畳の種類まとめ
素材の違いや選び方、伝統的なスタイルから和モダンに合う製品
畳のデザイン
畳はデザインによって大きく2種類に分かれます。従来の畳には傷みを防ぐための「縁(へり)」が付いていました。しかし、近年では畳の種類も増えており、シンプルでおしゃれに見える縁なしタイプも注目されるようになりました。それぞれを詳しく紹介します。
縁付きタイプ
伝統的で落ち着いた印象を持つ従来の畳には、長手方向に「縁(へり)」とよばれる布が付いており、衝撃から畳を守ったり、敷き合わせの隙間を埋めたりする役割を担っています。縁の模様や色で階級を示す時代もありましたが、近年ではインテリア性を高める要素としても取り入れられています。縁付き畳は敷き方もいくつかあるので詳しくは以下をご参照ください。
縁なしタイプ
端に縁が付いていないシンプルなデザインの畳が縁なし畳です。昔は化学繊維がなかったので縁には絹や綿などの高級素材が使用されていましたが、ほつれたり破れたりしやすく、人の往来が多い場所には不向きでした。そこで、初めから縁を付けない実用的で使いやすい縁なし畳が生まれたのです。最近では和モダンや洋間にもマッチするおしゃれな畳として注目されています。
畳の施工方法
畳は施工方法によっても2つの種類に分けることができます。それぞれマッチする部屋の印象や利便性が異なるので詳しく解説します。
敷き込みタイプ
床の下地の上に敷き込むタイプの畳です。使用する畳のデザインには縁付きと縁なしの両方があります。通常の和室や小上がりなどはこのタイプを採用しています。フローリングの隣に畳をつなげて、洋と和が融合したおしゃれな部屋を演出することも可能です。
置敷きタイプ
フローリングの上に置いて使用するタイプです。縁付きと縁なしの両方があります。ラグのような感覚で敷けるため、畳の持ち味を手軽に楽しめます。フローリングに和室の雰囲気を取り入れられるほか、簡単に移動できるのもメリットです。
置き敷きタイプの畳についてはこちらをご参照ください。
⇒『ここち和座 置き敷きタイプ』
畳表に使われる素材の種類
従来、畳表はイ草でつくられていましたが、近年では素材に和紙や樹脂も使用されています。本物感や手触りの良さを求めるなら、イ草>和紙>樹脂の順、耐久性を求めるなら、樹脂>和紙>イ草の順に度合いが高くなります。それぞれ詳しく解説します。
イ草
従来の畳に使われた原材料がイ草です。吸湿性が高く消臭・脱臭効果がある上に、イ草特有の香りにはリラックス効果もあることが分かっています。リビングや寝室にも適していますが、天然素材なので湿気に弱く、カビやダニが発生しやすいのが弱点です。日焼けや摩耗によって劣化するため、定期的な交換が必要となります。
和紙
畳の新たな原材料として注目されているのが和紙です。イ草よりも耐久性に優れ、カビやダニに強い特性を備えています。また、着色がしやすくカラーバリエーションも豊富なので、居室向きの畳材として近年注目されている素材です。DAIKENでは、和紙※をこより状にした独自の製法により、優しい肌触りに定評のある和紙畳を取り揃えています。
※機械すき和紙(コウゾ・ミツマタを使用した手すき和紙ではありません)
樹脂
樹脂畳は主にポリプロピレンを使用した畳です。水に強く、摩れや色褪せなど、経年劣化が起こりにくいため、汚れやすい、または濡れやすい場所に適しています。宴会場のような往来の多い場所や脱衣所に適しており、お手入れも楽なのが特徴です。
畳床の種類
畳床(たたみどこ)というのは、畳の芯に当たる中の部分です。デザインに関係する畳表と違い、外側から見えることはありませんが、種類によって耐久性や機能性が異なります。
藁床(わらどこ)
藁床は畳床の中でも古くから利用されています。伝統的な畳らしいクッション性のある踏み心地や藁独特の香りが魅力で、耐久性にも優れています。しかし、一方で気密性の高い近年の住宅に使用するとカビやダニが発生しやすく、湿気に弱いという欠点もあります。
藁サンド床
藁サンド床はポリスチレンホーム(もしくはインシュレーションボード)を藁で挟んだ畳床です。表面部分が藁になっているので、畳独特の柔らかさを残しながらも、カビやダニが繁殖しづらく、質量も藁床より軽い畳床です。
