地震から子どもを守る! 学校における天井の耐震対策

学校における天井の耐震対策

日本は言わずと知れた地震大国です。震災による建造物の倒壊が恐ろしいのはもちろんですが、外部が無事でも内部では落下物などで怪我をする、または建物自体が使用できなくなるといったことになる可能性もあります。 2011年に発生した東日本大震災の際、震源地の東北地方をはじめ都内を含む広範囲でも、多くの建築物で天井が落下する事故が多発し、下敷きになった方の中から死亡者も出る事態になりました。その結果、既存の天井の安全性が課題にあげられ、2014年に法令が改正されました。これにより天井の安全基準がどう変わったのか、子どもたちの安全を守るためにはどのような対策ができるかなどをご紹介します。

震災による脱落事故で見直された天井の安全基準

天井の安全基準

2011年の東日本大震災を受け、2014年4月に建築基準法施行令第三十九条に「特定天井(脱落によって重大な危害を生ずるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める天井)」の定義が追加され、その構造に関する技術的基準が定められました。「特定天井」とは、「6m超の高さにある200m²超の吊り天井」を指し、身近なところでは学校や公共の体育館などが該当します。

それまで非構造部材の屋根ふき材、内装材、外装材、帳壁などについては、建築基準法施行令第三十九条に「風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によって脱落しないようにしなければならない」と規定されていましたが、天井については地震に耐える技術的基準が定められていませんでした。

多くの建造物に採用されている吊り天井は、地震の揺れが加わると水平力(横方向に作用する力)を増幅し、吊り金具が破損する、クリップが外れるなどによる崩落の恐れがあります。ある程度の広さを持った空間では、落下物が高いところから落ちてくることが想定されるため特に危険です。特定天井に該当する天井がある場合は、新築・既存のどちらでも対策が必要です。

子どもの安全のために。教室や廊下の天井にも求められる耐震化

求められる耐震化

建築基準法の改正された同年2014年8月には、文部科学省より「学校施設における天井等落下防止対策の手引」が発布されるなど、特に学校建築における天井の安全性の確保には、社会的要請が高まっています。

文部科学省の調査によれば、公立の小中学校は2018年4月時点で98.9%が「吊り天井等の落下防止対策を実施済」と報告されています。ただし、これは法令で定められた「特定天井」についての対策です。子どもたちが日常的に長い時間を過ごす教室や廊下については、まだ十分に対策がとられていません。

災害時の避難所になることがある学校では、法令で規制の対象となっている特定天井だけでなく、一般教室や廊下なども耐震化が必要です。体育館が満室になれば一般の教室や廊下も使うことになります。

何より、子どもたちが学校で長い時間を過ごすのは教室です。体育館だけでなく、教室や廊下など日常的に過ごす場所の天井も、安全性について配慮すべきです。

しかし、天井の耐震化は、学校運営を継続しながら工事着手しなければならない上、範囲を広げれば広げるほどコストがかさみ、工事期間も長くなるため、なかなか着手が難しい状況でした。

天井の耐震化は意外と簡単?

天井の耐震化は意外と簡単?

天井を耐震化するには、いくつかの方法があります。

・既存の天井を撤去する

・落下防止措置を施す

・既存の天井を撤去し耐震天井を設置する

天井を撤去することが一番簡単なように思いますが、天井を撤去すると音環境が悪化し、授業に適さない居心地の悪い空間になってしまう可能性があります。音が響きすぎる空間では、授業や先生の声が聞き取りにくくなってしまいます。

落下防止措置を施す方法もありますが、取付け箇所に十分な強度がないと、取付けられない場合があります。

きちんと耐震計算を行い、新たに耐震天井を設置することが望ましいですが、耐震天井の施工には補強のブレース(筋交い:縦材と横材の対角線を結ぶ補強用の部材)を適切に配置する、すべてのねじやボルトを緊結しなければならないなど、特殊な作業が発生するため、通常の工事よりも手間がかかり、場合によってはコストも増大してしまう場合があります。

省施工・短工期な新しい耐震天井

安全性を確保したいけど、工事は短期間に、コストも考慮したい、そんな要望にお応えする新しい耐震天井があります。

・天井下地はワンタッチ接合で、ビス留めでの緊結作業不要

・ワンタッチ接合のため、従来の作業と比べて短工期

子どもたちや職員、地域住民の安全・安心のために、万が一の事態が起こる前に、天井の安全性を今一度考えてみませんか?

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