音への配慮でホスピタリティを高める宿づくり くつろぎ、やすらぎ、リラックス効果も

くつろぎやすらぎ

宿泊施設の客室に求められるのは、なによりも快適であることです。くつろいで過ごせるよう施された客室づくりの工夫は、宿泊施設のホスピタリティマインドを体現したものといえるでしょう。
民泊を含む様々なタイプの宿泊施設が登場し、ネットにレビューが溢れる時代、旅行者が宿を選ぶための判断材料は増えています。その中で選ばれる宿になるためにはどのような客室づくりが求められるのか、そのヒントをご紹介します。
リラックス効果を与える客室づくりのポイントや、くつろぎややすらぎを感じさせる建材選びについて見てみましょう。

ホテルや旅館業界をめぐる現状は?

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2020年からの3年間、新型コロナウィルス感染拡大の影響で宿泊業界は大きなダメージを受けました。しかし、行動制限がなくなった2023年には旅行の需要が再び高まってきました。
国内宿泊施設の2023年8月の延べ宿泊者数(全体)は6,102万人に上っています。この数字が確定すれば、コロナ禍中の2020年同月宿泊者数2,860万人に対して約213%の増加を果たしたことになります。旅行需要は確実に復活しつつあります。
※出典:観光庁宿泊統計調査「2023年(令和5年)8月分(第2次速報値)」「宿泊旅行統計調査報告(令和2年1月~12月)

また、インバウンド需要で訪日外客数の増加傾向が続いています。2023年10月には2019年同月比約101%となる251万6,500人の外国人が日本を訪れました。新型コロナ感染拡大後、2019年同月比が100%を上回ったのは初めてのことです。
※出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2023年10月推計値)

注目すべきは、コロナ禍を経た旅行者の旅の目的が変化している点です。JTB研究所の調査(出典1)では、コロナ禍中の旅行目的として「リラックスする、のんびりする」を挙げた人が最多となりました。また、オリックス・ホテルマネジメントが2023年に行った調査(出典2)にて、旅の目的を「リフレッシュ/リトリート」と答えた人は、「前回の旅行」では18%でしたが、「今最も重要な旅行」としては32%となり、14%も増えています。このような調査からは、コロナ禍を経験した人々が旅行にもとめるものは、くつろぎ、やすらぎ、リラックス効果であるという傾向が見て取れます。
※出典1:JTB総合研究所「コロナ禍における日本人の国内旅行実態調査まとめ
※出典2:オリックス・ホテルマネジメント「旅の目的に関する消費者調査

宿泊施設からの情報発信はもちろん、旅行者側も気軽にSNSなどにレビューを投稿できます。旅行者としては宿泊施設選択の判断材料が豊富に手に入る時代といえますが、一方の宿泊施設側は「選ばれる宿作り」に一層の力を入れる必要があるでしょう。特に、くつろぎややすらぎを感じる居心地のよい客室づくりは欠かせません。
また、ホスピタリティを意識したお客様対応も重要です。ホスピタリティとは、人間味ある配慮や心遣いのことです。心地よい空間とホスピタリティにあふれた対応を合わせることで、リピーターと高評価を呼び込む宿を目指しましょう。

選ばれる宿にするための客室空間の演出

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選ばれる宿にするためには、コロナ禍を経た旅行客のニーズの変化に対応し、旅の疲れを癒せる、リラックス効果がある客室空間を演出したいところです。
例えば、天井材にルーバーを使用すると、立体感と奥行きを出すことができます。また、壁材選定においても工夫することが可能です。
壁材には、タイル、石材、木材、クロス、塗り壁など様々な種類があります。中でも、テクスチャーのある壁材を使用することで、ラグジュアリーかつ落ち着いたイメージを演出することができます。
間接照明の柔らかな光の揺らぎと組み合わせて壁材の陰影を際立たせれば、やすらぎを感じさせる心地よい空間づくりが実現できるでしょう。
また、客室の床材選定にも気をつけたいところです。デザイン性の高い木質フロアなら、カーペットにはないくつろげる木のぬくもりを感じさせつつ、高級感を演出できます。インバウンド需要が増えている現在、外国人でも利用しやすい土足対応の床材を採用するとよいでしょう。

魅力ある空間づくりには音への配慮も重要

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お客様にくつろいでもらうためには、閑静で落ち着ける空間を作り出す配慮も大事です。
宿泊施設には多くの人が集まるため、廊下や客室の足音、キャリーケースを引く音、ドアの開閉音、人の話し声など、多様な種類の雑音対策が必要になります。

落ち着ける空間を作りには、建材選びが重要です。
例えば、木質フロアは高級感を演出できる一方で、階下に音が響いてしまうことがあります。音に配慮するためには、防音フローリングや、遮音下地材を使用すると良いでしょう。
また、遮音性能のある壁下地材や天井下地材を採用することで、隣室の雑音を和らげることができます。

やすらぎやくつろぎを感じさせる「選ばれる宿」になるために、お客様のニーズを満たす方法を多方面から考えていきましょう。

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