ICT教育とは? 活用する意義“トリプルA”と導入で期待できる効果、環境づくり

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現在、文科省や総務省はICT教育の推進に力を入れています。高度に情報化された未来社会を生きる子どもたちにとって、ICTを活用する能力は不可欠だからです。
本記事では、ICT教育とはどのようなものか、そしてICT教育の意義を表す3つのA(トリプルA)についてまとめ、ICT教育のための環境づくりについても紹介します。

ICT教育とは? トリプルAで表される活用の意義

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ICT教育とは、シンプルな言い方をすれば情報通信技術(Information and Communication Technology)を活用した教育のことです。
ICTというと難しく感じてしまうかもしれませんが、インターネットで接続されたパソコン、スマートフォン、タブレットといった情報通信機器は今や日常にあふれています。これらの機器を自分の武器とする力、情報に翻弄されずコントロールする力は、将来ますます重要になってくるでしょう。未来の社会で生きる力を身に着けるためにも、子どもたちにとって情報活用能力は必要不可欠なものなのです。

実際、情報活用能力育成の取り組みはすでに始まっており、文部科学省は新学習指導要領においてICTの活用を推進し、教育現場のICT環境整備をすすめるとともに、小中高校でプログラミングを必修化してきました。総務省もまた、教育の情報化推進事業を展開しています。これらの推進事業の中でICT教育の意義を3つの側面からまとめた言葉が登場しました。それが「トリプルA」です。

トリプルAから見えてくるICT教育の役割

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トリプルAとは、ICT教育の意義をまとめた言葉で、「Active」「Adaptive」「Assistive」という頭文字がAの3つの言葉から成り立っています。ICT教育に期待できる3つの要素ということもできるでしょう。では、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

●Active(活性化)

ICT教育は主体的・協働的で深い学びを実現すること、すなわち教育を活性化させることが可能です。持ち運びがしやすいタブレットなどの端末を生徒が一人ずつ所有すれば、興味のあることをいつでもどこでも調べることができるので、学習場所にとらわれることがありません。
さらに、個別の端末には調査結果やアイディアなどをすぐに記録できます。ただの記録ならノートと鉛筆でも可能ですが、ICT機器による記録は、友達や先生とリアルタイムで共有できる点にメリットがあります。各種アプリケーションソフトを使いこなすことで、自身の意見をより魅力的にプレゼンテーションすることも可能になります。
主体的な学びを重視するアクティブラーニングについては、下記の記事もチェックしてみてください。
⇒「アクティブラーニングとはどのような学習法? 文部科学省が推進する理由と実践例

●Adaptive(最適化)

ICT教育には、学びを最適化する効果が期待できます。従来の画一的な課題は、ある子には難しすぎ、ある子には簡単すぎてやる気をそいでしまうという側面がありました。一方でICTを活用して子どもたちの学習データを蓄積・解析すれば、一人ひとりの習熟度を把握し、それぞれに最適な課題を用意することが可能になります。
また、蓄積されたデータは可視化されて教師や保護者に届きます。データを基にすることで、大人たちは子どもたちに対しより適切な学習上のアドバイスができるようになるでしょう。

●Assistive(支援)

ICT教育に期待される3つ目の役割は、心身の障がいや貧困、地理的な困難を抱える子どもたち、そして多忙な教職員を支援することです。例えば、海外の日本人学校でICT機器を活用すれば、輸送コストに悩まされずに日本語の教材を利用できます。病気によって継続した通学が困難な子どもは、オンライン会議システムを使えば病室内でも教師とのコミュニケーションが可能になります。他にもITリテラシーの向上、いじめの早期発見、教職員業務の効率化、印刷コスト削減など様々な面で子どもたちと教職員を支援する役割が期待できます。

ICT教育の環境づくりは地域の特性を活かして

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ICT教育に興味があっても、組織内だけでどのように推進していけばよいのかわからない場合もあるでしょう。そんなときは専門家の支援を得ることも選択肢の1つになります。
国によるICT教育の支援制度には、以下のようなものがあります。

・ 文部科学省「ICT活用教育アドバイザー派遣制度」

自治体や教育委員会が電話やメールなどで支援スタッフに相談できる制度です。支援スタッフはテレビ電話や訪問によって助言を行います。

・ 総務省「地域情報化アドバイザー派遣制度」

地方自治体等がICT活用による地域課題解決の専門家を派遣してもらえる制度です。

アドバイザー派遣事業によりICT教育が定着すれば、どの地域でも高度な学びを提供することが可能になります。また、文部科学省では地域活性化についてもICT活用を推進しており、教材のカスタマイズをすれば、地元の資源や地域課題について学んだり、郷土に貢献できる人材育成を目指すことも可能でしょう。

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そして、ICT教育を学ぶ環境としておすすめしたいのが、地域産材を使用した建材を教室に導入することです。地域経済に貢献しながら子どもたちが地元の木について触れて愛着をもってもらう機会をつくれるだけでなく、木材で作られた空間はストレスを緩和し、授業への集中力を高める効果も期待できます。木の学校づくりのメリットなどについては、下記の記事もチェックしてみてください。
⇒「文部科学省が促進する地元の杉やヒノキを活用した木の学校づくり そのメリットとは?

子どもたちに生きる力を身につけさせるためにも、トリプルAを実現するICT教育と、それを行う環境づくりは大切です。現状の学習環境についても一度見直してみてはいかがでしょうか。

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