巾木はなしでもいい?
役割とデザイン性について考える

巾木とは壁材と床材が接する部分に使用する部材を指します。
現在の多くの住宅には巾木が設置されていることが一般的です。巾木は壁と床の取り合い部分に生じる隙間をふさぐほか、壁の保護や、化粧材として家などの内装に統一感をもたせたりデザイン性を高めたり、さまざまな効果をもたらします。
化粧材として内装の仕上げに多く用いられる巾木ですが、さまざまな素材や豊富なデザイン・カラー・メンテナンスのしやすさといった実用性から選ぶことができ、空間のテイストやこだわりにあわせて選択が可能です。また、家などの室内で圧迫感を抑えシンプルな空間を演出するために、巾木なしで部屋を作るという選択肢もあります。さらに入り巾木など巾木が壁から飛び出して見えないタイプの巾木も選べます。

こちらの記事では、巾木の役割や読み方、内装の部材としての特徴、巾木なしにする場合のメリット・デメリット他、インテリアとしてのデザイン性や機能性に優れた商品にもふれていきます。是非一度、ご覧ください。

巾木とは、その役割とは

巾木とは、その役割とは

巾木の役割にはどのようなものが挙げられるでしょうか。

巾木とは、壁と床が接する部分を覆うように取り付けられる部材です。 壁材と床材を施工する際には、取り合い部分(異なる部材が接する部分)に数ミリ隙間が生じてしまうことがあります。また、乾燥などによって伸縮が生じる無垢材などを床や腰壁などに使用した場合や、床鳴り・たわみなどを避けるために、あえて隙間を設ける場合もあります。
隙間はそのままにしておくとゴミが溜まり不衛生となるほか、隙間風が入り込むなど、暮らしの快適さを失う原因ともなるため、巾木の設置が有効です。

壁と床の取り合い部分は特にホコリや汚れも溜まりやすく、どうしても掃除をする際に掃除機やモップ・雑巾などがぶつかる頻度も高くなります。
床でオモチャ遊びをすることが多い小さなお子様や、ペットと生活をともにするご家庭では、壁面の下部はダメージを受けやすい部分です。

巾木は、このような日常的な衝撃やキズ・汚れなどから、クロス(壁紙)や塗り壁などの壁材を保護する部材でもあります。

出巾木、面巾木、入り巾木…巾木の種類と読み方

巾木の種類と読み方

巾木は「はばき」と読みます。巾という字は見慣れないかもしれませんが、実は幅(はば)という漢字の部首(はばへん)として使われています。幅の字の部首に注目すれば、巾の読み方も覚えやすくなるでしょう。この巾という字に木を組み合わせて、「はばき」という読み方になります。

巾木には壁に対する位置によっていくつかの種類がありますので、それぞれの特徴と読み方を紹介します。

出巾木

読み方は「ではばき」です。出巾木は、巾木のパーツが壁面よりも前に飛び出しているタイプの巾木のことです。壁面に対して巾木の厚みがはっきり分かる出巾木は、普及率の高いスタンダードなタイプの巾木です。

面巾木

読み方は「つらはばき」です。壁とフラットになるように設置するタイプの巾木を面巾木と呼びます。同面巾木(読み方は「どうづらはばき」)、フラット巾木と呼ぶこともあります。なお面巾木には、壁と同じ素材を用いる場合と、壁とは別の素材を用いる場合があります。面巾木を使うと、出巾木を設置した場合とは違い壁に凹凸がない状態に仕上がります。そのため、面巾木を使った部屋は巾木なしの部屋のように見た目がすっきりしてみえます。また出巾木に生じる巾木の厚み部分にほこりが溜まったり、壁下の一部のスペースが狭くなってしまうデメリットを感じなくて済みます。一方で面巾木は施工するのが難しく、きれいに仕上げるための手間がかかり、費用が高くなるという面もあります。

入り巾木(入巾木)

読み方は「いりはばき」です。入り巾木とは壁面より引っ込んだところに設置されるタイプの巾木です。壁の中に収めるような形で設置する点は、面巾木と似ています。しかし入り巾木は壁面よりも下がった位置に付ける巾木のことを指す言葉です。壁と同じ面上に納める面巾木よりも、入り巾木の方が奥に設置するイメージです。入り巾木は面巾木と同じく壁がフラットに見えて、巾木の汚れを気にしなくても良いというメリットがあります。ただし入り巾木は面巾木と同様に施工コストが高くなります。

このように巾木には入り巾木や面巾木といった種類もありますが、これらは施工コストが高く一般的ではありません。そのため本記事では最も多く使用されている出巾木を想定して解説を行っていきます。

巾木も内装デザインの一部

巾木も内装デザインの一部

壁の保護や隙間風の侵入を防ぐといった機能をもつ巾木は、化粧材として室内空間の演出にも欠かすことのできない部材の1つです。

室内の色調を統一させている場合などは、同色系統の巾木を使用することで機能面を維持したまま空間に広がりをもたせることができます。
また、アクセントとして巾木を使用する場合は、色調の濃いもので空間を引き締め、シャープな印象を与えることも可能です。
バロック調の内装にも最適な彫り込みなどの装飾が施してあるものや、オフィスなどにも使用される塩化ビニール製のシンプルで加工がしやすいもの、天然素材のオーダーメイド品など内装のテイストやこだわり、空間の使用用途にあわせて巾木を選んでみるのもよいでしょう。

極力無駄なものを排除したミニマルでシンプルな空間をつくりたい場合は、巾木なしで部屋を作る方法もあります。
壁や床の素材や質感を際立たせたり、圧迫感のない空間に仕上げたりすることもできますが、隙間なく施工するためには経験豊富な職人であっても手間が掛かり、床材保護の養生も入念に行う必要があります。また、材料の乾燥にともなう伸縮により、あとから隙間ができる場合もあります。
このほかにも、壁と床が接する部分には湿気が溜まりやすく、壁をクロス(壁紙)で仕上げている場合は、下部から捲れてきてしまったり、塗装や塗り壁仕上げの場合は塗料の剥離が生じることも少なくありません。

施工時には工期も長くなり費用も高額となるほか、壁材下部のヨゴレ・キズ・不具合などが防止できず将来的に補修の頻度が増す可能性があります。小さなお子様がいるご家庭やペットとの暮らしを満喫したい場合には、巾木なしにするよりも好みに合わせた巾木を選んで設置することをおすすめします。

せっかく巾木をつけるなら

せっかく巾木をつけるなら

現在ではさまざまな巾木が展開されており、機能やデザイン性などを兼ね備えた商品も販売されています。

ゴミやホコリが溜まりにくいよう上部をR状に加工されているものや、表面のヨゴレを簡単に落とすことができるもの、床の凹凸に馴染み室内の気密性が高まるよう裾部分に樹脂製のパッキンが取り付けられているものなど、実用性や利便性を高め、メンテナンスも楽に行える巾木も登場しています。

このほかにも、存在感や圧迫感を抑えた薄型のもの、クロス(壁紙)をはがすことなく巾木の交換リフォームやリノベーションに特化したもの、出隅の造作が必要なくワンタッチで後付けできる樹脂製のコーナーキャップなど、小さな困りごとにも配慮された製品が数多く用意されています。
スタンダードな木目調のものでもカラーが豊富で、単色のホワイトやグレー・ブラック、部屋のアクセントカラーとして色調の異なるものを使用しているケースもみられます。

新築時はもちろんのこと、リフォームやリノベーションを予定されている方は、機能面にも優れた巾木の設置を検討してみてはいかがでしょうか。

※ここに掲載されている情報は2024年4月時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。