【第3回】設計前に抑えておきたい 高齢者施設スタッフが感じる室内ドアの「困りごと」

室内ドア

室内ドアに関する「現場の困りごと」

●室内ドアに求められる「耐久性」

足腰に不安のある高齢者は、車椅子や歩行器を使って室内を移動することが多く、フットレスト(足置き)やキャスター(車輪)があちこちに当たってしまいます。高齢者施設においては、一日のうちに何度も行き来するドアや壁の下部に凹み・キズが付きやすいこともあり、他の施設よりも優れた耐久性が求められます。

●車椅子などによる凹み・キズがつきやすい

高齢者施設の室内ドアに関する「困りごと」について、現役の高齢者施設スタッフへDAIKENが独自調査を行ったところ、最も多かったのが「凹みやキズがつく」であり、41.0%の方が困っているという回答がありました。

◎室内ドアについての「困りごと」を教えてください

室内ドア

車いすのフットレストや歩行器のキャスターは、前に突き出しているその構造上からも、ドアの下部や枠にぶつかってしまいやすいもの。多くの高齢者がこれらを利用している以上、ある程度は仕方のないことかもしれません。

●4割弱のスタッフが「車いすが通りにくい」と感じている

次に多かったのは「車いすが通りにくい」で、38.1%のスタッフが感じていることも分かりました。通りにくさの原因としては、そもそもドアの幅が狭かったり、扉が開き戸であったりすることなどが挙げられます。先にご紹介した「凹みやキズがつく」という困りごとは、車いすが通りにくいが故にぶつかりやすくなっていることも推測されます。

●タイヤ痕や日常的な汚れが付きやすく、掃除の手間が発生

続いて3位は「車いすのタイヤ痕がつく」で32.4%の方が、4位は「食べ物や排泄物の汚れがつく」で29.5%、5位は「衛生対策が大変である」で26.7%の方が困りごととして回答。スタッフの3割前後が、メンテナンスや清掃作業を負担に感じていることも明らかになりました。いずれも拭きとって掃除・消毒する作業が発生し、忙しい中の貴重な時間が割かれてしまっています。

常に人手不足が叫ばれている介護の現場。だからこそ、日々の清掃作業や衛生対策にかける時間を短縮させたり、修繕をはじめとする施設メンテナンスといった雑務を減らしたりすることが、スタッフの作業負担軽減へと繋がります。

【設備面でできる「困りごと」対策の例】
高齢者やスタッフが日に何度も通るドアへ“丈夫かつ衛生的な建材”を選ぶことで、毎日のお掃除や定期メンテナンスの手間が省けます。また、多くの人が触れる部位には、抗ウイルス機能を付与するのもおすすめです。

・凹みやひっかきキズに強いドア
・汚れが落ちやすいドア
・衛生対策に配慮したドアの取っ手

日々の雑務が減ることでスタッフの気持ちや時間にも余裕が生まれ、高齢者と接する時間を増やすことが可能に。ケアの質が向上し、結果としてスタッフも入居されている方も気持ちよく過ごすことができるでしょう。

また、職場環境や働きやすさへの配慮を欠かさない事業主に対して帰属意識や愛着心を持ち、「利用者さん、そしてこの施設のためにがんばりたい」と、長く働き続けてくれるきっかけになるかもしれません。事業主目線で考えると、「傷がつきにくく、汚れに強い」建設資材を選び、メンテナンスの費用を抑えることで、施設の減価償却費を削減させることも可能になります。

地域の方たちに美しく清潔な施設である印象を持ってもらうことや、衛生対策に配慮があることで、施設イメージ向上にも貢献できます。結果として、数多くの中から選ばれる高齢者施設へと育っていくことが期待できるでしょう。

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