公共施設の湿度を適正に! 湿気を防ぐ対策と利用者が快適に過ごせる環境づくり

湿度適正

日本は夏が高温多湿、冬は低温低湿ですが、実を言うとこれは世界的に見ても珍しい、人にも建物にも厳しい気候なのです。夏の湿度は、人が快適に過ごせるレベルを通り越して不快に感じてしまい、逆に冬は湿度が低下して乾燥して肌荒れなどのトラブルにつながりやすいなど、どちらの季節も湿度による問題が起こりがちです。

当然、建物においてもこれらの対策は必須で、多くの人が利用する公共施設では、利用者が快適に過ごせるよう、常に湿度を適正に保つことが重要です。適正な湿度は、施設内における空気の質を向上させ、利用者が快適に過ごすための環境を実現させます。
本記事では、適正な湿度を管理する必要性や方法と、省エネな湿気対策のポイントを紹介します。

公共施設に適した湿度は? 湿度管理はなぜ必要?

湿度適正

公共施設において湿度を適正に管理することは、利用者の快適性や健康を維持するために必要不可欠です。
厚生労働省の「建築物環境衛生管理基準」は、一般的な施設の湿度を40%以上70%以下に維持管理することを基準としています。
施設をより快適に利用できる適正な湿度は、施設の種類や用途によっても異なりますが、40%~60%程度が望ましいとされています。

湿度が60%を超えてくると、気温によっては利用者に不快感を与え、カビやダニなどが発生しやすくなります。さらに、湿度65%を超えてくると、書物などにカビも発生しやすくなるため、特に注意が必要です。
一方、湿度が40%未満になると、空気中のホコリなどの微粒子が浮遊、滞在しやすくなります。空気の乾燥で口や鼻といった呼吸器系の粘膜も乾燥するため、衛生面でのリスクも高まります。

そのため、湿度の理想的な状態は一年を通して50%程度に保つことだといえます。
利用者やそこで働く人にとっての快適性や健康はもちろん、収蔵品を守る観点からも施設の湿度を適正に保つことが重要です。

施設内の湿度を適正に保つには

湿度適正

施設内の湿度を適正に保つためには、年間を通じて温度・湿度が一定になるよう、空調設備を稼働させることが基本となります。書物や収蔵品に対する配慮という観点からも、年間および一日のうちでも温度・湿度の急な変動をさせず、結露の発生を防ぐこともポイントです。

しかし、近年はCO2削減や節電への対応を求められることも増えてきました。
季節に合わせた適切な設定温度・湿度の管理、稼働効率の低下を防ぐ定期的な空調設備の点検・メンテナンスなど、快適性と省エネルギーに配慮した温度・湿度管理が重要です。また、室内の換気によって湿気を排出することも有効です。
空気がこもって湿気がたまりやすい場所や湿気が発生しやすい場所では、定期的に換気扇を清掃・稼働することで効果的な湿気対策になります。

持続可能な方法で湿度管理を

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公共施設において湿度を適正に保つ際は、省エネや環境負荷の低減を考慮した方法が求められます。ここからは、持続可能な方法による湿度管理の例を紹介します。

【自然換気の活用】

湿気対策として自然換気を活用することで、省エネと環境負荷の低減が可能です。
室内の湿った空気を排出し、新鮮な外気を取り込むことで、カビの発生を予防しつつ、結露防止の効果も期待できます。

自然換気はできれば湿度の低くなる傾向にある、晴れの日の昼間に行うのが効果的です。適切に自然換気をすることで、環境負荷に配慮した湿度調整が可能となります。

特に高齢者が利用する施設においては、健康維持や衛生対策のためにも、より温度・湿度管理に配慮したいところです。下記記事で、高齢者施設における温度・湿度管理の注意点などを詳しくまとめていますので、こちらもチェックしてみてください。
⇒「部屋を快適な湿度にするには何%が適正? 高齢者には湿度が高い、低い どちらが良い?

【調湿機能を備えた建材を使う】

湿度を適正に保つ方法としては、調湿建材を採用することも有効です。
調湿建材には、湿気を吸収・放出することによって、結露やカビの発生・過乾燥を軽減する機能があります。このような調湿機能を持った建材を使用することで、省エネを実現すると共に持続的な湿気対策を行うことが可能となります。
さらには、調湿機能に加えて吸音性能やホルムアルデヒドを吸収・分解する性能を併せ持つ天井材もあるため、様々なシチュエーションでの活用が期待できます。

まとめ

公共施設において、より快適に施設を利用できる適正な湿度は、施設の種類や用途によりますが、40%~60%程度が一般的です。
空調設備で一定の温度・湿度管理を行い、施設の湿度を適正に保つことが重要となります。ただし、持続可能な方法による省エネを意識した湿度管理が求められる現在。自然換気を利用した湿度調整や調湿建材を使った湿気対策を検討してみてはいかがでしょうか。

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