ケガだけじゃない!? 保育施設にとっての施設老朽化の思わぬ問題点とは

老朽化

少子高齢化と言われる現在ですが、女性の社会進出や出産年齢の高齢化など、社会構造の変化に伴い、子どもを預けるための保育施設の重要性は年々高まってきています。
この需要を満たすため、新たな保育施設ができる一方で、一部の保育施設では施設の老朽化などの問題が取りざたされるようになっています。

今回は、保護者の大切な子どもを預かる保育施設における、施設老朽化の問題について、現役保育士・幼稚園教諭の皆さんにアンケートを行いました。 実際に働く人たちの目から見た、保育施設の老朽化問題について考えていきたいと思います。

職員で施設の老朽化を感じているのは、実に68%!

老朽化

※保育士・幼稚園教諭681人に実施したインターネット調査より。(調査期間:2022年6月1日~6月8日)

今回、幼稚園や認可保育園など、保育施設に務める職員の方に対してアンケートを行いました。その結果、自身が勤める保育施設で老朽化を実感している割合は実に68%にものぼりました。

老朽化

※保育士・幼稚園教諭681人に実施したインターネット調査より。(調査期間:2022年6月1日~6月8日)

なかでも最も老朽化を感じている場所として挙げられたのが、「保育室」。普段子どもたちがメインで園内生活を送る場所だけに、気になる人が多いのか61%と多くの票が集まりました。次いで「園児用トイレ」「遊戯室(ホール)」と続きます。また、職員の方々がよく使う「職員室」が票を集めるなど、園児・職員ともに触れる機会の多い場所に老朽化を感じる傾向にあるようです。

実際、文部科学省が発表したレポートによると、経年25年以上の改修が必要な幼稚園の老朽施設は国立施設で68.8%、公立施設でも57.1%と過半数を占める状況(※)となっており、保育施設全体の老朽化は大きな問題となっていることがわかります。

※出典:「これからの幼稚園施設の在り方について~幼児教育の場にふさわしい豊かな環境づくりを目指して~」(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2018/04/16/1402619_002.pdf

保育の現場で叫ばれる老朽化のデメリット第1位は…?

老朽化

※保育士・幼稚園教諭681人に実施したインターネット調査より。(調査期間:2022年6月1日~6月8日)

施設の老朽化の問題点を尋ねると、このような結果となりました。
なによりも気になる点としては、「子どもたちのケガや事故」が最も多くの票を集めたことです。さらに「不衛生・感染症対策」が2位となり、預かっている子どもの健康に関係している項目が気になるようです。

具体的には、
・ドアが老朽化でギシギシする
・ストッパーが故障していて、開いた状態でキープできないので子どもが挟まりそうになる
・以前勤めていた園だが、施設が古すぎて木の床がささくれだっており、子どもの手のひらや自分の足の裏にトゲがささることが日常茶飯事だった
・保育室のドアの鍵が壊れ、古いので修理に時間がかかると言われしばらく鍵なしで過ごすことになった。1歳児クラスの子が保育士の目を盗んで勝手に廊下に出ることがあり危険だった
・水道の蛇口が固くて回しづらく、園児が自分で水道を出せなかったり、最後まで閉めづらかったりする
・トイレから匂いが漂うことがあり、子どもが入るのを嫌がったり、職員も入るのをためらってしまうことがある

など、実際にケガにつながるような老朽化の詳しい問題点についても意見が上がっています。また、衛生面についてはこのような意見もありました。

・保護者からの衛生面での指摘を受ける
・掃除を毎日していても、常に子どもが大人数で生活している場所なのですぐに埃っぽくなる
・設備が古いと、仕事の効率が悪くなったり、掃除や点検に時間がかかる
・施設が古くても掃除が行き届いていれば良いがそうでない時もある。そういった時にモチベーションが下がるし、仕事量の負担を感じる

不衛生な環境は、実際に子どもを預ける保護者も不安になり、働いている職員の方のモチベーションにも影響しているようです。

現場だからわかる、意外なデメリットも

老朽化

その他、老朽化には現場でしかわからないさまざまなデメリットがあるようです。実際の保育士・幼稚園教諭の方々から集まったリアルな声をご紹介します。

・修繕費の相場がわからない
実際に老朽化を解消しようとしても、修繕費にどれだけかかるかがわからないという声も。
費用の面で困ってしまうことが多々あるようです。

その他、

・エアコンの効きが悪い
・エアコンがない

など、職場環境や生活環境としても必須のエアコンについて問題を感じている方も多いようです。エアコンがなければ熱中症や風邪のリスクも高まりますし、デリケートな園児たちには大きな問題です。

・お昼寝中などに、床の軋みで子どもが寝られない
・起きてしまい困った

老朽化の代表的な問題として床鳴りなどはありますが、それが園児の睡眠に関わっているという意見も。

・壁がへこんでいると園児が怖がる
壁のへこみはそれだけでも問題ですが、想像力の豊かな子どもにとっては恐怖の対象になってしまうことも。
施設の老朽化は、子どもに大きな影響を与えるもの。思いがけない興味や恐怖を感じてしまっては、保育環境としてはゆゆしき問題です。

保育施設の設備や建材は機能性も見た目も大事!

老朽化

ますますニーズが広がっている、大切な子どもを預ける保育施設。その保育施設が老朽化によってどことなく汚く感じられてしまっては、保護者は安心して子どもを預けることはできません。

保育施設に預けられる未就学児童は、特に繊細で、慎重な対応が求められるもの。保育施設にはその他の施設以上に美観も機能性も求められます。

保育所の場合、整備に関しては「保育所等整備交付金」や「保育環境改善等事業」など、国や自治体からの補助もあります。こうした制度をしっかりと活用し、施設の改善に着手してみてはいかがでしょうか。

子どもたちの健全な成長のために、できるところから検討を進めていきましょう。

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