岩綿吸音板(ロックウール吸音板)とは?特性や厚みの種類、石膏ボードとの主な違い
※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
岩綿吸音板(ロックウール吸音板)は、天井仕上材として広く普及している建材であり、意匠性だけでなく音環境の設計においても重要な役割を担います。近年はオフィスや教育施設、医療施設など、用途ごとに求められる音環境の水準が高まっており、吸音性能の理解が設計品質に直結します。
この記事では、岩綿吸音板の基礎知識や石膏ボードとの違い、施設ごとの採用メリットを解説します。
目次
岩綿吸音板(ロックウール吸音板)とは
ここでは岩綿吸音板という材料の基本性能を整理し、設計時に押さえるべきポイントを解説します。
●岩綿(ロックウール)とは
岩綿吸音板の原料の一つである岩綿(ロックウール)とは、製鉄工程で発生するスラグや玄武岩などを高温で溶融し、繊維状に加工した鉱物繊維です。製鉄時に発生した副産物の有効活用という側面もあり、資源循環の観点からも評価されている材料です。
●岩綿吸音板の主な特徴
岩綿吸音板は、岩綿(ロックウール)を主原料とした鉱物繊維を板状に成形した吸音材です。内部に空気を多く含む多孔質構造により断熱性を備え、また音エネルギーを熱エネルギーに変換して反射音や残響音を低減します。この仕組みにより、室内の温度や音環境を安定させる効果が期待できます。
また、鉱物由来の材料であるため、不燃性・耐火性に優れており、公共建築や大規模施設でも採用しやすい性能を有します。現在流通している製品にはアスベストは含まれておらず、安全性の面でも配慮されています。
主な用途は天井の仕上材であり、オフィスや学校、医療施設、商業施設など、多様な用途で標準的に採用されています。
●岩綿吸音板の厚みの種類
岩綿吸音板の厚みは複数の種類があり、一般的に9mm、12mm、15mm、19mmが主流です。厚みは主に吸音特性と断熱性能に影響を与える要素であり、用途に応じた選定が求められます。
吸音性能は、厚みによって周波数特性に違いが生じます。薄い岩綿吸音板は高周波音の吸収に優れ、会話音や機械音などの軽減に有効です。一方で、厚い岩綿吸音板は低周波音の吸収に寄与し、重低音や設備振動音の抑制に効果を発揮します。
断熱性能については、厚みが増すほど内部に含まれる空気層が増加し、断熱効果が高まります。
設計時には、対象空間の音環境と温熱環境の双方を踏まえ、厚みを選定することが重要です。
岩綿吸音板(ロックウール吸音板)と石膏ボードの違い
天井材として使用される材料には、岩綿吸音板(ロックウール吸音板)の他に石膏ボードがありますが、岩綿吸音板と石膏ボードは用途も性能も大きく異なる材料です。設計で迷いやすいポイントと、適切な使い分けを解説します。
●素材の違い
岩綿吸音板は、岩綿(ロックウール)を主原料とした仕上材です。一方、石膏ボードは石膏を芯材とし、両面を紙で被覆した面材であり、下地材としての役割も担います。
●使用される場所の違い
岩綿吸音板は、オフィスや会議室、学校など、音の明瞭性や静寂性が求められる空間の天井仕上材として多く採用されます。
一方、石膏ボードは住宅から非住宅まで幅広い建築物で、主に、壁・天井の下地や間仕切りの下地として使用されます。
●音への作用の違い
岩綿吸音板は、表面の微細な孔や内部の空隙に音が入り込むことで、音エネルギーを減衰させる吸音材です。
対して石膏ボードは、質量と気密性により音を反射・遮断する性質を持ちます。遮音壁や界壁など、防音用途で活用されることもあります。
●施工方法の違い
岩綿吸音板は繊維質で脆いため、石膏ボードなどの下地材に貼り付ける捨て貼り工法や、システム天井への施工が一般的です。
一方、石膏ボードは軽量鉄骨下地などに直接ビス留めが可能であり、構造面材としても機能します。施工方法の違いは、設計段階での納まりや工程計画、工期にも影響を与えるため、用途に応じた選定が重要です。
【施設別】岩綿吸音板(ロックウール吸音板)を採用するメリット
岩綿吸音板は、吸音性や不燃性を備えた天井材です。施設ごとに求められる音環境や安全性の観点から、採用するメリットを解説します。
●オフィス
オフィスでは、会話音や電話の着信音、空調設備の稼働音など、複数の音が同時に発生するため、音環境を整えることが重要です。
岩綿吸音板を天井に採用すると、室内で反射する音を抑えやすくなり、音環境を落ち着かせる効果が期待できます。音の響きを抑えることで会話が聞き取りやすくなり、作業に集中しやすい環境を保てます。
●学校・教育施設
学校や教育施設では、岩綿吸音板を採用することで、天井面での反射音を抑え、教員の声が明瞭に届きやすい環境をつくりやすくなります。
また、多くの児童生徒が長時間利用する施設では、安全性への配慮も欠かせません。岩綿吸音板は不燃材料としての役割も果たすため、内装制限や防火上の条件を意識する場面でも検討しやすい建材です。
●病院・福祉施設
