医療リハビリと介護リハビリの違いとは? 安心してリハビリに集中できる設備導入を

リハビリ

「リハビリ」という言葉は広く浸透していますが、その意味や実際にどのようなことをしているのか理解している人は意外と少ないと思います。

ここでは、リハビリの意味だけでなく、実際に関わる専門家、健康寿命とリハビリの関係性、医療リハビリと介護リハビリの違い、リハビリを安心して行える環境づくりなどについてご紹介します。

そもそもリハビリとは

●リハビリの意味

リハビリは「リハビリテーション」の略称で、日本で使われる「リハビリテーション」は英語ですが、元々はラテン語です。英語のつづりは「rehabilitation」となり、「re」+「habilitation」の2つに分かれます。reは「再び」、habilitateはラテン語のhabilisに由来しており「適した、ふさわしい」という意味になることから、リハビリの意味は直訳すると「再び適合させる」ということになります。要するにリハビリとは、ケガや病気をした人の機能回復訓練という意味だけではなく、「人間らしく生きる権利の回復」や「自分らしく生きる」ために必要となるすべての行為のことを指しています。

●リハビリに関わる専門職

リハビリには、さまざまな専門職が関わりますが、その中でも代表的なものは下記の3つになります。

①理学療法士(Physical Therapist:PT)
②作業療法士(Occupational Therapist:OT)
③言語聴覚士(Speech Therapist:ST)

理学療法士は、立つ・歩く・座るなど日常生活を過ごすうえで欠かせない基本的な動作の回復を担当します。
作業療法士は、日常生活で重要な食事・料理・字を書くなど応用的な動作の回復を担当します。また、心もリハビリの対象となり、手芸・陶芸などの作業を通して心身の回復を助けます。
最後に、言語聴覚士は話す・聞く・理解するなど言葉に対する能力、食べ物の飲み込みに関する機能の回復を担当します。

●健康寿命を延ばすために

「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことをいい、厚生労働省が発表した「健康寿命の令和元年値について」によると、2019年時点では、男性72.68歳、女性75.38歳です。同年の平均寿命は男性81.41歳、女性は87.45歳ですから、男性は8.73年間、女性は12.06年間もの不健康な期間があるといえます。この期間をいかに短くするかが国の大きな課題になります。
最近では、リハビリの新たな目的として「健康寿命」を延ばすことも期待されており、適切な運動習慣を獲得するための指導、口の体操、認知症予防教室などさまざまな活動を、各自治体が中心となって行っています。

医療リハビリと介護リハビリの違い

リハビリ

リハビリには、医療リハビリと介護リハビリがあり、それぞれ適用される保険も異なります。基本的に医療リハビリでは医療保険、介護リハビリでは介護保険の制度を利用します。

医療保険は国民誰でも医療を受けられる仕組みです。介護保険は、介護を必要とする人が適切な援助を受けられる仕組みで、対象になるのは、40歳以上65歳未満のうち特定の病気がある人、もしくは65歳以上で介護が必要であるという認定を受けた人になります。
それ以外にも、医療・介護の現場によって内容・役割が大きく異なりますので、詳しく紹介します。

●医療リハビリとは

基本的に病院での入院・通院で行い、病気・ケガによって障害を負った身体機能を早く改善するための練習を中心に行います。 また特徴として、病気・ケガの内容でリハビリが分類され、受けられる日数が変わります。基本的にリハビリは決められた期間内のみになるため、長期での継続が困難です。しかし、例外として、医師が認めた場合のみ期間を超えてもリハビリを継続できます。

●介護リハビリとは

施設に通って行う通所リハビリ、自宅で行う訪問リハビリなど、基本的には施設や自宅で行います。 病院でのリハビリとは異なり、その人らしい生活を継続して行うために、身体機能・生活機能の維持・向上を目的に行います。主に日常生活を送る上でできない動作の練習や筋力などを低下させないための訓練を中心に行います。 また、医療リハビリは期限がありますが、介護リハビリでは日数制限はなく、介護が必要と認定されている限りリハビリを受けられるため、長期的なリハビリに向いています。

●併用はできない?

基本的に医療リハビリと介護リハビリは併用できず、リハビリの目的が病気の治療中なのかどうかで適応が変わります。 医療機関で病気の治療や症状の回復が目的で行われるリハビリは原則として医療保険が適応され、リハビリが病気の治療の沿線上にない場合は、原則として介護保険が適応されます。 ひとつのリハビリに対して医療保険と介護保険のどちらも利用できる場合は、介護保険が優先されます。

安心してリハビリができる環境づくり

リハビリ

リハビリは医療・介護ともに運動を行うため、安心してリハビリできる環境をしっかりと作ることが重要です。
今回は安心してリハビリができる環境づくりとして、いくつかのポイントを紹介します。

●リハビリ中の滑りに配慮した床材導入

2019年に厚生労働者が発表した「国民生活基礎調査の概況」によると、介護が必要になった理由の「骨折・転倒」は12.0%で第3位でした。また、2020年の人口動態統計調査では、死亡届による「不慮の事故」のうち25.2%が「転倒・転落・墜落」の死亡で、「交通事故」による死者9.8%よりはるかに多くなっています。

このように、日常生活においても転倒は頻繁に起こっているため、身体が思うように動かせないリハビリの状態ではさらに注意が必要です。リハビリを行う病院などの施設においては、高齢者の滑りに配慮した床材などを導入しておくのが良いでしょう。

●施設内の歩行をサポートする手すり設置

高齢者になると、筋力・バランス能力が低下する傾向にあるため、施設内に手すりを設置しておくことをおすすめします。手すりにつかまることで足腰にかかる負担が上半身にも分散されるためバランスがとりやすくなり、転倒のリスクも軽減できます。リハビリを行っている人にとっても、手すりは非常に大切な存在となります。

●消臭機能付きで会話を聞き取りやすくする天井

リハビリに集中できるように、快適な空間を用意することも大切です。吸音性能をもった建材を採用することで、反響音を軽減し、会話を聞き取りやすくすることができます。吸音性能に加えて消臭機能を備えた天井材などもあるため、快適な空間作りに役立ててみるのもよいでしょう。

健康寿命を延ばす意味でも、今後もリハビリ活用への期待が高まりますが、それと同時に安心してリハビリを継続するための環境整備も大切です。施設を安心して使ってもらえるように、建材でのサポートも検討してみてはいかがでしょうか。

音楽を取り入れたリハビリに関しては下記の記事もご参照ください。
「音楽療法とは? 音楽の持つ力を活用したリハビリテーションのやり方と必要な設備」

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