手すりはなぜ必要? 手すりの種類とそれぞれの役割、設置場所別の要注意ポイント

手すり

高齢になると移動や立ち上がりの動作がしづらくなるため、高齢者施設にとって手すりは欠かせない設備です。

設置場所や使用方法で選ぶべき手すりは異なります。これは、種類によって使い方や適正が違うためです。また、高齢者が安全に移動や立ち座りをするためには、設置する時の注意点を押さえておく必要があります。

そこで、主に高齢者施設の屋内で使うことを想定した手すりの種類と役割、設置方法の注意点を紹介します。

使い方と設置場所に適した手すりの種類とは

手すり

高齢者施設に設置される手すりは、使い方や設置場所によって、おおよそ以下の5種類に分けられます。

・水平手すり(横手すり)
水平手すりは、床面に対して並行に設置する手すりです。高齢者施設では廊下や通路に設置され、高齢者の杖代わりに使われます。使い方は、手すりを軽くつかむようにして、手を滑らせながら移動します。

・I型手すり(縦手すり)
I型手すりは、床面に対して垂直に設置する手すりです。設置場所は出入り口や扉の周辺、トイレなどです。例えば、出入り口や扉の周辺に設置すると、扉の開閉時に不安定な姿勢になるのを防いでくれます。また、トイレでは立ち座りの動作をサポートするのに役立ちます。

・L型手すり
L型手すりは、縦手すりと横手すりが一体化したL字型の手すりです。トイレや浴室などに設置すると、立ち座りの動作や姿勢の安定に役立ちます。縦手すりと横手すりの双方があることで、様々な使い方ができるのが特徴です。

・階段手すり
階段手すりは、階段に設置する手すりです。つかまることで階段の昇り降りをスムーズにして、転倒や転落を防ぎます。

・据え置き型手すり
手すりを設置する壁がない場所で利用されるのが据え置き型手すりです。この手すりは床に置いて使うため、必要に応じて移動できるのが特徴です。ベッドの横に設置して立ち座りをサポートするのによく使われます。

廊下、階段、トイレの手すりの役割

手すり

高齢者施設で主に手すりが設置されるのは「廊下」「階段」「トイレ」です。
その理由は、移動時や立ち座りの際に転倒・転落するリスクが高く、入居者が少しでも安全・安心な生活を送るために必要だからです。
ここでは場所ごとの手すりの役割や必要性について紹介していきます。

●廊下
高齢者が自室からトイレや浴室といった別の場所に移動する度に、必ず通る場所となる廊下。安全に移動を行うためのサポートとして、高齢者の動線に沿って手すりを設置しておく必要があります。

●階段
階段には、建築基準法で手すりを設置する義務があります。段差が大きく、事故が起こりやすい場所でもあるため、握りやすい形状の手すりを設置することで、高齢者の転倒・転落防止に努めましょう。

●トイレ
高齢者施設では日々の生活にかかせないトイレにおいて、手すりは必要な設備です。なぜならトイレは、せまい空間ながら扉を開閉しての出入りや立ち座り、水平移動といった高齢者にとって負担の大きい動作が集中する場所のためです。加えて床面が濡れている場合は滑りやすいため、大きな事故につながるリスクがあります。つまりトイレには、必要な動作を補助する適切な手すりの設置が必要なのです。

手すりを設置する場所ごとの注意ポイント

手すり

手すりはやみくもに設置しても使い勝手が良いとは限りません。
手すりの効果を高めるために、設置場所ごとの注意ポイントを押さえましょう。

●廊下は750~800mm程度の高さが目安
廊下には水平手すりを設置するのが一般的です。水平手すりを使いやすくするためには、設置する高さと手すりの太さに注意しましょう。
高さは床から750~800mm程度がつかまりやすく、太さは32~36mmのものにすると体を支えやすくなります。また、高齢者施設には温かみのある木製や樹脂製の水平手すりがおすすめです。

●階段は左右両側に設置するのがポイント
高齢者施設には様々な障がいを持つ入居者の方がいます。そのため、どんな人でも使えるように階段手すりは左右両側に設置するのがポイントです。もし片側にしか設置できない場合は、利用者が階段を降りる際に利き手でつかめる位置を選びましょう。
また、設置する高さと太さも重要なポイントです。設置する高さは、段鼻(踏板の先端部分)から750~800mmが目安となります。太さは32~36mmにすると体を支えやすく、昇り降りの動作が安定します。

●トイレはI型手すり・L型手すりがおすすめ
トイレに手すりを設置する際のポイントは、設置場所を便座の先端から200~300mm前方にすることです。近すぎると握りにくくなるため注意しましょう。また、高さの目安はI型手すりの場合で下の先端が便座から230~300mmです。
トイレの手すりに関して注意すべき点は、トイレットペーパーホルダーやリモコンなども使いやすい位置に設置しなければならないことです。
太さはやや細めのほうがしっかりと握れるため、28~32mmを目安にしましょう。

●共通の注意点
手すりは利用者の動線に合わせて、できる限り切れ目なく設置しましょう。途中で途切れてしまっては、入居者がスムーズに移動できなくなります。
また、衣類の袖口などが引っかからないように、横手すりの先端(末端)は壁側に曲げて仕上げるか、専用のブラケットを取り付けるのもポイントです。さらに、既存の壁に後付けする場合は、壁の強度も確認してください。
このように高齢者施設の手すりは、設置場所や目的によって種類や複数の注意点があります。入居者に快適な生活を提供するため、手すりを設置する際はポイントを押さえて環境を整備しましょう。

公開日:2023.04.24 最終更新日:2024.02.05

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