文部科学省が促進する地元の杉やヒノキを活用した木の学校づくり そのメリットとは?

文部科学省

文部科学省が取り組んでいる「木の学校づくり先導事業」。これは、学校施設への木材利用を全国規模で推進するプロジェクトです。
柔らかく温かい、ストレスを軽減できる、湿度を最適に保つなど、木材にはたくさんのメリットがあり、快適な学習環境作りに貢献します。また地元の木を建材に使うことで、地域産業を学習するきっかけになります。地域産材を活用した校舎は、愛すべき地域のシンボルとなるでしょう。
この記事では「木の学校づくり先導事業」の背景、目的、木材を使うメリットをまとめてご紹介します。

文部科学省が勧める「木の学校」とは?

建築基準法の耐火基準が改定されたことで、今までに比べ大規模木造校舎が建てやすくなりました。この法改正を受け、文部科学省は「木の学校づくり先導事業」を2015年よりスタートさせました。これは校舎新築、改装、整備の際に木材利用を推進する全国規模の支援事業です。
学校施設に使われている材料といえば、コンクリートや鉄筋を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、これらは固く冷たい印象があります。
学校は多感な時期を過ごす子どもたちが一日の大半を過ごす場所です。「木の学校づくり先導事業」の背景には、柔らかさやぬくもりを感じさせてくれる木材を使うことで豊かな教育環境作りを実現したい、という思いがあります。また木材は吸湿性にも優れており、湿度調整にも最適です。子どもたちの学習環境を快適にするのに、適した材料といえるでしょう。

生徒・教師のストレスを軽減する木の建物

文部科学省

校舎の内装を木質化すると、心理・情緒・身体面において様々なメリットが得られると言われています。
文部科学省「こうやって作る木の学校~木材利用の進め方のポイント、工夫事例~」(平成22年5月発行)には、木質化のメリットが多数掲載されています。

●1.心理的・情緒的なメリット

木の空間はストレスを緩和させ、授業での集中力を増加させるという研究結果が出ています。そして、子どもたちは、木の校舎内で生活することで心地よさや自分の居場所があるという感覚を感じやすくなると言われています。

木の感触も魅力的です。木は柔らかく、触るとほのかな温かさも感じられます。学習の場では、床に座ったり、壁に触れたりする機会もあるでしょう。このような時に、子どもたちに心地よい感覚を与えてくれるのは木材ならではのメリットです。

●2.身体的なメリット

例えば、室温についてです。木材はコンクリートに比べて熱容量や熱拡散率が小さいため、床や壁が温まりやすいという特徴があります。 また、湿度を調整する機能があります。高湿度になる梅雨には水蒸気を吸収し、乾燥する冬場には逆に水蒸気を放出します。つまり、木材を使った校舎なら一年を通して理想的な湿度を保つことができるのです。 加えて、木の床は結露しにくいので、コンクリート製のものに比べて転倒の危険性が少なくなります。

木材で作られた教室ではこれらのようなメリットが想定できるため、先生も生徒も気持ちよく過ごせるのではないでしょうか。

参考:「こうやって作る木の学校~木材利用の進め方のポイント、工夫事例~」

地元の木を活用して地域に愛される建物に

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木を使った校舎は、「地域を知る生きた教材になる」点にも注目したいところです。

学校は地域コミュニティの核であり、身近な施設の一つです。地域産材を活用することで地域のシンボルとなって愛されることでしょう。また、木材を利用した施設は、木や森に親近感を持つことにもつながり、子どもたちの環境教育の教材にもなります。伐採や植林の体験を通して林業への理解を深めている小中学校もあるようです。

しかしながら、建材や家具を選ぶ場合、メンテナンス性も重要なポイントです。
国産材の多くを占める杉やヒノキは、加工が楽な反面傷つきやすいという課題があります。不特定多数が使用する学校の場合、耐久性が心配です。

現在は、木の素材感を保ったまま、凹みや傷がつきにくい加工技術が施された建材も登場しているので、是非検討してみてください。

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