RENOVATION INTERVIEW02 【ブルースタジオ インタビュー】

リノベーションとは、
暮らしから住まいを考えるというライフスタイル

これまで1000件以上のリノベーションを手がけてきた株式会社ブルースタジオの執行
役員であり、建築家である石井健さん。このたび、DAIKENとのコラボレーションに
より3つの新製品を企画開発。石井さんが語るリノベーションと製品、その未来とは?

石井 健
石井 健
プロフィール

1969 年福岡県生まれ。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。株式会社ブルースタジオ/ 執行役員、建築家、不動産コンサルタント。著書・監修に「リノベーション物件に住もう!〜「超」中古主義のすすめ〜」(河出書房新社)、「自分らしい暮らしとインテリア~LIFE in TOKYO」(エクスナレッジ)がある。「郷さくら 美術館東京(2012)」「さくらアパートメント(2014)」にてグッドデザイン賞受賞。

リフォームは「モノを直す」、リノベーションは「暮らしを考え直す」

----リフォームとリノベーションの違いとは?

この20年間ぐらいで家づくりの考え方が変わってきたと思うんです。若い世代がどんどん海外へ行き、現地に留学したり住んだりして、気づいたんですね。
世界では、100年前や200年前の古い物件を自分たちでカッコよくつくり替えることが当たり前ということに。そもそもリフォームというのは「問題解決型」なんです。たとえば、キッチンが古くなった、おふろが壊れた。そういったものに対する「対処型」。そうではなく、ストックを使って暮らし方をゼロから考えましょう、というのがリノベーション。そこが大きな違いですね。リノベーションはハードウェアとして中古住宅を活用するけれど、自分たちの暮らしを考え直す。見つめ直す。考えて、プラスにしていくということではないかと思うんです。

「今」という時代の必然であったリノベーション

----なぜリノベーションが注目されるようになったのでしょうか?

今の時代にマッチしたからではないかと思いますね。世の中のスピードが速く、ストレスも多い。経済的にも大変だと気づいている。そんな中どうやって幸せになるかを考えると、適材適所、自分達の暮らしに対してかけるお金、たくさんあるストックを活用するのは自然な成り行きだったのではないでしょうか。自分の家に合わせて暮らすのではなく、暮らしに合わせた家をつくる。リノベーションとは家づくりに対する考え方だと思っています。

より多くの住み手に、人気のリノベーション建材を届けたい

----なぜDAIKENとコラボレーションしたのですか?

住み手にとってリノベーションは当たり前の選択肢になってきたけれども、まだまだ手が届かない、どういう風に最初のステップを踏めばいいか分からないという人も多いですね。また、住み手だけでなく供給側も手探り状態。リノベーション・サービスを提供する会社は全国で増加の一途だけれども、一方で既存の工務店、ディベロッパーがユーザーマインドにキャッチアップできていない側面も。そこで、DAIKENのような大量生産を得意としているメーカーが入ってくると、リノベーションも、もっと身近な存在になるのではと考えました。汎用的なメーカー規格品には、スピーディに施工ができ、技術習得に時間を要しないというメリットがあります。今までリノベーションを届けられなかったところに届けることができると考えたのがコラボレーションの理由です。メーカー規格品であってもリノベーションで使用される美観、意匠的に近いものが提供できる。新しいマーケットが生まれるのではないかと考えたんです。

今まで手がけた、いろんなアイデアの共通項を製品化

---- 製品化には今までのどんな経験を活かされましたか?

100人いれば、100通りの暮らし方があり、その中でアイデアの共通項があります。最近の傾向として、寝室は最小限、場合によってはなくてもいい。その代わり、LDKは一体空間にして広くして、家族間のコミュニケーションを大事にしたい。または玄関を広くとることで生活空間の一部としたい。収納はもちろんまったく足りなくて、倍ぐらいほしい。外とつながりたいということからインナーテラスを設けたい。…住まい方がどんどん自由になっています。
そういった傾向をもとに、DAIKENと3つのカテゴリーに分けて考えました。一つ目は、今のメーカー規格品マーケットにはないけれど人気のあるものの新規開発。これはスチールのインナーサッシに代わる製品として「ラインフレーム」という商品を開発しました。スチールそのもので作るのではなくアルミを使用し、軽く、安全で施工がしやすい製品を考えていきました。二つ目は既に商品としてあるものだけど、意匠を少し変えてみようと考え、ドアデザインに着目。質感を高めるために、モールディングをデザインしていった。三つ目は既存の製品そのままでも、発想を変えれば使えるものが意外とあるのでは、ということから考え、下駄箱に着目しました。普通、下駄箱は下に置くのだけれど、上のスペースが空いていてもったいない。そこで、下駄箱を上につけて下の空間を活かしてみました。ここに、ベビーカーを置いたり、フックにヘルメットやカバンや鍵を引っかけたり。また、ベビーカーからママの電動自転車、子供の自転車置き場へと、家族のフェイズの変化とともに収納空間として使えるのではないか・・・。このようにして3つの新製品が生まれたんです。

ブルースタジオとのコラボレーションによって生まれたDAIKEN製品

部屋の内と外を緩やかに仕切る間仕切戸『ラインフレーム』

レトロな空間演出に最適なモールディングデザインの『リビングドア』

リノベーション建材の未来

----メーカー規格のリノベーション建材の可能性は?

今のトレンドは、ヴィンテージ感溢れるものや天然素材など、直に触りたくなるものが人気で、メーカー規格品はその対局にあるんですね。でも、時間がない毎日で暮らしていく中で、メンテナンスフリーな建材は適材適所にはあってしかるべきだと思いますね。家でカフェやパン屋を始める人もいるし、働き方の変化、介護の仕方、さまざまな局面で必ずしも天然素材がいいとは限りません。そういった意味でメーカー規格のリノベーション建材は、今チャレンジの過程にあるのではないかと考えます。今後は、例えば全く新しい施工方法の開発により、引越しの際にカーテンなどと同じように建材を持ち出せるようになる・・・そういった画期的な発想も期待したいですね。

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