小規模保育園とは? 一般的な保育園の違いとその魅力、園舎に必要な設備

園舎

厚生労働省の待機児童数調査によると、待機児童数は令和4年調査では前年に比べ減少傾向にあります。しかしながら待機児童の割合は都市部ほど高く、一方で、人口減少地域では身近な場所に子育て支援の施設がないという悩みもあります。待機児童の年齢構成を見ると、0~2歳児といった低年齢の子どもたちの割合が3歳児以上と比べて多くなっています。
今後の見込みとして、保育所等申込率の上昇、フルタイムの共働き世帯の割合の増加などにより、保育ニーズも再び増加する傾向にあります。 これらの課題を解消すべく、小規模保育園に注目が集まっています。

一般住宅やビル内にも設置できる小規模保育園は、通常の保育園と異なる側面があります。この記事では、小規模保育園と一般的な保育園との違いについて解説し、小規模保育園の特徴だけでなく、メリットとデメリットもあわせて紹介しています。また記事の後半では、小規模保育園に求められる園舎づくりのヒントを提示しているので、ぜひご覧ください。

小規模保育園とは? 通常の保育園との違い

小規模保育園とは、文字通り一般の保育園よりも規模の小さい保育園のことです。地域のニーズにあわせた保育を提供する「地域型保育」の一種であり、都市部の待機児童問題解決、人口減少地域の子育て支援機能を維持する役割が期待されています。
では小規模保育園の特徴を見ていきましょう。まず定員数が少ない点があげられます。一般の保育園は20名以上の園児を預かりますが、小規模保育園の定員は6~19名(もしくは6~10名)です。
保育する子どもの対象年齢も異なります。一般の保育園が0~5歳児まで幅広い年齢層の園児を預かるのに対し、小規模保育園は0~2歳児を保育対象とするため乳児保育が中心となります。
なお各施設の設置基準は国の基準に沿って自治体が決定します。ここで国が提示する小規模保育園の基準3種類を見てみましょう。

A型B型C型
定員6~19名6~19名6~10名
職員配置基準保育所の設置基準(0歳児3名に1名、1~2歳児6名に1名)+1名A型と同じ0~2歳児3名につき1名(補助者を置く場合0~2歳児5名につき2名)
職員の資格全員保育士(※)2分の1以上が保育士(※)家庭的保育者(市町村長が行う研修を修了した保育士、
保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者)
施設の面積0~1歳児3.30m²/人、
2歳児1.98m²/人
A型と同じ0~2歳児3.30m²/人

※参考:内閣府「子育て支援事業者の方向け情報 事業者向けFAQ

A型とB型は似ていますが、配置される保育士の割合が異なります。C型は保育士の資格の有無にかかわらず職員を置けます。
(※)1人に限り保健師、看護師を保育士とみなせる特例あり

小規模保育園のメリットとデメリット

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次に、小規模保育園のメリットとデメリットはどこにあるのかを見てみましょう。

●小規模保育園のメリット

小規模保育園の環境は一般的な保育園とは違い、家庭に近いものになります。アットホームな雰囲気の中で子どもを育みたいという保育者や保護者には需要があるでしょう。
また、通常の保育園よりも職員の配置人数が多いのもポイントです。A型やB型では一般的な保育園の配置基準にプラスして1名の職員が加算されています。C型では0~2歳までの年齢を問わず、子ども3人に1人の保育士が配置されます。施設が小さいことも相まって、子ども一人ひとりと丁寧にかかわれる環境といえるでしょう。
また0~2歳児限定という特徴から、比較的入園しやすい点は保護者にとって大きなメリットになります。

●小規模保育園のデメリット

小規模保育園はビル内やマンションの一室を利用して設置することもできます。しかし施設規模がコンパクトであるため、園庭がない園が多いのです。これは、小規模保育園のデメリットと言えます。というのも、運動する場所が施設内に確保されてなければ、外の公園や運動場などに出かけて体を動かす必要があるからです。0~2歳児の移動は安全性への細かい配慮が求められ、保育者の責任は重くなり、通事故や行方不明のリスクには十分注意しなくてはなりません。
また小規模保育園は対象年齢が2歳までと限られている点もデメリットのひとつです。子どもたちは3歳になると卒園して一般的な保育園に通うことになります。提携している保育園がない場合は、卒園後の転園先探しに労力がかかります。

小規模保育園の施設に望まれることは?

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小規模園は、一般住宅やマンションの一室を園舎として利用している場合も多くあります。土地不足により大規模な保育園を建設しづらい都市部でも比較的設置しやすいことが理由といえます。

一方で保育園以外の施設や一般住宅が近い環境下では、音環境に配慮する必要があります。例えば、子どもたちの元気な声の反響を抑えて聞き取りやすくするために、天井に吸音材を設置するなどの対策をしている施設は、子どもや保育者が快適に過ごしやすいので安心です。

地域型保育の拠点として期待される小規模保育園だからこそ、周りに温かく受け入れられる園舎づくりに注目したいところです。

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