2025年問題では事業承継も大きな課題に 事業を存続させるための対策とは

2025年問題事業承継

団塊の世代が後期高齢者になることで、様々な分野に影響を与える「2025年問題」。経営者の世界でも超少子高齢化は進んでおり、事業承継がうまくいかず廃業の危機を迎える企業が増えています。高齢経営者の増加に対し、後継者となる若い世代の人口が減っているためです。
業績そのものは好調でも、後継者がいなければ廃業せざるをえません。後継者候補には、親族、従業員、そしてM&Aにおける買い手などが想定できますが、どのような後継者を指名するにせよ、事業承継は計画的に進めていくことが重要です。現在の経営・資産状況を正確に把握し、企業価値を高めておくことが、事業承継成功のカギとなります。
この記事では、2025年問題を見据えた事業承継の概要、成功のポイントを解説します。また、あわせて、オフィスや店舗をリフォーム、リノベーションして企業価値を高める方法をご紹介します。

2025年問題で数多くの企業が廃業の危機に

2025年問題事業承継

2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、日本人口の4分の1を占めることになります。この超少子高齢化社会が医療、福祉など様々な分野に影響を与えることを総称して2025年問題といいます。
2025年問題は、事業経営においても例外ではありません。帝国データバンクの社長年齢調査(2021年)では、社長の平均年齢は60.3 歳と31年連続で過去最高を記録しています。また同調査では、70代の社長が約20% を占めていることや、80代以上の社長でも約3割 は後継者が未定のままであるとの結果が出ています。

出典:「全国「社長年齢」分析調査(2021年)」

また、中小企業庁は、2025年までに70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業経営者は、約245万人となると指摘しています。このうち、約127万人の後継者が未定であり、現状多くの中小企業が廃業の危機にあります。

出典:「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」

廃業する企業が急増すれば雇用先が失われ、経済にも大きな損失を与えることになります。 この問題を改善する方法の一つが事業承継です。

事業承継を成功させるには

2025年問題事業承継

事業承継とは、現経営者が後継者に企業・事業を引き継がせることを言います。後継者の選択肢としては、親族や従業員を想定する方も多いでしょう。後継者となるのに適した人材がいない場合は、事業全体を売却し、第三者に会社の運営を続けてもらうという方法もあります。これを合併(Merger)と買収(Acquisition)=M&Aといいます。
M&Aで優良企業に買い取ってもらえれば、従業員の雇用を守りながら事業の成長を期待できます。後継者を育てる時間がない経営者にとって、M&Aは合理的な選択肢と言えるでしょう。実際に、M&Aの市場は拡大傾向にあります。
ただし、企業の価値が低ければ買収先はなかなか見つかりません。M&Aを成功させるためには企業価値を維持向上させる努力が必要です。
身近な人間を後継者として指名し育成する、企業価値を維持向上させてM&Aを有利にする。いずれも思い立ってすぐには実行できません。事業承継には、計画性がとても重要なのです。

●「事業承継」と「事業継承」の違い

「事業承継」と似た言葉に「事業継承」がありますが、それぞれ違いはあるのでしょうか。「承継」には先代の精神・身分・仕事・事業など抽象的なものを受け継ぐという意味があり、「継承」には義務・財産・権利など具体的なものを受け継ぐという意味があります。事業を引き継ぐ場合、一般的には法律用語でもある「事業承継」を使用することが多いですが、経営者の地位だけを受け継ぐ場合はあえて「事業継承」ということもあり、どちらを使用しても間違いではありません。

老朽化した社屋が足かせになることも

2025年問題事業承継

事業承継の準備は、一朝一夕ではなしえません。計画的な事業承継を行うには、まず会社と経営者について状況整理をすることが大事です。
会社の経営状況分析をする際は、会社の持つ資産の内容について正確に把握する必要があります。自社所有のオフィス・店舗などの社屋は、資産の一種(固定資産)になりますが、設備が古いと企業価値を損ねる可能性があります。例えば、設備の老朽化が原因で事故を起こせば、経営者の信用問題にかかわります。事業承継どころかすぐに廃業の危機に直面するかもしれません。
また、譲り受ける建物が古ければ、後継者は自身でリフォーム資金を調達する必要があります。後継者が設備投資の資金繰りに苦慮し、結局は廃業を選択するのでは事業承継の意味がありません。

社屋や設備が適切に維持管理されていると、取引先の信用を獲得しやすくなるでしょう。良い人材の確保にもつながるはずです。また、資産として新しい設備を導入しておくことで後継者に助けになり、事業継続のハードルを下げることもできます。
事業承継計画の一環として、社屋のリフォームやリノベーションも計画的に進めていくと良いでしょう。

社屋のリフォームやリノベーションを検討する際は、「後継者の経営意欲向上」と「安全性」を意識してみてください。例えば、高級感のある内装にグレードアップする、耐熱性や防火性に優れた建材を採用するなどが挙げられます。万一の災害に備えて天井の耐震化を進めておくことも、経営リスクを下げるという観点では重要です。
事業承継を考える方は、後継者の心に届くようなリフォームやリノベーションを目指してみてはいかがでしょうか。

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