【第2回】設計前におさえておきたい「公共施設の使いやすさ」について考える

公共施設

2022.08.29

地域住民にとって理想的な公共施設とは

市役所や図書館など、私たちの暮らしに身近に存在する公共施設。地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条では、「住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。」と定義しています。今回DAIKENは、公民館や美術館、市民ホールなどの公共施設について独自調査を行いましたので、その結果をご紹介します。

●約4割の方が公共施設を月に複数回利用している

今回、お住まいの地域の公共施設(図書館・公民館・美術館・市民ホールなど)についてDAIKENが独自調査を実施。そのなかで「普段どれくらい公共施設に足を運ぶか」との問いに、約4割(39.6%)の方が月に数回以上利用していると回答しました。

公共施設

●よく通う公共施設に良い印象を持っている方 は約4割

数年に1回以上足を運んだ方へその施設の印象を聞いたところ、よく通う公共施設には、約4割の方が「親しみやすい」「安心、安全な」など比較的良い印象を抱いていることがわかりました。反対に悪い印象を持つ方は2割弱程度にとどまっています。

公共施設

●設備の古さやバリアフリーの遅れなどには課題がみられる

4割近くの方がその公共施設に好意的な印象を持つ反面、設備面には課題も。施設に感じる改善点を質問したところ、「トイレが古くて使いづらい」と回答した方が23.6%、次いで「空調機器が古く、効きが悪く感じる」が19.8%「バリアフリー化が進んでいない」が18.9%。「無機質で冷たく、愛着のわく空間ではない」「古い建物特有の臭いがする」と回答した方が共に13.2%でした。

公共施設

若い世代から妊婦の方、子ども連れ、障害を持つ方、高齢の方など、幅広い方がストレスなく利用でき、また安心して過ごせる公共施設として、これらの課題はできるだけ解決されるのが望ましいと言えるでしょう。

●公共施設に求める設備は休憩スペースや最新のトイレなど

「よく通う公共施設にあると望ましい設備は?」との問いには、20代から60代まで幅広い年代からの自由回答がありました。より快適に過ごせるような休憩所や売店などの設置、安心・安全への配慮、トイレの改修などの要望が挙がっています。

<休憩・飲食スペース…11名>
カフェ・レストラン・喫茶コーナー(20代女性、40代男性×2名、50代男性、60代男性×2名)
飲み物が飲めて本が読めるオープンスペース(60代女性)
売店、自動販売機(20代女性、30代男性、40代女性)
喫煙所(60代男性)

<安心・安全への配慮…3名>
安心・安全に十分配慮した構造(60代男性)
パーテーション等による個別空間(60代男性)
本の除菌マシン(40代女性)

<トイレ…4名>
最新のトイレ(40代男性)
ウォシュレットつきトイレ(20代女性、40代男性)
多目的トイレ(30代男性)

<その他…4名>
最新の冷房機器(40代男性)
広い駐車場(60代男性)
受付に各部署の紹介(30代女性、60代男性)

●あらゆる世代の方が快適かつ安心して利用できる空間へ

今回のアンケートでは、約半数の方が公共施設を月に複数回利用しているという結果をご紹介しました。それだけ頻繁に利用するからこそ、休憩・飲食スペースなどリラックスできる設備の拡充を求める声が多く、また安心して利用できるよう設備の安全性、最新のトイレやバリアフリー化への要望も目立つのでしょう。安全面に関しては、幅広い年代・身体能力の方が利用する公共施設だからこそ、設備や建材選びにおいても配慮が必要です。例えば、高齢者の滑りに配慮した床材などの使用もおすすめです。

「近所に居心地のいい図書館がある」「清潔な市営スポーツジムへ通うのを楽しみにしている」など、毎日訪れたくなるような公共施設があることで、地域そのものへの愛着を醸成できる可能性は高まります。公共施設の設計に携わることになった際は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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