アクティブラーニングとはどのような学習法? 文部科学省が推進する理由と実践例

アクティブラーニング

近年アクティブラーニングという学習法が教育現場に取り入れられ、注目されています。文部科学省も推進するアクティブラーニングとはどのようなものなのでしょうか。今回はアクティブラーニング導入の背景やメリット、実践例、アクティブラーニングを行う際の教室環境づくりなどをご紹介します。

アクティブラーニングとは?

アクティブラーニングとは、簡単に言えば「生徒が能動的に学ぶ学習方法」のことです。
学校の授業と言えば、従来は「先生が話し、生徒が聞く」という形が主流でした。この学習方法では、生徒は先生の話を聞く受動的な存在となっています。 一方アクティブラーニングでは、生徒が主体的に授業に関わります。例えば、ディベートや体験学習、グループワークなどは、生徒は発言者・発表者・体験者として主体的な存在となります。

アクティブラーニングについては、文部科学省の「新しい学習指導要領の考え方」(平成29年度)にも明記されています。また平成29年告示の小・中学校学習指導要領には「主体的・対話的な深い学び」というアクティブラーニングに極めて近い概念が登場しています。
アクティブラーニングが重視される背景には、近年の情報化・グローバル化による変化が急速に進んでいることにあります。これからの子供たちは、答えのない状況下でも自分で目標を見出し、それに向かって主体的に動いていく力が必要です。

アクティブラーニングが教育界の重要キーワードとなってから、既に多くの学校が独創的な取り組みを進めています。
例えば安曇野市立三郷小学校では、対話を重視した算数の授業を展開しました。エコキャップを使った授業で児童の興味を引き、児童同士の会話で考察を深めるように授業を進めています。クラスメイトや教師との対話によって筆算の仕組みを児童自身が確認し、納得できるような授業となっています。
徳島県立城北高等学校では、化学の実験結果を考察する授業を行いました。結晶の種類を観察する実験で結果の違いがなぜ生まれたのかを各グループで討議し、その内容を発表します。更にグループを再編してもう一度考察を行います。意見を出し合った後の実験の様子は動画で撮影されており、教師の解説付きで動画を振り返りました。実験の結果から仮説を立てること、他者の意見を聞きながら自分の考えを構築していくことの大切さを学べる授業となっています。

参考URL:「教職員支援機構ウェブサイト」https://www.nits.go.jp/jisedai/achievement/jirei/jirei120.html

アクティブラーニングのメリット

アクティブラーニング

アクティブラーニングでは主体的な学びを重視しています。そのため、子どもたちが自ら目標を設定し、それをやり遂げようとする力が伸びると考えられています。これから多様に変化する社会では、今までの常識が通用しない場面が幾多と訪れるでしょう。積極的に学び、成長していこうとする意欲を育てることは将来の生きる力に繋がります。

アクティブラーニングでは対話的な学びも大事なキーワードです。ディスカッションやグループワークの場では、自分の考えを発信するとともに他の生徒の意見を聞くことができます。他人と協力し1つのテーマに取り組むことで、協調性を身に着けることが期待できます。
また、生徒により深い学びを促すこともできます。考える機会が多いアクティブラーニングでは、試行錯誤を通し思考力や想像力を伸ばすことができるでしょう。

●アクティブラーニングの問題点

アクティブラーニング

この様に注目されているアクティブラーニングですが、問題点もあります。
その1つは、指導の難しさです。多様な形が認められるアクティブラーニングだからこそ、どのような授業にするかは簡単に決められるものではありません。教師側でアクティブラーニングについてしっかり勉強する時間も必要です。
他にも、どのように評価すればよいのか不明確になりやすいという問題点もあります。テストのように目に見える形で達成度が判断できないからです。そのため、受験に不向きという意見も聞かれます。今でもペーパーテストの点数が受験で重視される現状は変わっていません。受験に必要な知識を効率的に教えるために、従来の授業から脱却できないという学校もあるでしょう。教師はもちろん、生徒の側でもアクティブラーニングに取り組む目的意識を持つことが大事です。

積極的に勉強する姿勢をサポートする設備

アクティブラーニング

積極的で深い学びを実現するためには、学びやすい環境設備を整えたいところです。

例えば、教室に吸音材を採用するのも1つの方法です。アクティブラーニングでは、授業慣れした教師だけでなく生徒が発表の場に立つこともあります。音が反響する教室では、生徒や先生の声が聞き取りにくく、授業集中の妨げとなりかねません。吸音材で教室内の音環境を改善することが、アクティブラーニングの効果向上に繋がるでしょう。

また、快適な空間を用意することもポイントです。湿度が高すぎたり乾燥しすぎたりして不快な場所では、学習意欲を失ってしまいます。調湿効果のある建材を取り入れ、快適な空間作りを目指してみてはいかがでしょうか。

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