
吹き抜けがあるリビングを活かすには? メリット・デメリットと対策方法
※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
リビングに吹き抜けがあると、明るく開放感あふれる空間になるなど様々なメリットがある一方、デメリットとなる点も存在します。
そこで、本記事では吹き抜けリビングのメリット・デメリットを解説しながら、吹き抜けがあるリビングを活かすポイントなどについてご紹介します。
光が降り注ぐ、広がりと開放感をもたらす理想のリビングを実現しましょう。
吹き抜けとは
吹き抜けとは、建物内の複数の階層にまたがって広がる空間を指します。
●吹き抜けと高天井の違い
吹き抜けと高天井は、どちらも上方向に高さがある点で共通していますが、異なる特徴を持っています。吹き抜けは複数の階をまたいで広がっている空間で、高天井は1つの階の天井を高く設定したものです。
●吹き抜けとアトリウムの違い
吹き抜けと似た意味を持つものに、アトリウムがあります。アトリウムとはホテルや大規模なオフィスビルなど比較的大きな建物内に設けられた、3面、または4面を建物で囲んだ中庭のことです。その多くが何層にもわたる空間になっている点は吹き抜けと似ていますが、ガラスなどの壁や屋根から光が差し込む構造になっており、吹き抜けと比較するとより開放的で明るい空間となっています。
アトリウムは主に商業建築や公共建築などで多く見られますが、吹き抜けのように小規模な住宅で採用されることはほとんどありません。
吹き抜けのメリット
吹き抜けを設けると、その特徴から多くのメリットが得られます。ポイントを具体的に挙げてみましょう。
●天井が高く開放感を味わえる
吹き抜けの最大のメリットは、天井が高く開放感を味わえることです。空間が上方向に広がるので、狭い部屋でもひろびろと感じられます。
●採光や換気がしやすい
高い位置に設けた窓から下の階まで光が差し込み、空間が明るくなる点も吹き抜けのメリットの1つです。また、暖まった空気は上にいく性質があることから、吹き抜け空間では空気の上昇気流が発生します。上階と下階それぞれに換気用の窓を設けると、この自然な空気の循環で換気しやすくなります。
●家族とコミュニケーションを取る機会が増える
吹き抜けがあると、家族の気配を感じやすいという特徴があります。吹き抜け越しに家族と会話ができるので、自然とコミュニケーションの機会が増える環境になります。
吹き抜けのデメリット
魅力的な特徴を持つ吹き抜けですが、いくつか問題もあります。吹き抜けの設置を検討する際は、以下の点にも注意が必要です。
●冷暖房が効きにくい
吹き抜けのある空間では、冷暖房が効きにくくなります。特に冬場は暖房で暖めた空気が上昇してしまうため、下階が寒くなりやすいです。
●音やニオイが伝わりやすい
吹き抜けは上下階で会話がしやすいメリットがある一方で、遮るものがないため音が伝わりやすいというデメリットも存在します。また、キッチンのニオイが上階に広がりやすい点もデメリットといえるでしょう。
●掃除やメンテナンスがしにくい
吹き抜けでは、高所にある窓のお手入れや天井に設置している照明の電球交換など、掃除やメンテナンスが難しいという点が挙げられます。掃除道具の工夫や脚立で解決できることもあれば、専門業者への依頼が必要になるケースもありますので、設計段階で配置や器具選定に注意しましょう。
吹き抜けのあるリビングを活かすには

吹き抜けのあるリビングを活かすには、いくつか大事なポイントがあります。計画の際には、以下の項目を検討してみましょう。
●照明にこだわる
吹き抜けは空間が上方向に広がることで自然と視線も上に向くため、照明は注目されるポイントになります。吹き抜けのあるリビングでは、複数の照明を組み合わせたり、お気に入りのデザインのペンダント照明を設置したりするなど、照明計画にこだわるとぐっと魅力的な空間になるでしょう。おすすめなのは、間接照明を取り入れることです。例えば、間接照明として壁面上部に向けたスポットライトを採用すると、照らした光が天井に反射して空間が広がって見え、夜間の雰囲気もとても良くなるでしょう。
●窓の大きさや配置を意識する
吹き抜けのあるリビングでは、窓の大きさと配置は重要なポイントです。大きな窓や複数の窓を設置すれば、自然光がたっぷり入って明るいリビングになります。吹き抜けを活かし高い位置に窓をつければ、より光が差し込みやすくなるだけでなく、近隣からの視線が気にならないためプライバシーを保ちながら開放感を味わえます。また、高い位置と低い位置、両方に窓を設けると高さの違いにより効率的に換気ができるため、より快適な空間になるでしょう。
●リビング階段を設置する
コミュニケーションがしやすくなる吹き抜け部分にリビング階段を設置すると、家族が集まるリビングと上階の個室間とのアクセスが良くなるというメリットがあります。視覚的にも空間のアクセントとなり、立体効果も出せるでしょう。
リビング階段と吹き抜けは相性抜群!

リビング階段と吹き抜けは、とても相性が良い組み合わせです。吹き抜け空間の魅力をさらに引き立てる、そんな存在感のあるリビング階段について見ていきましょう。
●リビング階段の特徴
リビングの一部に階段をつくるリビング階段は、壁で囲まずに吹き抜けと組み合わせることで階段を空間に溶け込ませ、リビングの開放感をより一層高めます。また、階段スペースを別の場所につくらなくて良いため、玄関ホールや廊下周辺のスペースも節約できます。オープンタイプのリビング階段なら、階段の下をリビングスペースの一部として有効に使えるため、リビングがより広く見える視覚的効果があるのも大きな特徴です。外出や帰宅の際などに家族と顔を合わせる機会が自然と増え、コミュニケーションがとりやすくなるでしょう。
●DAIKENの『リビング階段』で吹き抜けを演出
リビング階段は毎日目にする場所なので、機能も見た目もこだわりたいところです。
DAIKENの『リビング階段(プレカット製品)』は、“踏板”“桁材”“固定金具”のそれぞれを色柄バリエーションから選ぶことができるので、組み合わせ次第で様々なインテリアスタイルとあわせられるのが魅力です。桁材は〈ホワイト〉と〈ブラック〉のほかに施工時に好みの色に現場着色できる〈無塗装〉があるため、個性を大事にしたい方の理想の空間づくりにも適しています。手すりは『オープンアルミタイプ(プレカット製品)』をチョイスすると、リビング階段の開放感とすっきりとした見た目が両立できるでしょう。
まとめ
リビングの吹き抜けは空間に広がりと開放感をもたらし、家族のコミュニケーションの機会を増やします。冷暖房の効果や窓のメンテナンスなどの問題があるため、メリットとデメリットを正しく理解しましょう。照明や階段といった要素やインテリアの工夫を取り入れると、快適で魅力的な住空間をつくることができます。
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執筆者
淀川 美和(よどがわ みわ)
株式会社アートアーク一級建築士事務所代表。一級建築士、インテリアコーディネーター、2児のママ建築家。「ママをきれいにする空間づくり」 をミッションの一つに掲げ、住宅・店舗・ホテル等の設計、内装コーディネート、メディア出演等を行う。自身も仕事と家事と育児のバランスをとりながら、忙しいママがいかに快適に家族と暮らせるかに焦点をあてつつ「お部屋のコンシェルジュ」として皆さまのお役に立てるよう奮闘中。
保有資格:一級建築士、インテリアコーディネーター、建築士会インスペクター、健康住宅アドバイザー、整理収納アドバイザー2級、アロマ検定1級