特別養護老人ホーム(特養)とは? 入居の条件や特徴、早期入居が見込めるユニット型特養もご紹介

特養

「老人ホーム」の呼び名で括られる高齢者向けの施設は、有料老人ホームと特別養護老人ホームに分類できます。

このうち、特養とも称される特別養護老人ホームは、社会福祉法人などが運営する公的な施設で、利用料金が低いことから人気があります。厚生労働省の調べによると、2018年に特養を利用した人の数は約610,000人でした。右肩上がりに利用者数が上昇していることから、今後も需要が伸び続けると予想されます。

本記事では、特別養護老人ホームに焦点を当てて、その基礎知識と近年話題のユニット型特養、特養の生活環境を支える建材について紹介します。

特養とは? 人気の高齢者向けの介護施設

特養

特養というのは介護が必要となった高齢者が生活するための公的施設です。この施設が担っている役割と目的は、要介護状態で在宅での生活が難しくなった高齢者に、介護と生活の場を提供することです。特養は高齢者向けの施設の中で利用者数が最も多く、高齢者自身とその家族から人気を集めています。

●特養に入居希望者が多い理由とは
特養は入居を希望する人が多く、入居待ちが発生することも珍しくありません。なぜ特養が人気を集めているのかについては2つの理由が挙げられます。

1. 公的施設の中でも低い料金設定
特養の魅力は何といっても利用料金の安さです。要介護5の方が多床室を利用した場合でも月額約10万円で済みます。また、有料老人ホームのように入居一時金も必要ありません。費用を抑えながら適切な介護を受けられるのが1つ目の理由です。
(※出典:厚生労働省「介護保険の解説 サービスにかかる利用料」

2. 終身利用が可能
2つ目の理由は終身利用できることです。例えば老健と呼ばれる介護老人保健施設は在宅への復帰が目的のため、入居期間の上限は3ヵ月~6ヵ月と決まっています。また、民間の有料老人ホームでも要介護度が高くなると対応できなくなり、転居することが必要になるケースがあります。一方、特養には看取り対応ができる施設もあるなど、終の住み処として選択できるので人気があるのです。

●入居の条件は原則要介護3以上
特養に入居する際は以下の条件を満たしている必要があります。

・65歳以上で要介護3以上の方
・要介護1~2で、認知症などにより特例として認められた方
・40~64歳で介護保険対象の特定疾病と診断された要介護3以上の方

特定疾病とは、がんや関節リウマチなど、要介護状態の要因となる病気のことです。16種類の疾病が指定されています。

こうした条件から特養へ入居するには、要介護3以上にならないと困難です。また、例え入居するための条件を満たしていたとしても、感染症や問題行為のある人は入居を断られることがあります。

特養にもデメリットがある

特養

特養は人気があって数多くの方が利用していますが、メリットばかりではなくデメリットもあります。

・待機期間が1年以上になることも
入居希望者が多いため、地域によっては待機期間が1年以上になることもあります。以前より条件が厳しくなったことで入居しやすくなりましたが、まだまだ待機期間が長くなるケースは珍しくありません。

・プライバシーの確保が困難な多床型
従来の多床型特養が持つデメリットは、プライバシーの確保が難しいことです。カーテンなどの間仕切りがあっても、会話や生活音が同室の入居者に聞こえてしまうのです。

・医療体制に限界がある
特養には24時間看護師を配置する義務がありません。そのため、医療体制に限界があり、医療行為によっては対応できないこともあります。

特養の課題を克服? 話題のユニット型特養とは

特養

ユニット型特養というのは、入居者を10人以下のグループに分け、個別ケアに重点を置いた介護を提供する施設です。入居条件は多床型の特養と同じですが、費用はユニット型特養のほうが若干高くなります。そのため、ユニット型は多床型よりも入居希望者が少なく、入居しやすいのがメリットといえます。

また、2017年現在でユニット型特養が特養定員数に占める割合は43.6%でした。厚生労働省は2025年までにこの割合を70%にすることを目指しており、ユニット型特養のニーズは今後もますます高まることが予想されます。

●特養の生活スペースに役立つ建材
ユニット型特養は、利用者一人ひとりを尊重したケアが提供できるように、個室と共有スペースで構成されています。これにより、居室内の生活音や家族・職員との会話が他の入居者に聞こえないため、プライバシーを確保することができます。つまり、防音性能や消臭機能を備えた天井材などがプライバシーの確保に役立つのです。

ユニット型特養では居室のドアにも工夫が必要です。例えば、高齢者施設での利用を想定したドアを採用すれば、入居者本人や介助者の負担を減らせます。特養をより快適で安全な生活スペースにするためには、開閉のしやすさや安全性などをポイントにドアを選ぶと良いでしょう。

なお、特養と似た高齢者施設に、グループホーム老健(ろうけん)がありますが、違いがよくわからないという方もいらっしゃると思います。その違いや看取り介護への対応について下記の記事でまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
「グループホームと特養の違いとは? 看取り介護への対応や求められる設備について」
「介護老人保健施設(老健)とは? 入所条件や特徴、リハビリからターミナルケアまで」

そして、特養やグループホーム以外にも高齢者施設にはさまざまな種類があります。下記記事に詳しくまとめていますので、そちらもぜひご確認ください。
「高齢者施設の種類と違い 「特養」「老健」「サ高住」など各施設の特徴をチェック」

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