公共・商業施設の設計に役立つヒントを発信しています

園舎に求められる床の性能

都市部を中心に保育施設の不足が社会問題となっています。
幼児教育のあり方が歴史的な転換期を迎えている現在、園舎の設計や建材選びにはどのような配慮が求められるのでしょうか。
1984年の設立以来、数多くの園舎設計を手掛けてこられた株式会社 時設計の菊地宏行氏にそのポイントを伺いました。

  • 菊地

  • お話を聞いた人


    株式会社 時設計
    代表取締役
    菊地 宏行 氏
    1984年有限会社 時設計を設立。
    1993年株式会社に。
    現在は東京、神戸、熊本、沖縄に営業拠点を置き、園舎設計のエキスパートとして日本全国に数多くの実績を持つ。

時代とともに変わる施設の用途を見定める

子供 転倒

床材:コミュニケーションタフ ケア〈杉〉

幼稚園・保育園・認定こども園などの園舎設計では、それぞれの施設の用途をしっかりと捉える必要があります。例えば保育園は、0〜1歳から小学校就学前までの多様な年齢の子どもが過ごす、「生活の場」です。特に保育室は、遊ぶ・勉強する・食事をする・お昼寝をするなど様々な用途で使用する部屋。園の保育方針や生活リズムを聞き、設備の配置・設計を考えます。

幼稚園は他の施設に比べて収容人数が多く、遊戯室などの大ホールや大型の遊具があり、園舎・設備共に大きなことが特徴です。規模が大きくなる分、先生の目が届きやすい工夫など、安全面を特に注意して設計します。

認定こども園は、女性の社会進出を促そうという国の方針に則って、幼保連携の流れの中で新しく生まれた施設で、幼稚園と保育園の両方の役割を兼ね備えたものです。幼稚園寄りの施設や保育園寄りの施設があるので目的に合った園舎設計が必要になります。

また都市部では、待機児童の問題からとにかく数を増やそうということで、東京都認証保育所など、自治体が独自の認証を与えている施設もあります。ほとんどはビルの中にあり、庭もない環境ですが、そんな中でも、やはり子どもが子どもらしく育つ環境を作っていきたいと考えています。

こういった各種施設の条件や制約の中でも、子どもができる限り自由に遊べて、しかも大人の目が行き届くような設計を心がけています。

子どもが子どもでいられる「時間」を設計する

子供 転倒

床材:コミュニケーションタフ ケア〈杉〉

私たちは、園舎という建築空間を作り出すとともに、そこで生活する時間を創造するという考え方をしています。長時間そこで生活する子どもたちのために、空間の用途や機能にあわせて多様性が感じられる工夫をしています。

 

例えば、建築用語でDEN(意味:ほら穴、隠れ家)と言いますが、使用目的を明確に決めず自由に寝そべったり座り込んだりできる、ゆとりのある空間を作る。廊下などでもスペースがあれば子どもたちは勝手に遊び場にしますから、わざと広めに作ってみることもあります。

その時に気を付けなければならないのは、決して死角を作らないということ。職員の数が足りないことも考慮して、目配りがしやすい設計を行っています。

子どもがのびのびと遊べるよう安全性を考えた床えらび

子供 転倒

内装建材に関しては、木質系を望まれることが多いですね。床や腰壁といった建材に使用すると、実際に温かみもあるし、やさしいイメージの空間になります。ただ、木の床に関してはいくつか注意することがあります。主に安全性、汚れやキズへの耐久性、防音性能が重要です。

まず安全面ですが、最近の親御さんは子どものケガに対してとても敏感です。そのため、安全への配慮はどの施設でも最も重視されています。当社では転んだ時の衝撃を考え、二重床にすることでクッション性を確保する場合が多いです。ケガへの配慮の他にも、ある程度のやわらかさがないと歩いていて疲れるということもありますから。床以外でも、扉は指を挟まないよう全て引き戸にして、扉木口の戸当たりにはゴムを付けることも行っています。腰壁もぶつかった時の衝撃を考えて羽目板に。建具やサッシなどは、子どもたちを傷つけないよう角を落とすという手間もかけています。

園舎の床に必要な汚れやキズ、防音への配慮

子供 転倒

床材:コミュニケーションタフ ケア〈杉〉

次に耐久性についてですが、部屋で食事をしたり、手洗い場があったりするので、シミになりやすい木の床は適さない場合もあります。フローリングと塩ビシートを使い分けるなどの配慮が必要です。また、ハイハイをする子どもがいる場合は、かたい床は適さないのでマットを敷くこともあります。

床材は長い年月にわたり使用することになるため、キズ・凹みにする強さも大切です。例えば、1階の床なら子どもが庭の砂を付けたまま走り回ることも多いので、突き板の厚みや耐傷性にも配慮します。無垢材に関しては、床暖房との相性が悪いうえ、水濡れや食べこぼし汚れに弱いのであまり使いません。もちろん、自然素材にこだわる経営者の方もいらっしゃるので、ご要望があれば使います。

園舎の床の設計では、防音にも配慮が必要。子どもたちが飛び跳ねたりドッジボールなどを床についたりする時の床衝撃音は、かなりの騒音になるものです。二重床にしてクッション層を作ることで、階下への音の配慮をしている施設も多いですね。

幼稚園・保育園・認定こども園といった施設は子どもが初めて社会へ出て、共同生活を体験する場所です。そこに携わる方々の想いや夢を少しでも形にすることを使命と考え、子どもの目線を大切に、園舎を設計していきたいと考えています。

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床材:コミュニケーションタフ ケア〈杉〉

衝撃吸収床材『コミュニケーションタフ ケア』に触れて。

子供 転倒
「直貼り用のフローリングで、衝撃吸収クッションのある床材は初めて見ました。二重床にする施設も多い中、この製品なら直貼りでも問題なさそうです。しっかり衝撃を受け止めてくれるので、子どもの怪我のリスクも減りますね。」と、『コミュニケーションタフ ケア』を評価する菊地氏。

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