高齢者施設の価値を高める 木質空間を叶えたWPC床材

WPC床材

OUKAS(オウカス)船橋|千葉県

建築のプロが語る
高齢者施設の価値を高める木質空間を耐久性に優れたWPC床材で実現

千葉県船橋市市内に2017年10月にオープンしたサービス付き高齢者向け住宅「OUKAS(オウカス)船橋」。
野村不動産グループが手掛ける初めての高齢者住宅事業であるこの物件にDAIKENのWPC床材「コミュニケーションタフDW」が採用されました。
今回は、その採用の経緯や決定理由についてお話をお伺いしました。

  • お話を聞いた方

  • 木村
  • 野村不動産株式会社
    シニア事業部 担当課長
    木村 仁 氏

健康維持を目指す高齢者住宅 1階共用部が「施設の顔」に

「1階共用部の床材には、もともと木材を使いたいと思っていました。しかし、メンテナンス面で不安があり、二の足を踏んでいたのです」。
そう振り返るのは、野村不動産シニア事業部担当課長の木村仁氏。同社が新しく取り組み始めた高齢者住宅事業の第一号案件、「OUKAS(オウカス)船橋」の建築を担当されました。
野村不動産グループが高齢者住宅の建設・運営に乗り出すことを決めたのは、3年ほど前。OUKASブランドの高齢者住宅は、主に健常者を想定した自立型の施設です。グループ内でフィットネス事業を展開する「野村不動産ライフ&スポーツ」のノウハウを生かして、「運動」「食事」「睡眠」などの面から入居者の健康維持・増進と地域との交流を図る運営方針を掲げているといいます。

WPC床材

エントランスから正面奥の食堂にかけて、『コミュニケーションタフDW〈オーク(クリア)〉』を採用。訪れる人を出迎える、温かな空間に仕上がっている。

そうした切り口から、1階共用部にはOUKAS共通のスペースとして、「フィットネススタジオ」「食堂」「地域交流カフェ」の3つが配置されています。エントランスホールからそれらのスペースにかけての空間は、言わば「ブランドの顔」です。
住戸は主に2階以上に配置。住戸面積19~26m²の1人入居用のものが58戸、同37~50m²の2人入居可能なものが67戸、計125戸が用意されています。同社の高齢者住宅の建設は初めてということもあり、市場の反応を探るために、間取りには豊富なバリエーションを持たせたとのことです。

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フィットネススタジオの床には、淡い色が美しい『コミュニケーションタフDW〈檜〉』

床材に天然の木を使いたい しかしメンテナンスが課題に

初めて取り組む、高齢者住宅事業。空間の質については、当初からこだわりがあったと木村氏はいいます。
「介護施設の床材は一般的に長尺シートとタイルカーペットの組み合わせが多い。しかしそれでは、空間のダイナミックさに欠けます。空間の質をもっと大事にしたいと考えていました」
OUKASブランドの顔にもなり得る空間を、どう仕上げるか。第一号案件ともなれば、その出来栄えがブランドの印象を決定付けることにもなるため、その仕様には悩んだそうです。
天然の木材を用いることができれば、空間に温かさや落ち着きが生まれます。しかし、1階共用部は、靴のまま出入りする空間。床材に木材を使うと、キズが付いたり凹んだりするリスクがありました。耐久性の観点からみると、最適な素材とはいえません。
そこで計画当初は、床のメンテナンスに手間やコストが掛からずに済むように、タイル、石、タイルカーペットを使う想定だったといいます。具体的にどのような製品を用いるかを決めたうえで、それを基に建築確認申請を済ませていました。
ところが、『DAIKENテクノビジネスフェア』に、木村氏が情報収集に訪れた際、木材組織にプラスチックを染み込ませて硬化させることで強度を高める『WPC加工』の技術を紹介していました。「これなら、天然の木を床材に使える。そう直感しました」。

WPC床材

入居者が多く集まる共用部でも、キズや汚れを気にせず安心して使えるWPC床材。天然木ならではの温もりが施設を彩る。

着工時期に仕様を変更 木が生み出す迫力に満足

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床、壁、天井に木を使うことで、空間に迫力が生まれた食堂。食べこぼしなどの汚れも拭き取りやすいWPC床材なので、いつまでも美しい空間を実現。

木村氏がWPC床材の製品を実際に確認したのは、DAIKENが東京・秋葉原に開設する「DAIKEN秋葉原テクニカルスペース」でした。技術や素材、製品の展示や、試作品シミュレーションスペースなどを設け、来場者と製品開発を行うことを想定したショールームです。床材の仕様変更に対する了解を取り付けようと、木村氏は設計者や施工者とともに、そこを訪れました。
「着工時期になって床材の仕様を見直すようなことは、滅多にありません。このときばかりは、高齢者住宅として第一号の案件だったことから、悩みながら決断を下しました」

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居室でも、DAIKENのドアや収納、防音床材を採用。高級感のある内装デザインになっている。

このころには、外装デザインのモチーフを内装デザインまで引き入れて、インテリアの基調を「和モダン」にすることを決めていたそうです。1階共用部では、床材に木材を使うだけでなく、壁面や天井面を木製ルーバーで覆い、工夫を凝らしました。また、居室にもDAIKENのドアや収納・床材を採用し、施設全体を木目柄でコーディネートしています。
特に、1階共用部の仕上がりには満足を覚えていると木村氏。
「エントランスホールから食堂にかけては、要所に木材を取り入れたことで迫力が生まれました。訪れたお客様からもご好評を頂いています」

ブランド価値を向上する 木質建材の可能性

野村不動産では「OUKAS船橋」に続く案件を、千葉市、東京都三鷹市、横浜市で計画中とのこと。向こう10年間で40棟・5000戸の供給を目指すといいます。
「マンネリズムに陥るのは避けたいので、OUKASブランドで使う建材を1つのパターンに決めてしまうことは考えていません。ただ、『OUKAS船橋』で採用したWPC床材が良いものであることは間違いありません。今後の物件にも採用していく可能性は十分に考えられます」と、木村氏は締めくくりました。

施設の顔となる1階共用部には美しい意匠、高い耐久性を備えたWPCフロアー

床材:コミュニケーションタフ

美しい銘木と、高い耐久性を兼ね備えた『コミュニケーションタフ DW』木材組織にプラスチックを染み込ませて硬化させることで、凹みやキズに強い木材を作る、DAIKEN独自の「WPC技術」を活用した床材です。多くの人が毎日利用し、施設の印象を左右する1階共用部を美しく演出します。

 

OUKAS(オウカス)船橋

●施設データ
サービス付き高齢者向け住宅
OUKAS(オウカス)船橋

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