湿気対策は秋・冬でも重要! 病室を快適な湿度に保つためのポイント

湿気対策

高温多湿の日本の病院においては、カビの発生防止や衛生対策の観点から適正な湿度管理が求められます。特に近年の新型コロナウイルス感染症の大流行を受け、病室の室温や湿度管理の重要性が再認識されました。
患者さんにとって理想的な湿度環境を維持するためには、医療スタッフの日々の努力が欠かせません。
ここでは、病室を快適な湿度環境に保つためのポイントと、配慮すべき事例についてご紹介します。

病室の理想的な湿度は?

世界的に新型コロナウイルス感染症が大流行したことで、ここ数年で医療界は病院内での衛生対策についての問題を改めて問いただすことになりました。

●コロナ対策には湿度管理が重要
厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、冬の外気温が低く、換気の悪い密閉空間の改善と適切な室温および相対湿度の維持について、

・居室の温度および相対湿度を18℃以上かつ40%以上に維持できる範囲内で暖房を使用しながらの換気をすること
・維持できない場合は、換気とともに空気清浄機を併用すること
・一方向の窓を少しだけ開けて常時換気する方が室温変化を抑えられ、窓を開ける幅は、居室の温度と相対湿度をこまめに測定しながら調節すること

としています。

これはなかなか換気を行うことが難しい病院内の部屋であっても、湿度や温度を一定の水準に保つことが衛生面の観点からも重要であることを示していると言えるでしょう。

湿度対策

●院内環境は湿度が重要
WHO(世界保健機構)が2018年に行った発表のうち、慢性の肺疾患を抱えた患者さんを対象に行われた中国の調査では、低い室温と高湿度が肺疾患のリスクを有意に高めることから、室温は18.2℃以上、湿度は 70%未満であるべきと報告しています。

そもそも建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)で、相対湿度の管理基準値は40~70%と定められており、衛生対策という意味以外にも人が快適に生活するためには、湿度が低すぎず高過ぎもしない空気環境が必要であると言えます。
一般的に湿度が低すぎると空気中のウイルスや細菌に感染してしまうリスクが高まります。病院に来られる患者さんは体調が優れない場合が多く、ウイルスや細菌などへの抵抗力も低下している場合が多いと言えるでしょう。
院内感染を防ぐという意味においても、また患者さんの健康を維持・回復させるという意味においても、院内環境の中で湿度はとても重要な項目なのです。

●温度管理や気流も
患者さんが院内で快適に過ごすためには、同時に室温に対する配慮も必要です。
一般的に冬期は室温20~22℃、夏期は室温25~27℃の範囲が望ましいとされ、加えて冷房使用時に身体調節機能の低い患者さんや高齢者・乳児などがいる場合、外気温との差を5℃以内にするなどの配慮が必要となります。

さらに人体に適度の気流が当たることは血行を促して新陳代謝を高めますので、空調などにより気流を起こすことも重要です。年間を通じて気流は0.5m/秒以下が快適に過ごすための目安となります。また直接体に風が当たってしまったり、強くなりすぎると気化熱を奪って急激な体温低下をもたらしたり、皮膚表面の乾燥、疲労感、倦怠感などもひき起こします。院内の空調の風向きも注意すべき項目と言えるでしょう。

このように、病院内では絶えず湿度や温度、気流に配慮した環境を整えることが必要となります。

湿度対策

秋・冬の湿度対策のポイント

衛生対策という意味で院内環境の中でも重要な湿度の管理ですが、高ければ高いほど良いという訳ではなく、高すぎる湿度は結露の原因にもなります。

●結露とは?
結露は暖かく湿った空気が冷やされることで、空間に存在できる水蒸気の量の上限(飽和水蒸気量)が下がり、余分な水蒸気が水滴になったものです。

湿度対策

そして様々な物の表面や内部で発生する結露はカビの原因になり、特に窓の周辺ではカーテンなどにも発生することがあります。
カビの発生は、カビに対する中毒反応や、カビに対して免疫が過剰に反応するアレルギー症状などの原因となるため、病院内でのカビの発生は避けるべき事態です。
衛生的な観点からも結露の発生は抑えるべきあり、また、結露は金属の錆びや腐食、悪臭を発生させることにもつながります。
結露対策、湿気対策は病院の必須項目と言えるでしょう。

●結露に注意すべき季節は意外と秋や冬
結露というと真冬のイメージがありますが、実は気候が乱れやすい秋口や気温が低くなる初冬に起こりやすい傾向があります。これは秋から冬にかけて外気が低くなり、暖かく保たれている室温との差が大きくなることに加えて、秋は雨や台風などが多く、湿度が予想外に高くなってしまうことが原因です。
特に近年は気候も変化し、急な大雨が降ったり、夏に来るはずの台風の発生時期が遅くなったり、日本列島を縦断するようなコース取りをしたりすることも珍しくなくなりました。

湿度対策

そうしたことも重なり、これまで台風とは無縁であったような全国各地の病院でも、秋冬の湿気対策は必須となっていくでしょう。

病室の湿度管理で配慮したいこと

このように、病院内の衛生対策という意味でも重要な湿度管理ですが、現在ではセントラル空調(中央コントロールによる空調管理)で環境を管理している病院が多くなってきました。

セントラル空調はフロアや病室ごとに一括で管理できるメリットがある一方で、個々の患者さんへのケアは看護師やスタッフが個別で行うなど、作業負担が増える傾向にあります。

●セントラル空調では患者個々の対応が必須
病院に来る患者さんの状態は様々で、病気や怪我の程度や年齢、その他の合併症などによって気を使うべき空調管理の内容はまったく異なるでしょう。そもそも気温や湿度が快適かどうかは人によって感じ方が異なるので、患者さん個々の乾燥感の低減や衛生対策には、全体を空調管理することに加えて個別で加湿器の利用が効果的です。

そうした加湿器などの水タンクやフィルターを清潔に管理しなければ、ウイルスや菌の温床になり、アレルギーや慢性咳の原因になってしまいますし、加湿のし過ぎは結露の発生を招き、カビの原因になりますので、こうした機器の管理は注意が必要です。

湿度対策

そうした患者さんごとに個別の温湿度管理を行い、衛生対策のために全体の空調管理をするには、管理スタッフの作業負担が非常に煩雑になってしまいます。

湿度管理は空調設備以外でも可能
そこで調湿性能のある建材を病室に使うことで、スタッフの業務量を減らしつつ、患者さんにとって快適で衛生面にも配慮した空間を作り出すことが可能となります。

例えば、多湿時には余分な湿気を吸って結露やカビの発生を抑え、乾燥時には取り込んでいた湿気を放出し調湿できるような壁材や天井材などがおすすめです。これらを活用すれば、スタッフが手をかけずとも自然に病室内を快適な湿度環境に保つことができます。加えて、病室内の環境ではにおい対策も大きなポイントになります。例えば、さらに消臭機能のある天井材を組み合わせることで、病室をより快適な空間にできるでしょう。消臭機能つきの天井材について詳しくは下記の記事をご参照ください。
⇒「入院のストレスを軽減させたい! 快適な病室環境づくりを目指して

まとめ

湿度対策

新型コロナウイルス感染症の流行で改めて病院内の湿度の重要性が見直されていますが、同時に湿度環境を管理するためのスタッフの作業量も増えてしまっています。壁材や天井材を変えることで患者さんにとって快適な環境を維持しつつスタッフの作業負担にならない湿度管理を行えば、より治療行為に集中することができることでしょう。院内の壁材や天井材に高機能建材をご検討してみてはいかがでしょうか。

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