公共・商業施設の設計に役立つヒントを発信しています

体育館の床は木製、長尺シートのどちらが良い? 長年使うならメンテナンス性も考慮

体育館は学校生活を送る上で大切な施設なので、安全性や耐久性を考慮して床の素材を選ばなければなりません。ここでは、体育館の床に使用される機会が多いフローリングと長尺シートのそれぞれのメリット・デメリットを紹介したのち、長期間タフに使用されること、子どもたちが使用することを考慮した場合、どちらがおすすめかをまとめました。

体育館の床にはどのような種類がある?

体育館のようなスポーツフロアには、フローリング、長尺シート、塗り床などの仕上げ材が主に使用されています。

●フローリング(木製床)

体育館の床としては最も採用率の高い木製の床です。耐久性が高く、全体を研磨することで再生することができます。

●長尺シート

徐々に採用率が高まってきている塩化ビニール(塩ビ)製シートの床です。木製よりも弾力性・グリップ性に優れます。

●塗り床

コンクリートの床下地に直接仕上げ材を塗ったものです。薄く塗る薄膜と厚く塗る厚膜があります。メンテナンスの難しさから採用度は低めです。

次の項目では、体育館の床に使用される機会が多いフローリングと長尺シートのメリット・デメリットについて紹介していきます。

フローリングと長尺シートのメリット・デメリット

体育館

まず、最も体育館の床に使用されているフローリング(木製床)のメリットとデメリットを紹介していきます。

●フローリングのメリット

1つ目は、耐久性の高さです。
フローリングの表面には薄い塗装が施されています。
塗料には床材の劣化防止や防滑性の効果があり、体育館の機能を維持するために欠かせない存在です。

2つ目は、表面の塗装だけを削って塗り直せば再生できることです。素地まで交換する必要はないので、自然に近いフローリングの素材感を長期間保てます。

3つ目は、複合フローリングは機能性が充実していることです。
複合フローリングは温度や湿度による影響を受けにくく、床暖房も設置できます。
災害時の避難所としても使われる体育館では、暖房の機能性は非常に重要です。

ただし、フローリングにはメリットだけではなくデメリットもあるので、その特徴を理解しておきましょう。

●フローリングのデメリット

1つ目は、表面塗装が汗などの水分で滑りやすくなることです。
夏場の体育館は高温になり、競技中は大量の汗が床に飛び散ります。
バスケットボールやバドミントンなど激しいスポーツでスリップをすると、骨折などの大ケガにつながりかねません。

2つ目は、適切なメンテナンスが必要であることです。
表面の薄い塗装がグリップ力の維持や床の保護をしているので、傷や摩耗が増えてくるとその機能が失われます。体育館の床全面を研磨して古い塗装を落とし新しく表面塗装をすることで、ノンスリップ性や床の保護機能が復活できます。

3つ目は、長時間の水漏れによって反りや突き上げ、床鳴りが発生することです。雨漏りなどで長時間の水たまりができると、塗装の小さな傷から床の内部まで水が浸透していきます。カビや腐食が起きているとメンテナンスでの補修はできなくなり、傷んでいる箇所を張り替えなくてはなりません。

次は、最近の体育館でよく使われている長尺シートのメリットとデメリットについて紹介していきます。

●長尺シートのメリット

1つ目は、フローリングよりも柔らかいことです。
長尺シートは多層構造になっており、裏面にはクッション性がある層があります。
フローリングにはない柔らかさがあり、転倒時の衝撃を和らげてケガを防止できます。

2つ目は、グリップ性が高いことです。
フローリングは表面塗装が必要ですが、長尺シートは材料自体に高いグリップ性があります。
長尺シートの種類によってグリップの強さは違うので、目的に応じて材料を選びましょう。

3つ目は、メンテナンスが容易であることです。
フローリングのように、体育館全面の塗装を研磨して落とす必要はありません。
基本的にはクリーナーやポリッシャーで表面の汚れを落とすだけですが、劣化が激しい場合はワックスを塗布することもあります。

●長尺シートのデメリット

1つ目は、フローリングと感覚が異なることです。
必要以上に衝撃を吸収することで、思うように走れなかったりボールの跳ね返りが悪くなったりといったこともあります。
フローリングに慣れている人が長尺シートの体育館を使用する場合は注意が必要です。

2つ目は、グリップが効きすぎることです。
グリップ力が高すぎる長尺シートでは、シューズの引っ掛かりによる転倒や足への負担が増えることもあります。

3つ目は、材料自体が重く施工時の扱いが難しいことです。
多層構造で厚みがある床材のため、長尺シートはフローリングに比べるとかなり重いという性質があります。
そのため、体育館のような広い空間に長尺シートを施工するのは、かなりの労力が必要です。

学校の体育館の床は木製が良い?

体育館

フローリングと長尺シートの特徴を踏まえた上で、どちらの床材が学校の体育館に適しているのでしょうか。

子どもたちは自然と関わることで五感を刺激し、感受性を発達させていきます。
IT化や工業化が進んでいる現代では、体育館をフローリングにして子どもたちが自然と触れ合う機会を作ることは大切です。また、文部科学省の方針でも、学校施設には木材を利用することを推奨しているため、学校の体育館としてはフローリングの方が適しているといえるのではないでしょうか。
体育館の床では一般的に複合フローリングが使われますが、より木材のあたたかみを感じられる無垢材の採用を検討しても良いでしょう。それぞれの床材の特徴を理解して、子どもたちが安全に安心して運動できる環境を整えてあげましょう。

おすすめ製品

おすすめ記事