畳表替えとは?
裏返し、新調との違いも知っておこう
畳のメンテナンスは畳の構造を知ることから

適したメンテナンス方法を選択できるように、まずは畳の構造を理解しましょう。
畳の構造
畳の構造は、次の3つのパーツを組み合わせたものとなっています。
- 畳床(たたみどこ)
- 畳表(たたみおもて)
- 畳縁(たたみべり)
畳は、「畳床」という芯材に「畳表」を上からかぶせ「畳縁」を縫い付けたものです。
畳のパーツ

畳を構成するそれぞれのパーツについて、詳しく説明していきます。
- 【畳床】
- 畳床は、畳の芯となる部分です。元来は、天然素材の藁(わら)が利用されていました。最近は、木質繊維を圧縮したボードや発泡スチロールなどが使われることも多くなりました。これらは藁床に比べて、軽量で断熱性や耐湿性に優れているというメリットがあります。
- 【畳表】
- 畳表は、畳の表面で、肌に直接触れる部分です。もともと、畳表は天然素材の「イ草」が主流でした。イ草には、心安らぐ香りや美しい緑、天然素材ならではの調湿作用があることなどがメリットです。けれども、水分を吸収しやすいため、シミや汚れが付きやすく、経年により日焼けしたり表面がほつれてきたりするデメリットもあります。
こうしたデメリットを解消すべく、最近は樹脂や和紙などの素材を使った畳表が注目を集めています。 - 【畳縁】
- 畳縁は畳の長手方向に付く布の部分です。畳の角の摩擦を防いだり、畳を敷く時の隙間を埋めたりする役割があります。
従来の畳縁には、綿糸や絹糸などが多く使われていましたが、最近は、化学繊維のものが主流となっています。無地や柄など多彩なラインナップが揃っています。
以上のような畳の構造とパーツを理解しておくと、畳のどの部分が傷んでいるのかが分かります。また、どういったメンテナンスが必要かという目安もつけやすくなります。
畳のメンテナンスの種類と時期

ここからは、畳のメンテナンスの種類と時期について説明します。
これまでお伝えした畳の3つのパーツのうち、畳を長持ちさせるため、まずは畳表と畳縁のメンテナンスを考えていくのが良いでしょう。
畳のメンテナンスを時系列にまとめると、
「畳の裏返し」
「畳の表替え」
「畳新調」
となります。
それぞれのメンテナンス方法と時期の目安は次のようになります。
畳の裏返し:購入から約3~5年後
畳の裏返しとは、畳床はそのままで畳表を裏返して再利用し、畳縁を新しく付け替えることです。
裏返しを行う時期の目安は畳を新調した時点から考えて、約3~5年後です。
畳の色褪せが気になったら、まず裏返しを検討すると良いでしょう。畳表を傷みの少ない面に裏返すことで、きれいな状態になります。
畳の裏返しは、新しい材料をほとんど使用しないため、メンテナンス費用が安価なこともメリットです
ただし、畳表の汚れが裏側まで浸透しているような場合や、縁無し畳をお使いの場合には、畳の裏返しでは対応できない場合があります。そういった場合は、次に紹介する「表替え」を行う必要があるでしょう。
畳の表替え:購入から7年後
畳の表替えとは、畳床はそのままで、畳表と畳縁を新しく付け替えることです。
時期の目安は、畳を新調した時点から考えて約7年程度。畳表の裏返しをしている場合は、裏返しをしてから約5年程度が目安です。
畳表がほつれたり汚れたりしていても、畳床が傷んでいない場合は、表替えをすることで、畳は新品のように生まれ変わります。
畳表の素材には、イ草以外にも種類があります。
表替えのタイミングで、これまで使っていた畳表の素材や色を変えることもできます。お部屋のイメージチェンジにもなり、リフレッシュしますね。
畳の新調(畳替え):購入から約20年後
畳の新調とは、古い畳を処分し、新しい畳と交換することです。
畳を新調する目安は、約20年後となります。畳床が劣化していたり、畳に隙間ができてしまったりしたら、裏返しや表替えでは直すことができません。
畳床が劣化していたり、畳に隙間ができてしまったりしたら、裏返しや表替えでは直すことができません。
このような場合は、思い切って新調を検討しましょう。
なお新調とは畳全体を交換することなので、素材や色はもちろん、割り付けを変えて半畳たたみにし、雰囲気を変えるといった楽しみもあります。
畳のメンテナンスの種類については、イメージしていただけましたでしょうか。これらメンテナンスの時期はあくまで目安となります。次のような症状があれば、メンテナンスのサインと受け止めてみてください。
- ささくれ、クズが出る
- くぼみ、破れ
- やけコゲ、シミ
- 畳どうしの間にすき間
- 色褪せ、色が濃い茶色になっている
畳のメンテナンスをする時の費用と内訳は?

