残響時間とは
リビングや演奏部屋、オーディオルームならどの程度が理想?

残響時間は、建築物を設計する際には必ず考慮すべき大切な要素です。住宅においても、それぞれの部屋の用途に合わせて、音の響き方を調整することで快適に過ごすことができます。このコラムでは、残響時間の定義や音響調整製品をご紹介するので、新築・リフォームを検討中の方や、自宅で楽器演奏したい方は特に参考にしてみてください。

残響時間とは

音源が振動を止めても、音がしばらく壁や天井などに反射して響き続けることを「残響」といい、音源の振動が止まってから音量が60dB減衰するまでの時間を「残響時間」といいます。なお、残響時間の単位には秒(S)が使われます。

※dBはさまざまな分野で使われますが、音響の分野で使用される場合は、音圧、つまり音の強さ・大きさを表す単位として扱われます。数値が大きいほど、音が強く大きいことを示します。

残響時間の長さの種類

ライブ 残響時間が長い状態のこと。音がよく響き、生き生きと感じられる。
デッド 残響時間が短い状態のこと。音が強く感じられる。

残響時間が長く続く状態のことを「ライブ」、反対に残響時間が短い状態のことを「デッド」といいます。ライブでは音がよく響いて聞こえ、デッドでは音の響きを抑えるため、はっきりと聴き取りやすくなります。

リビングやオーディオルーム、自宅スタジオなど、部屋によって適切な残響時間は異なるため、部屋の用途に合わせた音響設計が必要です。

【部屋別】最適な残響時間

【部屋別】最適な残響時間

上図は、部屋の容積(㎥)と使用目的に応じた最適な残響時間の目安を表したグラフです。演奏や音楽を楽しむための空間は、話すための空間よりも、音が適度に響いたほうがよいことが分かります。部屋の容積や使用目的によって、適切な残響時間は変わる傾向にあります。

リビング・ダイニング

広さにもよりますが、リビングやダイニングの残響時間は0.3秒程度が理想とされています。一般住宅の室内はおおよそ上図の「スピーチ用」の残響時間に近い、発話に適した空間とするのがおすすめです。

また、特に乳児や幼児のいるご家庭では、お子様の泣き声や遊ぶ音、ペットの鳴き声などが響くと家族が音に疲れてしまうため、残響時間に注目して設計するとよいでしょう。

自宅スタジオ

自宅にスタジオを設ける場合は、上図の「音楽演奏用」に当てはまります。広さにもよりますが、演奏やセッション、声楽の練習をするなら、上図より残響時間0.4~0.6秒程度が理想と考えられます。

ただし、自宅スタジオで収録もするなら、あまり残響時間が長いと音がクリアに録音できません。「音楽演奏用」より少し短めに残響時間を設定すると良いでしょう。

自宅スタジオのつくり方はこちら

オーディオルーム・シアタールーム

オーディオルームやシアタールームは、上図の「視聴室用」に当てはまります。広さにもよりますが、適切な残響時間は0.2~0.4秒程度です。

特にシアタールームでは、映像中の会話を聞き取る必要があるため、残響時間は短めに設定されるのが一般的です。しかし、残響時間が短すぎると劇中の音楽を楽しめないため、適度に調整することが必要とされます。

残響時間と吸音率の関係

残響時間は部屋の「吸音率」によって変わります。吸音率とは音が物に当たったときに吸音される割合のことです。

部屋に使用する建材や部材の吸音率×面積の数値が大きいほど、音が吸収されて残響時間が短くなります。音の響きが心地よい、快適な空間を実現するためには、部屋ごとに適切な残響時間になるように、家の構造(木造・RC造・SRC造など)を考慮し、建材・部材を組み合わせる必要があります。

ただ、ご自身で判断して建材などを組み合わせるのは難しいので、専門家である施工会社や建材メーカーに相談しましょう。

【後付け可能】簡単に設置できる音響調整製品

おうち時間が増えた昨今、自宅に設置するスタジオやオーディオルームに注目が集まっています。今ある部屋に手を加える場合は、空間に合わせた残響時間の調整が必要です。そこで、DAIKENでは、後付けで簡単に設置できる音響調整製品をご用意しております。部屋の使用用途に合わせて選んでみましょう。

サウンドトロン

『サウンドトロン』は部屋の四隅や壁際に置いて、室内の音響を調整するアイテムです。壁自体に吸音建材を施工する必要がないため、部屋のデザインやイメージを大きく変えず、簡単に残響時間を変えることができます。設置本数は8畳程度までの空間には4本、20畳程度までの空間には6本が目安となります。

オトピタ

『オトピタ』は壁に取り付けて、室内の音響を調整するアイテムで、専用フックで簡単に取り付けられるのが特長です。また、バリエーションが豊富なので、音域やデザインに合わせて選べるのもオトピタの特徴です。部屋の用途や広さに合わせて、パネルの数をお選びください。

【要工事】本格的に対策できる音響調整製品

新築やリフォームを検討されている方には音の響きを調整する壁材や天井材を施工する方法がおすすめです。工事が必要になりますが、音響調整効果が高く、また場所を取らないため空間がすっきりと広く見えます。

オトテン

『オトテン』は吸音性能のある天井材です。下地を剥がさず、上張り設置もできるので、工期が短いのが特長です。また、遮音性能もあるため、音漏れ防止効果も期待できます。本格的に音響調整したい自宅スタジオやオーディオルームに使用する場合は、防音下地工事との組み合わせがおすすめで、プロの方にもご利用いただけます。

クリアトーン12SⅡ

『クリアトーン12SⅡ』は吸音効果に加えて、調湿機能のある天井材で、生活音が気になるリビングやダイニングの天井におすすめです。下地を剥がさず、クロスの上から上張り設置することも可能です。また、湿気を適度に減らすため、結露やカビ・ダニが発生しにくいのも嬉しいポイントです。

オトカベ

『オトカベ』は音響調整専用の壁材です。ホームシアターやオーディオルーム、ピアノなどの楽器を演奏する部屋に適しています。設置には下地工事が必要なため、上張り用の壁材と比べると工事に時間がかかることがありますが、本格的に音の響きを調整することが可能です。

防音パネル

『防音パネル』は遮音と吸音の効果を合わせ持つ下地材です。石膏ボードの上に張り、さらに布クロスを重ねるため、外側からは見えません。そのため、内装にこだわりたい方も、防音パネルなら好みのイメージに仕上げることができます。シアタールームや自宅スタジオなど、本格的な防音室への設置がおすすめです。

残響時間に注目して心地よい空間に仕上げよう

残響時間に注目して部屋の建材・部材を選ぶと、使用用途に合った空間に仕上げることができます。音の響きを楽しみたいオーディオルームや楽器の演奏部屋、映像中の会話をクリアに聞きたいシアタールーム、お子様の声や生活音が気になるリビングルームなど、それぞれの空間に合わせて適切な残響時間に調整しましょう。

DAIKENでは、音響を調整する装置や壁材、天井材など、幅広いラインナップをご用意しております。家族が楽しく暮らせる心地よい空間づくりに、ぜひお役立てください。

※ここに掲載されている情報は2023年11月13日時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。