毎日パワー全開で遊びまわる子どもたち。元気いっぱいな様子はとても微笑ましいですが、ひとつひとつの行動に事故となる危険性が秘められています。お遊戯、工作、運動をはじめ、日ごろの生活全般に関わるため、施設では細部にわたる安全対策が必須となります。
事故の約4割が室内で発生!施設の安全対策はしっかりと
内閣府が行った教育・保育施設における事故報告集計によると、現場で起きた事故のうち、子どもたちが多くの時間を過ごす施設内での事故が8割以上を占めています。また、その半分となる約4割が室内で発生しています。
出典:内閣府/「教育・保育施設等における事故報告集計(平成29年)」1.事故報告概要 ①場所別(P5)
施設内で起こった事故のうち、室内と室外の事故比率に大きな差がないことに驚かれたかもしれません。園庭や遊具のある室外と比べ、室内は先生の目も行き届き安全だと思いがちですが、実際には室内でも多くの事故が起こっていることがわかります。
事故を未然に防ぐための「ヒヤリハット」を知ろう
事故を未然に防ぐには、過去に起こった事故を踏まえて安全対策を行うのはもちろん、予想もつかない行動を起こす子どもたちが“どんな危ないことをしそうか”予測することが重要になります。そこでおすすめするのが「ヒヤリハット」事例の共有です。
「ヒヤリハット」とは、事故になる可能性があった「ヒヤリ」そして「ハット」した出来事のこと。幸いにもケガをせずに済んだだけであり、一歩間違えれば重大な災害になっていたかもしれない事例を指します。
ヒヤリハットに関して、アメリカの損害保険会社の安全技師ハインリッヒは「ハインリッヒの法則(1:29:300)」を提唱しています。これは、1件の重大事故の背景には、29件の軽い事故があり、事故には至らなかった300件のヒヤリハット事例が存在するというもの。
つまり、過去に自らが経験した数々の「ヒヤリ」「ハット」事例を職員間で共有し、知恵を出し合って予防策を考えることで、未来の事故防止へとつなげます。
園舎の室内ドアにおけるヒヤリハット
子どもたちが日々接する園舎の室内ドアにおいては、以下のヒヤリハットが想定されます。
- ● 窓のないドアのそばで遊んでいる
- ● カギをあけようとしている
- ● ドアストッパーの穴へ指を差し込んで遊んでいる
- ● ドアを繰り返し開け閉めして遊んでいる
- ● 大きな音を出そうと、ふざけてドアを思いっきり閉める
子どもたちが上記のような行動を起こし危険だと言い聞かせた際も、「ケガにならなくてよかった!」と安心するだけではなく、「もし、最悪の結果まで進んでいたらどうなっていただろう?」と一歩踏み込んで考え、現場で共有し、具体的な対応策を考えるようにしましょう。
未来に起こるかもしれない事故をも想定した取り組みを行うことで、保護者さまからの信頼度も上がります。あらゆる事故を未然に防ぐことができる、様々なヒヤリハット事例へソフト・ハードの両面から配慮した園舎づくりをおすすめします。