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医師と看護師に関わる守秘義務の話 会話漏れを防ぐ音対策で選ばれる病院へ

病院は安心して診察を受けられる場所であるべきです。診療上で医師や看護師が知り得た秘密も当然守られるべきで、患者も病院がそうしてくれることを前提に来院しています。

電子カルテのデータ保護などはしっかり対策されていて大丈夫だとしても、診察室の会話や音はどうでしょう。音が漏れることを防止できているのでしょうか。

患者のプライバシーを守る、守秘義務について

守秘義務

日本では患者のプライバシーを守ることが法的に義務付けられています。

これは、刑法第134条、個人情報保護法第20条などにはっきりと規定されており、意図的に漏洩させることはもちろん、漏洩を防止するための安全管理義務まで定められています。

多くの病院ではこれら法律を受け、書類のコピーや保存期間、破棄、電子カルテの情報漏洩対策について、院内規定を設けるなどして厳重に対策しているようですが、“音”についてはどうでしょう。

診察室の会話が外部から聞き取れるような病院は信頼を失いかねません。完全な防音を施すことは困難ですが、会話が聞き取れない程度の音漏れ対策を行いたいものです。

現状はまだ多い? 診察室からの会話漏れ

情報漏洩が最も起こりやすいと思われる「診察室・処置室での会話」について、注意を払っている病院はどのくらいあるのでしょうか。

忙しい外来では、診察室の裏側が処置室などになっている場合も多いですし、大抵の診察室は扉が引き戸になっています。クリニックなどは待合室から直接入室するようなつくりになっているケースが多く、子どもの泣き声が診察室内から聞こえることなど日常茶飯事でしょう。

DAIKENが医師と患者の双方に対して行ったアンケートによると、「診察中の会話漏れが気になったことはありますか?」という質問に対して、63%もの医師が「ある」と回答し、患者も46%が「ある」と回答しています。

●質問:診察中の「会話漏れ」が気になったことはありますか?

会話漏れ

患者に対して行った「診察室の会話が漏れないように、対策を行ってほしいですか?」という質問に対しても、76%が「はい」と回答しています。

●質問:診察室の会話が漏れないように、対策を行ってほしいですか?

診察室の会話漏れ対策

ところが、これに対して医師に行った「ご自身の病院(もしくはお勤めの病院)で会話漏れ対策を行っていますか?」という質問には、「行っていない」という回答が69%にもおよびました。

●質問:ご自身の病院(もしくはお勤めの病院)で会話漏れ対策を行っていますか?

会話漏れ対策行っていますか?

このように、診察室における会話漏れ対策を行っていない病院はかなりの数に上ることがわかります。これは患者が必要性を感じているにも関わらず、多くの病院で対策ができていない“意外な盲点”であり、逆に可能な対策・配慮ができている病院は利用者からの信頼度が増し“選ばれる病院”になっていくことを示しています。

診察室の会話漏れを防ぐ音環境の整え方

会話漏れを防ぐ

診察室からの会話漏れを防ぐ音環境づくりを考えてみましょう。

音の対策を最初にするべき部位としては、まずドアが挙げられます。

一般的な片開きドアの遮音性能は15〜20dB程度です。遮音性能とは音を遮る力の大きさで、音の大きさを表す単位の「dB(デシベル)」を使い、数字が大きいほど音を遮る能力が高くなります。 人の話し声は65dB程度といわれており、一般的な片開きのドアからは、65dB-15dBで50dB(小さな話し声程度)ほどの音が漏れる計算となります。

小さな話し声

患者のプライバシーに配慮するため、遮音性能25dB程度の防音ドアを設置すると、外部に漏れるのは40dB程度(ささやき声程度)となり、会話していることはわかるけれど、内容は聞き取れないというレベルになります。

ただ、残念ながら診察室からの音漏れを防止するには、防音ドアの設置だけでは十分と言えません。一般的な間仕切壁や天井、床は遮音性能が20dB程度であることが多いため、遮音性能に優れた防音ドアを設置したとしても、それ以外の部位(天井、壁、床)から音が漏れてしまうのです。

診察室の音漏れを小さくするには、天井や壁、床材にもドアと同等の遮音性能を持った素材を使用する必要があります。安心できる防音環境を実現させるには、診察室を囲むすべてのものに遮音性能が求められるというわけです。

遮音性能

診療上で知り得た患者様の秘密や個人情報を漏洩から守り、地域に信頼される病院となるためにも、音対策に取り組む必要があるでしょう。

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