理学療法士と作業療法士の違いとは? 医療施設でリハビリをサポートする手すりの重要性

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近年、高齢化・長寿化に伴い、加齢や病気の予後のためにリハビリテーション(リハビリ)を必要とする人が増えたことで、リハビリ医療の必要性が高まっています。このリハビリ医療を担う代表的な専門職が理学療法士や作業療法士と呼ばれる人たちですが、この資格の違いをご存知でしょうか? リハビリテーション医療の概要や、理学療法士と作業療法士の役割などの違いを解説し、リハビリ現場に欠かせない手すりについてご紹介します。

リハビリテーション医療とは

リハビリテーション医療とは、医療機関で行う理学療法・作業療法などのリハビリテーション(以下:リハビリ)のことです。医学的リハビリテーションとも呼ばれ、病気・ケガを生じた場合だけでなく、生まれつき身体に障がいがある人の身体機能の回復・維持・向上を目的とした療法も対象となります。

リハビリは、理学療法士・作業療法士が中心的な役割を担いますが、それ以外にも、医師・看護師・言語聴覚士などの医療専門職とチームを組んで行います。その必要性は以前と比べて高くなっており、国としてもリハビリテーション医療の充実を図っています。

その主な理由の1つとして、日本の高齢化問題があります。
令和4年版高齢社会白書によると、1990年における65歳以上の高齢者人口割合は12.1%でしたが、その割合は年々増加して2015年には26.6%となり、国民の4分の1以上が高齢者となりました。
今後は日本の総人口が減少することもあり、2060年には38.1%と、国民の約2.5人に1人が高齢者になると推測されています。
また、併せて2025年には「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」にも直面します。

今後の動向から考えてもリハビリを必要とする方は増えるため、今まで以上にリハビリテーション医療の重要性は高くなります。

理学療法士と作業療法士の役割の違い

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リハビリテーション医療は医療専門職がチームを組んで行うと解説しましたが、その中でも中心的な役割を担う職種は先程もお伝えしたように理学療法士・作業療法士です。
ここでは、それぞれの職種の役割について解説します。

●理学療法士
理学療法士はPhysical Therapist(PT)とも呼ばれる「動作の専門家」です。そのため、寝返る・座る・立つ・歩くなどの基本動作に必要な筋力強化や痛みの軽減などの機能回復を支援し、動作の改善を目指します。

理学療法士の対象者は高齢者だけでなく、スポーツ選手・生活習慣病の人なども含まれ、動作の分析や指導など、活躍の場が広がっています。

●作業療法士
作業療法士はOccupational Therapist(OT)とも呼ばれる日常動作支援の専門家です。日常生活を無理なく送るために必要な食事・入浴・料理・着替えなど、複合的動作ができるように支援します。
理学療法士の支援により基本動作を獲得しても、それだけでは日常生活を不自由なく過ごすのは困難です。そのため、基本動作を獲得するとともに、作業療法士の支援によって日常生活に必要な動作である応用的動作の獲得を目標としているところが理学療法士と異なります。

そのほか、「精神面のサポートをする」役割があります。応用的動作を獲得するだけでなく、患者の趣味嗜好を配慮しながら支援することで、身体機能の回復だけでなく本人らしく暮らすための環境・精神面へのサポートも担います。

リハビリ現場の基本となる設備

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多くの理学療法士・作業療法士が働いている病院のリハビリ室などでは、機能を回復する訓練を行うために多くの設備・機器が備えられています。
近年では「ロボットリハビリテーション」と呼ばれる、腕・手の機能や歩行をロボットでサポートするリハビリ機器のハイテク化がめざましい状況です。

ロボットなどの使用により今まで以上に様々なリハビリを行うことができますが、とはいっても、今まで使用していた設備・機器の重要性が変わることはありません。その1つとして「手すり」があります。

手すりは、座る・立つ・歩くなど多くの動作の補助として利用できるため、最も基本的な設備ではありますが非常に重要です。
そんな手すりですが、設置場所・動作の目的・シチュエーションによって選ぶことが大切です。例えば、移動・歩行の手助けであれば、手すりを横向きに設置しますが、立ち座りのしやすさでは縦向きに手すりを設置するなど、目的によって手すりの設置場所や向きは異なります。
手すりの設置場所や向き以外にも、どのような種類の手すりを使用するかも重要です。一概に手すりといっても、手すりに沿って手を滑らせたり、しっかり握って使用したりするなど様々な動作があるので、それぞれの用途によって使いやすさも異なります。
そのため、握力の弱い方でも楽に手をかけられて移動しやすいといったように、それぞれのシチュエーションに応じて手すりを選択します。

リハビリ室で手すりを設置することは大切ですが、それ以外の場所においても適切な場所に適切な手すりが設置されていれば、必然的に手すりを使用する頻度も増え、特別にリハビリの時間を設けなくても日常生活を過ごすだけでリハビリとなることも期待できます。

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