建材(ボード)タイプの畳床
畳床には建材タイプのものもあります。藁を使った畳床に比べてカビやダニが繁殖しづらく、断熱性や防音性などの機能に優れているのが特徴です。建材タイプの畳床は使われている材料によってⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型に分かれます。
Ⅰ型建材の畳床は木材を圧縮したインシュレーションボードで作られています。Ⅱ型建材の畳床はインシュレーションボードの下部にポリエチレン樹脂と発泡剤で作られたポリスチレンフォームを重ね合わせた2層構造になっています。最後のⅢ型建材の畳床はインシュレーションボードの間にポリスチレンフォームを挟んであります。
畳サイズの種類
続いて、畳サイズの種類を紹介します。畳はサイズが一定ではなく、地域によって種類が異なります。 全国的に最も多く用いられているサイズは「江戸間」で、畳の標準的な規格となっています。
呼び方 | 用いられる場所 | 一畳のサイズ |
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京間(きょうま) |
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六一間(ろくいちま) |
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中京間(ちゅうきょうま) |
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江戸間(えどま) |
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団地間(だんちま) |
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なお、ここで紹介したサイズは通常の和室に見られる敷き込みタイプの畳に関するものです。置敷き畳は敷き込み畳の約半分(半畳)のサイズが主流です。正方形のものが多いので、色の違うものを交互に並べると、おしゃれな市松模様になります。
畳を選ぶ際のポイント
畳の種類について解説しましたが、現在、畳は様々な製品が販売されています。ここでは、畳選びに役立つ4つのポイントを解説しますので、購入する際の参考にしてみてください。
部屋のテイスト
伝統的な和の空間を作りたいなら縁付きタイプ、モダンな印象を求めるなら縁なしタイプがよく合います。また、個室の場合は縁付き畳がしっくりきます。リビングやダイニングのようなフローリングとつながる部屋は、縁なしタイプの畳を合わせると和モダンでおしゃれな印象になります。
移動の可否
模様替えする時に畳も移動したい場合は、置敷きタイプがおすすめです。
敷き込みタイプでも交換はできますが、手軽に場所を変えるというわけにはいきません。ただし、伝統的な和の空間を確立したいのであれば、敷き込み畳のほうが風格のある部屋に仕上がります。
耐久性・機能
畳表、畳床の種類を選ぶ際は、摩耗に対する耐久性や、カビ・ダニの発生を抑える素材のものを選ぶのも重要です。従来のイ草畳は天然素材で吸湿性が高いものの、耐久性・防カビ・防ダニなどで優れた機能性を持っているのは和紙畳です。
定期的な交換を見越した上で香りを楽しみたい人はイ草畳がおすすめ。長い目で考えて高機能な畳を求める方には和紙畳が適しています。また、樹脂製は水に強く最も耐久性に優れているため、一般居室は優しい肌触りの和紙畳、汚れやすい空間は樹脂畳などの選び分けがおすすめです。
デザイン・カラー
最近は畳にも様々なデザインやカラーのものがあります。また、2~3色の緯糸(よこいと)で編んだものや、デザインが独特で個性的な空間に合う畳も多く見られます。特に和紙畳はカラーバリエーションが豊富なため、おしゃれな畳を求めている方はイメージに合うものが見つかるはずです。畳のカラーコーディネートをシミュレーションしてみたい方は以下をご参照ください。