病院や福祉施設では、静かで落ち着いた環境づくりが重要です。待合室や病室、廊下、スタッフステーションでは、人の話し声に加え、台車や医療機器、足音などが重なりやすく、音の反響が利用者の負担になることがあるため、岩綿吸音板の採用がおすすめです。
●商業施設・店舗
商業施設や店舗で岩綿吸音板を採用すると、過度な騒がしさの反響を抑え、店内の音の聞こえ方を整えやすくなります。物販店ではスタッフと来店者の会話がしやすくなり、飲食店では過度な騒音感を軽減しやすくなります。快適にショッピング・食事ができる場をつくれれば、利用者の再来店も期待できます。
●音楽ホール
音楽ホールでは、反射と吸音のバランスを調整しながら、目的に合った音場をつくることが重要です。上手く音環境をコントロールできれば、観客の満足度の向上が期待できます。
岩綿吸音板は、不要な反射音や過剰な残響を抑える材料として有効です。特に、天井面の一部で音の響きを整えたい場合には、他の防音材と組み合わせながら、空間全体の音響バランスを調整する考え方が重要になります。
●ホテル
ホテルでは、静けさと上質感の両立が求められます。ロビーや宴会場、レストラン、廊下、会議室などは利用人数や行為が時間帯によって変化しやすく、それぞれに適した音環境を整える必要があります。
岩綿吸音板を採用すると、共用部で発生する話し声や足音の反響を抑えやすくなり、落ち着いた印象の空間づくりにつながります。
また、ホテルでは内装材に意匠性だけでなく、防火性も求められます。岩綿吸音板は、天井面で音環境を整えながら、不燃材料として計画に組み込みやすい点が利点です。
DAIKENの岩綿吸音板(ロックウール吸音板)『ダイロートン』の特長
岩綿吸音板の代表的な製品である『ダイロートン』を例に、評価される性能と選定時の着眼点を整理します。
●ダイロートンの基本性能
『ダイロートン』は、製鉄時に発生するスラグを原料としたロックウールを板状に成形した天井仕上材です。軽量で施工性に優れながら、吸音性や防火性、断熱性といった内装材に求められる基本性能をバランスよく備えている点が特徴です。
吸音性能
表面に数多くの吸音穴を持ち、耳障りな残響音を抑制します。オフィスや教育施設など、会話の明瞭性や静穏性が求められる空間において、音環境の安定に貢献します。
防火性能
国土交通大臣認定の不燃材料であり、火災時の延焼抑制や煙発生の低減といった安全性の確保につながります。非住宅用途における内装制限への対応を考慮した場合でも、計画に組み込みやすい材料です。
断熱性能
内部に含まれる空気層により熱の伝達を抑制し、室内の温熱環境の安定をもたらします。天井面からの熱の出入りを軽減することで、冷暖房効果を保つ働きをします。
防カビ性能
カビの菌糸の分裂を阻害する特殊な防カビ剤を配合しています。カビの増殖を抑制するため、天井面の衛生状態を維持しやすくなり、医療施設や福祉施設などでの維持管理性の向上にも寄与します(※)。
※発生したカビを除去する効果はありません。 また、一部品目には防カビ性能は付与されていません。●基本性能に付加価値(機能)がプラスされた「プラスワン性能」
『ダイロートン』の一部シリーズでは、基本性能に加えて用途特化型の機能、「調湿性能」「ホルムアルデヒド対策性能」「消臭性能」などが付与されており、設計意図に応じた選定が可能です。
ダイロートンシリーズの『スクールトーン』には、基本性能に加えて「調湿性能」と「ホルムアルデヒド対策性能」が付加されています。
調湿性能
室内の湿気を吸収・放出することで湿度を調整し、結露・カビの発生や過乾燥を軽減します。学校や文教施設など、室内環境の安定が求められる用途に適しています。
ホルムアルデヒド対策性能
内装材などから放散されるホルムアルデヒドを吸着・分解し、低減することで、室内空気質の改善に寄与します。学校や文教施設、幼稚園、保育施設といった、長期的に室内環境の質を確保したい場所の設計に対応できます。
ダイロートンシリーズの『メディカルトーン』には、プラスワン性能として「消臭性能」が加えられています。
消臭性能
アンモニアなどの医療・福祉施設特有の臭気濃度の低減に効果が期待できます。共用部や居室における快適性向上を図るうえで、有効な選択肢となります。
吸音性や不燃性に優れた岩綿吸音板を活用して設計の品質を高めよう
岩綿吸音板は、音環境や温熱環境の向上、安全性の確保に役立つ建材です。設計においては、空間用途に応じた特性の理解と、厚みや施工方法の適切な選定が重要となります。
吸音と遮音の違いを整理し、石膏ボードなど他材料との組み合わせを前提に設計することで、性能を最大限に引き出すことができます。製品選定では、基本性能に加えて調湿や消臭といった付加機能にも着目し、用途に応じた最適解を導くことが求められます。
DAIKENが販売しているロックウール吸音板『ダイロートン』のより詳細な仕様や製品ラインアップを知りたい方は、以下のカタログをご確認ください。
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