MDFってどんな建材?
一般的な材木との違いや住宅のどこに使われるのかを解説

住宅や家具などにも幅広く活用されている「MDF」。
環境に優しいエコな素材といわれていますが、通常の木材とどう違うのかよく知らないという人も多いのではないでしょうか?
そこで、MDFとはどのような木材なのか、製品としての特徴や用途・住宅のどこに使われているのかを解説していきます。

また、MDFのメリットを活かした使用例も見ていきましょう。

木質ボードの一種「MDF」とは

木質ボードの一種「MDF」とは

「MDF」は正式名称を Medium Density Fiberboard という木質ボードの一種です。
日本語では中質繊維板、もしくは中密度繊維板と呼ばれ、細かく粉砕した木材等を板状に成形したものです。

木質ボードはMDFを含む「繊維板(ファイバーボード)」と「パーティクルボード(木片板)」の2種類に大別されます。
それぞれの違いと特徴から見ていきましょう。

繊維板(ファイバーボード)とパーティクルボード(木片板) の違い

繊維板(ファイバーボード)とパーティクルボード(木片板)はどちらも木材を砕いて板状に成形したものですが、木材の細かさが異なります。

木質ボードの一種「MDF」とは

パーティクルボード(木片板)は、木材などの植物繊維質を小片にして合成樹脂接着剤を塗布し、それを熱圧成型して作られた板で、上記の写真のように繊維質が目に見える大きさです。

一方の繊維板(ファイバーボード)は、木材のチップや他の植物をさらに細かく繊維化してから成型した板です。

これに加えて繊維板(ファイバーボード)は、JIS基準で決まっている密度や用途及び製法によって、硬質繊維板(ハードボード)、中質繊維板(MDF)、軟質繊維板(インシュレーションボード)の3種類に分けられます。

繊維板(ファイバーボード)におけるMDFの位置づけ

繊維板におけるMDFの位置づけ

では、繊維板(ファイバーボード)におけるMDFの位置づけを見ていきましょう。

硬質繊維板(ハードボード)、中質繊維板(MDF)、軟質繊維板(インシュレーションボード)、各名称の頭についている〇質という部分は、素材の密度を表現していると考えれば違いが理解しやすくなります。

硬質繊維板は1㎠あたり0.80g以上という高密度の硬い資材。対して軟質繊維板は1㎠あたり0.35g未満という軽くて柔らかい資材です。この中間に位置するのが中質繊維板のMDFで、1㎠あたり0.35g以上0.80g未満です。

軟質繊維板は断熱性・吸放湿性、吸音性があるので、主に建材(特に畳床)として利用されることが多い板です。一方、滑らかで加工しやすいMDFは、建築だけでなく家具や室内設備にも使われています。

繊維板(ファイバーボード)の中でもMDFは、製造工程や性質がパーティクルボードに似ています。例えば、MDFの密度や厚さの規格はパーティクルボードに近似しています。ただし、MDFの方が緻密に作られており、曲げた時や引っ張られた時の強度はパーティクルボードよりもMDFの方が優れています。

MDFの特徴とメリット・デメリット

MDFの特徴とメリット・デメリット

建築資材としてもよく使われるMDFは、適度な強度があって表面が滑らかで加工も容易なため、木材を必要とする小物雑貨から家具、建材まで幅広く使用されています
また、手軽に入手できることから、DIYの場面でも活躍している木材です。

MDFのメリット

MDFは木材の中でも環境(温湿度)による寸法の変化が少ないというメリットがあります。また、木材を使った資材の中には加工作業が難しいものもありますが、MDFは表面が滑らかなので、切る・塗る・そのまま使う、といったことができます。

木材は湿気によって伸び縮みする性質がありますが、特に無垢材は季節によって寸法が変化したり、保管状況や木材の種類などによって反ったりします。MDFは木材を繊維化した素材のため、寸法安定性に優れていることがメリットと言えます。

また、繊維が滑らかなうえに表面や切断面も滑らかなので、仕上がりがきれいなことも嬉しい点です。加えてMDFには端材や間伐材、廃材などを有効利用して作られる製品もあるので、環境に優しくリサイクル性の高い素材として認知されています。

MDFのデメリット

MDFの特徴とメリット・デメリット

MDFには注意点やデメリットも存在します。
水分(多湿を含む)に弱いので湿気が多い場所での使用や水濡れには要注意です。

木材全般に言えることですが、繊維状の素材であることから水分を吸収しやすく、多湿な状態で放置しているとカビが発生したり、濡れると膨れてしまったりすることもあります。
DIYなどでMDF材を扱う際には、水分に気を付けて作業をされることをおすすめします。

MDFは住宅のどこに使われる?

MDFは住宅のどこに使われる?

木材から作られているMDFは、住宅建材として床材(基材)・回り縁・巾木・窓やドアの枠材・天井板・カウンター・洗面化粧台やシステムキッチンの扉・棚板など、多くの場所に使われています。
回り縁や巾木、窓枠などは、建築の納まりにおいて調整・見た目の良さが重要な「造作部材」と呼ばれる箇所です。

また、MDFは箱物・棚物と言われる家具の扉や側板・棚板などの素材として、さらには音の響きが安定していることからスピーカーボックスなどにも使われています。これらは表面が滑らかなMDFのメリットを最大限に活かせる使い方であり、一般的なMDF材をベースにした素材が多用されています。
木材から作られるMDFのデメリットを踏まえて耐水性を高めた製品も存在し、洗面化粧台やシステムキッチンの天板・扉、さらには水回りの造作・収納・建具などに使われる製品もあります。

繊維板のMDFをDIYで使う時のポイント

繊維板のMDFをDIYで使う時のポイント

MDFはホームセンターや100円ショップでも手軽に入手できる資材なので、木材を使ったDIYを楽しみたい方にも重宝です。DIYでMDFを使う時のポイントを見てみましょう。

カット時

一般的な木材と違ってMDFには木目がありません。そのため、木目の方向性を気にせず好きな向きにカットできます。ただし、MDFは繊維板の中でも中程度の密度を持つ素材なので、厚さによってはカッターで切断するのに手間がかかる場合があります。そのような時はのこぎりを使ったり、カットサービスを利用したりすると良いでしょう。また、切断面が滑らかなので穴あけ加工などがきれいに仕上がるのが特長です。

接合時

MDF材同士を接合する時は、一般的な木材と同様に接着剤や釘や木ネジを使います。ただし、切断面に対して釘や木ネジを打つと、割れが発生することがあるので注意しましょう。

塗装時

前述のデメリットでもあったように、MDFは木材を繊維化してできているため、水分を吸収しやすいという特徴があります。この性質に対しては塗装やシートを貼ることで防水処理を施し、用途によってはアレンジを加えると良いでしょう。塗料の水気がMDFに直接影響してしまわないよう、先に下地を何度か塗り重ねて表面をサンドペーパーなどで滑らかにしてから塗装を行うようにします。シートを張る場合は「のり」が含む水分を吸うことも考慮して、使用する「のり」は専用のタイプを選びましょう。

ちなみに、水・ワックスによる膨れが生じにくい製品もあるので、用途によってはこのような製品のチョイスをおすすめします。

このように、MDFには木材加工品ならではの滑らかな表面や作業性の高さがあり、そのうえ木材特有の寸法変化も少ない材質なのです。
にも使いやすい素材であることがわかります。

MDFを建材として使用する際は木材系資材の弱点である水分対策がされている製品を用途に応じて選ぶようにしましょう。

※ここに掲載されている情報は2023年12月時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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