ピクトグラムでわかりやすく! ユニバーサルデザインを高齢者施設に

ピクトグラム

誰しもが使いやすい設計がされたユニバーサルデザインの建築物ですが、特に老化により身体機能が低下している高齢者の方が利用する施設において有効といえます。近年はピクトグラムをどのように用いたら施設利用者にとってより分かりやすくなるのかという研究もされています。

そこで本記事では、ユニバーサルデザインにおけるピクトグラムとはどのようなものなのか、高齢者の方の可読性を高めるピクトグラム使用のポイントについて説明し、それとともに導入したい高齢者の方を安全面からサポートする建材についてもご紹介します。

ピクトグラムとは、どんなもの?

ピクトグラム

ピクトグラム(案内用図記号)とは、単純な図や記号で情報が伝わるようにしたサインのことです。非常口、車イス、禁煙などの代表的なピクトグラムなら、街中でいつも見ているという人は多いでしょう。

ピクトグラムの原型は、1920年代にオーストリアで生まれた「アイソタイプ」という視覚記号といわれています。現在使用されているピクトグラムは、1964年の東京オリンピックで導入されたことをきっかけに世界に広まることになりました。

ピクトグラムでの表現は文字を使わないので、言語や年齢の違いなどを超えて誰にでも理解しやすいというメリットがあります。そのため、不特定多数の人が使う公共施設や交通機関、観光地などで盛んに利用されています。ピクトグラムはすべての人にやさしいユニバーサルデザインを象徴するものといえるでしょう。

ユニバーサルデザインとピクトグラム

ピクトグラム

ユニバーサルデザインとは、マイノリティのための特別なデザインではありません。障がいの有無、年齢、国籍などにとらわれず誰もが使えるデザインを目指す概念です。例えば、自動ドアはユニバーサルデザインの代表的な存在であり、高齢者の方や障がい者の方だけでなく、両手に荷物を抱えた人や赤ちゃんを抱っこしている方など誰でも使いやすいようデザインされています。

ユニバーサルデザインの基本的な考え方には「ユニバーサルデザイン7原則」があります。以下の7つの原則ごとに定義とガイドラインが設定されています。

・誰にでも公平に利用できること
・使う上で自由度が高いこと
・使い方が簡単ですぐわかること
・必要な情報がすぐに理解できること
・うっかりミスや危険につながらないデザインであること
・無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
・アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
ユニバーサルデザイン7原則(※出典:公益社団法人 日本パッケージデザイン協会 「ユニバーサルデザイン 7 原則」)

絵や記号によって一目で情報が伝わるというピクトグラムの特徴は、7原則のうち4つめの原則である「必要な情報がすぐ理解できること」にもとづくものです。

また近年は、誰でも読みやすい文字としてユニバーサルデザインフォント(UDフォント)が開発されています。これは情報理解のしやすさに焦点を当てたフォントデザインで、文字パーツの空きスペースを十分確保して読みにくさを減らし、誤読を防ぐなどの工夫がみられます。

―ユニバーサルデザインに関する記事―
「ユニバーサルデザインが医療施設に求められる理由 バリアフリーとの違いとその概念」
「インクルーシブデザインの意味とは ユニバーサルデザインとの違いとピクトグラム活用」

高齢者施設でのピクトグラム活用のための注意点

ピクトグラム

ピクトグラムは視覚機能が衰えた人にも情報を伝えやすく、高齢者施設でも積極的に活用すると良いでしょう。
ピクトグラムの視認性をより向上させるためには、いくつかのポイントがあります。
まず、大きく表示したうえで、背景とのコントラストをしっかりつけることです。これは、より小さなものやコントラストの弱い色の組合せがわかりにくくなることへの配慮です。

次に、掲示する位置を工夫することがあげられます。車椅子を利用する方や、背が曲がることにより視点が低くなることを想定してみたうえで、配慮したい方の視点から自然と目に入る位置にサインを設置するようにしましょう。
また、ピクトグラムを使った案内の周囲には余計な掲示物などを設置するべきではありません。どの情報を拾うべきか混乱してしまい、せっかくの案内が埋もれてしまいます。案内の周りはできるだけすっきりさせるようにしましょう。

さらにピクトグラムに文字や矢印などを組み合わせると、より分かりやすいサインが出来上がります。文字を使う場合はユニバーサルデザインフォントを使用し、高齢者の方が日常的に使っている言葉で表記するのもポイントです。

ピクトグラムと安全な床材で快適に暮らす空間づくり

ピクトグラム

ピクトグラムを使えば、高齢者施設の案内を分かりやすくできます。しかし目的の場所がどこか分かったとしても、実際に高齢者の方がその場所までたどり着けないのでは意味がありません。高齢者施設では案内のサインだけでなく、高齢者の方が行きたい場所に「スムーズかつ安全に」移動できるよう工夫することが大事です。

そのためには、床材に車椅子対応のものを採用すると良いでしょう。またちょっとした段差でもつまずく高齢者の方が暮らす場所だからこそ、滑りにくく、転倒した場合でも衝撃が少ない床材を選ぶことが大切です。抗菌加工がされており汚れにくいものであれば、衛生面でも安心です。
ピクトグラムと床材、両方の側面から高齢者の方が快適に暮らせる空間を作り上げていきましょう。

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