住宅における階段寸法の計算方法は?
最低基準や理想の幅・高さの求め方を説明

この記事では、住宅の階段寸法に関する基準や計算方法などを解説します。
上階と下階を繋ぐ階段は非常に重要な役割を担っています。安全性を確保するために階段の幅や高さには基準があるのをご存じでしょうか。住宅の改装や新築を考えている方には必見の階段寸法に関する情報を解説します。

一般住宅の階段寸法基準

蹴上(階段の高さ) 23cm以下
踏面(階段の足を乗せる面) 15cm以上
階段と踊り場の幅 75cm以上

建築基準法における一般住宅の階段寸法基準を上記にまとめました(学校や公共施設に設置される階段寸法は、住宅の場合と基準が異なります)。

階段寸法の基準は、あくまでも建築上の基準数値です。実際にこのままの数値を住宅の階段寸法に適用すると、上がりにくい階段になってしまうこともあります。基準値を満たすことはもちろんですが、理想的な階段の高さ、幅もそれぞれ把握しておきましょう。

階段寸法の最低基準を知る

階段寸法の理想的な高さを知る

住宅の階段寸法、最低基準とは?

前述した階段の高さや幅は建築基準法によって定められた寸法であり、階段を上り下りする上で安全性を確保するための目安として設けられています。ただし、建築基準法上で決められた階段寸法は、住宅に階段を設置する際の最低基準であることに注意しましょう。

法律に則った近年の平均的な一般住宅における階段寸法は、階段の高さに相当する蹴上が20cm程度、階段面積1坪のまわり階段が一般的です。

階段寸法を知る上でおさえたい階段各部の名称

階段寸法を把握するには、各部位の名称を押さえる必要があります。建築基準法などの法令では、階段寸法を表現する際に「階段の高さ」といった一般的な言葉は使われていないからです。

では、それぞれの名称と部位の意図について詳しく見ていきましょう。

蹴上とは

蹴上とは

蹴上(けあげ)は階段一段の高さを指します。上図では赤矢印の部分です。建築基準法では、一般住宅の蹴上を23㎝以下に設置することを定めています。しかし、階段寸法の23㎝という基準値は、実際に適用してみると高いと感じられる場合もあります。住宅を建築する際は利用者が使いやすい階段寸法を吟味して設置するのが一般的です。施工会社や工務店とよくご相談の上、蹴上の高さを決めるようにしましょう。

踏面とは

踏面とは

踏面(ふみづら)とは、階段の足を乗せる面です。上図の赤枠部分が該当箇所です。一般住宅における階段寸法では、踏面の基準値が15㎝以上に定義されています。大人の足は23㎝以上の場合が多いため、踏面は20~22㎝程度が使いやすいといわれています。広すぎても使いづらい階段になるので施工会社や工務店と相談する際には注意したいポイントです。

踊り場とは

踊り場とは

踊り場は階段の途中に設置されている平坦でステップよりも広い間隔、あるいは他の部分と形状が異なったエリアを指します。階段の折り返しや、転落防止、上り下りの休憩を目的として設けられています。

住宅における理想の階段寸法とは?

蹴上×2+踏面=60cm

前述の通り、住宅の階段寸法を建築基準法の基準値に合わせると、上り下りしづらい階段になってしまうことがあります。では、どのような階段寸法が理想なのでしょうか?

住宅において上り下りしやすい階段の寸法は「蹴上×2+踏面=60cm」で求めることができます。

ただし、一般住宅の場合、理想の階段寸法は住む人やニーズによっても異なります。小さい子供やお年寄りが暮らしている住居では蹴上15cm、踏面30cm程度、省スペースの階段はどちらも20cmが適当とされています。緩やかな階段を作る場合はその分面積が必要ですので、スペース効率やコストについて施工会社・工務店と相談して決定しましょう。

階段寸法に関する法律、基準にはどんなものがある?

階段寸法 法律

ここで階段寸法に関する各種法律・基準にはどんなものがあるのかまとめて紹介します。階段の高さや幅を決める際の参考にしてください。

建築基準法

本記事でもすでに何度か登場している建築基準法は、建築物の最低基準を定めた法律です。階段の高さや幅といった階段寸法の最低基準も規定されています。
さらに、建築基準法は住宅だけでなく学校やその他の施設に設置される階段寸法の基準値についても定めています。それらの階段寸法を見ると住宅の階段は「最も急」な勾配で作れることが分かるはずです。言い換えれば住宅の階段寸法は最も規制が緩いということになります。
なお、マンションやアパートなどにおける共用住宅の共用部分にある階段、寄宿舎の階段、下宿の階段は「住宅の階段」には当てはまらず、より厳格な階段寸法の基準値に適合する必要があります。将来的にアパートや下宿を営む予定がある場合は、建築の際に注意しなければなりません。
参考:建築基準法

高齢者が居住する住宅の設計に係る指針

「高齢者が居住する住宅の設計にかかわる指針」は、身体機能の衰えた高齢者が住宅に住み続けられることを目的とした設計上の配慮事項をまとめたものです。この指針は基本レベルと推奨レベルの側面から階段寸法の基準を示しています。
以下に、基本レベルとして示された階段寸法の一部を紹介します。

・勾配が22/21以下
・55cm≦蹴上×2+踏面≦65cm
・踏面が19.5cm以上
※ホームエレベーターが設けられている場合はこの限りではありません。
参考:高齢者が居住する住宅の設計に関わる指針

改正バリアフリー法

バリアフリー法とは、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」のことです。平成18年に施行され、令和2年に改正されています。
バリアフリー法の中には、「建築物移動等円滑化基準」(最低限レベル)と「建築物移動等円滑化誘導基準」(望ましいレベル)という2つの基準があります。「建築物移動等円滑化誘導基準」(望ましいレベル)の階段寸法は以下のようになっています。

階段の幅140㎝以上
・蹴上16㎝以下
・踏面30cm以上

なお、バリアフリー法は共同住宅や寄宿舎、下宿、老人ホームなどの建物の階段を対象にした法律です。一般住宅の基準値とは異なりますが、高齢者や障がい者に優しい階段を作る際の目安として、参考にしてみてはいかがでしょうか。
参考:建築物移動等円滑化誘導基準チェックリスト

住宅の階段寸法は住む人のニーズやコストに寄り添って考える

本記事では住宅の階段寸法基準や、上がりやすい階段の高さ・幅の計算方法について解説しました。前述の通り、理想の階段寸法は住宅に住む人のニーズや負担可能なコストによっても異なります。改築や新築の検討に伴って住宅の間取りを考える際は、依頼する施工会社・工務店によくご相談の上、階段寸法を決定しましょう。

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※ここに掲載されている情報は2024年4月時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。