畳のヘリとは? 踏んではいけない理由や色柄の話。
繧繝縁(うんげんべり)って、何?

畳のヘリとは? その役割は?

畳には、なぜヘリがついているのでしょうか? まずは畳の構造とヘリの役割について説明します。

畳の構造を知っておこう

畳のヘリは畳を構成するパーツのひとつです。畳は、畳床(たたみどこ)、畳表(たたみおもて)、畳縁(たたみべり)で構成されています。畳は日本独自の床材ですが、伝統的な製法としては、稲わらを圧縮して板状にした畳床を、天然の稲科植物・イ草で編んだ畳表でくるみ、畳の長辺側にヘリと呼ばれる幅の狭い帯状の布を縫いつけて作られます。

畳のヘリが持つ役割は?

畳のふちに縫いつける布を「畳のヘリ」と呼び、その正式名称は、畳縁(たたみべり)です。畳のヘリには、いくつかの役割があります。まず、ヘリをつけることで畳表の角が直接擦れて傷むのを防ぐことができ、畳同士を網目のようにつなぎ合わせることができるのです。また、畳を敷き込んだ時にできやすい畳と畳の間のすき間を埋めるという役割もあります。さらに、畳のヘリには着物の帯のように様々な文様や色があり、畳の美観を演出する装飾としての要素も持っています。

畳のヘリや敷居はまたぐ、日本における暮らしのマナー

畳のヘリや敷居はまたぐ、日本における暮らしのマナー

「畳のヘリを踏んではいけない」とよく言われますが、これは「敷居をまたぐ」のと同様、日本古来の暮らしにおけるマナーのひとつです。

敷居を踏んではいけないのは、なぜ?

ちなみに、「敷居を踏む」ことは、その家の当主や家人を踏みつけることと同様の非礼とされてきました。敷居は家の中と外、または部屋と隣り合う空間との境界ですが、建具の枠であって床や地面ではありません。したがって、踏むものではないのです。敷居を踏むと建て付けが悪くなり、昔の工法で建てた家では建物自体の歪みにつながり、交換することも難しかったのです。このような理由から、敷居をまたぐというマナーが定着してきたと考えられます。

自分の家も訪問先の家も大切にする

こうした日本に根づく暮らしのマナーは、自分と家族が暮らす家を大切に守り、また、客として他家を訪問する時は、その家と家人も大切にして敬意を払うという思いが込められています。このように、敷居や畳のヘリにまつわるマナーは日本人の細やかな気配りや思いやりから生まれたものと言えるでしょう。特に、畳のヘリは、繧繝縁(うんげんべり)をはじめ、色や文様で家の格式を表すものもあります。

畳のヘリを踏んではいけない5つの理由

では、ここで畳のヘリを踏んではいけない5つの理由を通して、畳の部屋におけるマナーについて理解を深めていきましょう。

畳が傷んでしまうため

畳のヘリは繊細な素材でできています。元々は植物染めという手法で染められており、色落ちしやすいことに加えて耐久性が低いため、傷みやすいという特性がありました。ヘリは本来、畳を保護するものですから、ヘリが傷むと畳そのものも傷んでしまいます。畳をできるだけ長持ちさせるためには、傷みやすいヘリの部分を踏まないように注意する必要があったのです。しかし、現代では耐久性のある丈夫な畳が販売されているため、昔ほど畳のヘリに気を遣う必要はなくなりました。

躓(つまづ)かないようにするため

畳のヘリは畳同士の接合部分です。時間が経つと畳は浮き上がったり段差ができたりしてヘリ部分が合わず、凸凹してくることもしばしばあるため、躓(つまづ)きかねません。小さな段差とはいえ、高齢者や小さなお子さんにとっては転倒の原因となることもありますし、健常な人でもお茶を入れたお盆を運ぶ時などは注意が必要です。そのため、こうしたリスクをあらかじめ回避するために、昔からヘリを踏まずに歩くようにしていたのです。

上座と下座を分けるため

日本には昔から目上の人が上座に座り、目下の者が下座に座るという決まりがあります。和室では奥側が上座で出入口に近い側が下座というルールがあり、畳のヘリが両者の境界線として認識されています。境界線であるヘリを踏んでしまうと、上座にいる目上の人に対する礼を欠き、格式に反していると見なされるため、礼儀として踏んではいけないとされていました。

相手に対する侮辱になってしまうため

畳のヘリには、「紋縁(もんべり)」と呼ばれるタイプがあります。紋縁とは家紋をあしらったヘリのことで、武家屋敷などで広く用いられてきました。家紋を踏むことは家に対する侮辱と見なされ、無礼に当たります。家の格式を重んじていた武士の時代の名残が、今も受け継がれているのです。

攻撃から身を守るため

武士の時代は畳の間から槍や刀を差し込まれ、床下から攻撃されることがありました。そのため、敵の攻撃から身を守るためには、畳のヘリを踏まない方が安全だったのです。また、刃物で刺されないようにするためだけでなく、ヘリを踏むことで漏れる光や音から自分の位置を相手に知られないようにする目的もありました。

畳のヘリの色と文様

畳のヘリの色柄には家の格式を示す役割もありました。ここでは中でも代表的な3種類について紹介します。

繧繝縁

繧繝縁(うんげんべり)は、天皇・三宮・上皇が使う畳に用いられたヘリで、最も格式高い種類です。朱・青・緑・紫などのカラフルではっきりした色に、ひし形や花菱などでかたどった伝統的な文様をあしらいます。

高麗縁

高麗縁(こうらいべり)は、親王・摂関・大臣などの上級職に就く人たちが使う畳のヘリです。白地に黒のシンプルな色合いで、雲や菊の花などの文様があしらわれます。
高麗縁は、「大紋高麗縁」と「小紋高麗縁」に分類され、それぞれ使う役職が異なっていました。大紋高麗縁は今でも神社仏閣や茶室などで見ることができます。

紫縁・黄縁

聖徳太子の時代に作られた位階制度の中で、「殿上人」のうち四・五位の人が使ったのが紫縁(むらさきべり)です。殿上人は天皇が過ごす清涼殿の殿上間という場所へ昇ることを許されている位の高い人たちでした。一方の黄縁(きべり)は、紫縁よりも低い六位以下の人たちが用いたヘリです。

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※ここに掲載されている情報は2023年11月6日時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。