基本的に畳のメンテナンスをする費用は、裏返し、表替え、新調というステップごとに大きくなっていきます。
畳の裏返しにかかる費用
裏返しの費用は大体畳1枚あたり3千~5千円前後が相場です。裏返しの費用を見積もる時は、畳縁の張替え費用が含まれているのか、別途料金が請求されるのかを確認しましょう。
畳の表替えにかかる費用
表替えは交換する畳表と畳縁のグレードによって値段が上下します。中国産と国産では価格が違いますし、国産品で同じイ草を使ったものでもランクがあります。また、イ草以外の素材を使った製品も選べます。このように畳表の素材は多様なため、表替えの費用は1畳あたり1万円以下で収まる場合もあれば、2万円を超えるケースもあります。
畳を新調する場合の費用
畳を新調するなら、最低でも1畳1万円以上を想定しておきましょう。高級畳に取り換えると3万円以上になることもあります。
畳の新調というのは畳を丸ごと新しくすることです。そのため、畳表と畳縁に加えて畳床の素材も価格に影響します。畳床の種類には昔ながらの藁を使った畳床だけでなく、断熱効果のある建材畳床(ボード床)などがあります。価格が高いのは藁床ですが、機密性のある現代の住宅には、建材畳床の方が適している場合もあります。また、床暖房対応の畳床に加えて防音機能や調湿機能を持つ畳床も製品化されています。製品を選ぶ際は住宅の性質と畳に求める機能性、そして費用のバランスを取る必要があるでしょう。
畳を新調する時は本来の価格以外に古い畳の処分費などが加算されることも考慮しておきましょう。
畳のメンテナンスにかかる費用は施工費を含んでいることが多いですが、業者によっては手数料や家具の移動費用を別途請求されるかもしれません。見積もりの段階で費用の内訳や作業範囲の確認、追加料金がかからないかどうかを明確にしておきましょう。事前に確認しておくことで認識の食い違いによるトラブルを防止できます。
畳のメンテナンスでは1畳単位で費用が掛かるので、多くの畳をメンテナンスしようとすれば、それだけコストがかさみます。畳の品質と価格のバランスを考えながら、納得のいく業者と製品を選ぶようにしましょう。
畳表替え、畳替えをするなら

畳の表替え、畳を新調するなら、デザインを楽しむとともに、機能性やメンテナンス性の高い物を選びたいですね。
イ草以外の素材が注目されている
最近は、イ草以外に、樹脂や和紙といった素材が使われている畳が注目されています。
畳表に樹脂や和紙を使用した畳は、耐久性に優れ、汚れが染み込みにくいなど、メンテナンスが手軽にできる点がメリットです。
和紙畳の魅力とは

イ草以外の素材を使った畳の中でも、メンテナンス性とデザイン性に富んだ和紙畳は、特に人気を集めています。
和紙畳は、こより状にした機械すき和紙を樹脂コーティングし、編み込んだものです。耐久性に富み、撥水性もあるため、お手入れも手軽にできます。
イ草で気になる、カビの発生やダニの増殖が抑えられるため、健康や衛生面を心配する方にもおすすめです。
また、デザイン面では、イ草のような緑色はもちろんのこと、部屋のテイストやインテリアに合わせて色や柄のバリエーションが豊富に揃っています。変色しにくく、美しさが長持ちするのも魅力です。
人気の和モダンなインテリアや、リビングの一角に畳をあしらった畳コーナーなど、畳表と縁の色選びでお部屋をイメージ通りにコーディネートするのも楽しいですね。
畳の表替え、もしくは畳を新調するなら、和紙畳のような素材の畳はいかがでしょうか。
畳で過ごす日常がランクアップすることでしょう。
※ここに掲載されている情報は2024年1月時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。