計算とラック配置の最適化が不可欠です。

●架上配線における課題

架上配線は床下配線の課題を補う選択肢として注目されていますが、こちらにも特有のリスクが存在します。

地震の影響を受けるおそれがある

天井付近に設置されるケーブルラックが地震の影響を受けるおそれがあります。

躯体から直接ケーブルラックを吊るす方式では、吊る長さが大きくなると地震時に揺れ幅も拡大し、ラックが振られて損傷する危険があります。また、躯体とケーブルラックの揺れ方が異なることで、コネクタなどの接続部に負荷が集中し、破断や落下につながる可能性も懸念されています。

ブドウ棚方式では天井裏に鉄骨架台を設けるため、構造的な自由度は高くなりますが、グレーチングに吊りボルトを使用するようなブドウ棚の場合は、吊りボルトが長くなることで地震時の揺れが増幅されやすくなります。揺れたケーブルラックが天井材に接触し、破損によって天井の落下を招くリスクも考えられます。特にサーバーラックの直上に架上配線が通る場合、落下による機器被害は重大であり、ブドウ棚の剛性確保など耐震検証が重要です。

吊り天井からケーブルラックを吊る方式では、天井下地材の許容荷重に依存するため、過積載が生じると下地が破損しやすくなります。データセンターでは大量のケーブルを必要とするため、ケーブル重量が想定以上に増えるケースも多く、設計段階での十分な検証が求められます。吊り天井方式は柔軟なレイアウト変更が可能ですが、耐震性については慎重な対応が必要です。

レイアウト変更が難しい

ブドウ棚方式は構造を天井裏に設けるため、後からのレイアウト変更が難しい点に注意が必要です。配線系統の追加やラック増設、配線のメンテナンス時には天井解体を伴う工事が発生する場合があるため、運用中のデータセンターでは現実的でない可能性があります。架上配線は利便性とリスクの両面を理解し、建物条件や運用計画に応じた慎重な選択が必要です。

データセンターにおける配線課題を解決するポイント

データセンターの配線課題を解決する方法の一つは、架上配線を採用しつつ、強度と安全性を確保した天井構造を設計することです。AIに対応したサーバーの導入により、ケーブル量が増える傾向があるため、天井からケーブルラックを安全に支持できる強度を確保しつつ、地震時の揺れを抑える構造が求められます。

中でも吊り天井方式は、レイアウト変更がしやすいことに加えて、トラブルシューティングの遅延も少なく、運用中の設備更新にも柔軟に対応できます。一方で、一般的な天井材では耐荷重不足になる可能性があるため、専用天井の採用が効果的です。

DAIKENの『サーバールーム用システム天井』は、最大300kg/mの耐荷重や耐震性を高める構造を備えています。縦横自由に吊り下げ可能なため、配線ルートの追加や変更も容易です。電気ノイズ低減と空調効率UPも期待でき、高効率で安全な環境づくりに役立ちます。

AI時代のデータセンターは、配線の安全性と拡張性を両立できる天井構造を選ぶことがソリューションの1つとなり、信頼性の高い設計につながります。

配線計画で変わるデータセンターの質

データセンターの性能は、電源や空調だけでなく、配線計画によっても大きく変わります。特にAIに対応するサーバーの増加に伴い、ケーブル量の増大や高発熱への対応が不可欠となりました。

安全性と拡張性を両立するには、強度と耐震性を備えた吊り天井を採用し、運用中でも柔軟に配線変更できる環境を整えることが重要です。

DAIKENの『サーバールーム用システム天井』に興味を持っていただけたなら、ぜひパンフレットで詳細な仕様をご確認ください。

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