騒音対策は賃貸物件でもできる?
おすすめの防音対策

アパートやマンション住まいの場合、隣の部屋からの生活音などが騒音に聞こえ、気になることがあります。しかし、退去の現状復帰や退去費用のことを考えると、賃貸物件で借り手が出来る騒音対策は限られてきます。

また、都会に近いアパート、マンションといった賃貸物件では、防音対策・騒音対策がしっかりなされているかいないかで賃料や成約率に大きく差が出てしまいます。近年はリノベーション案件でも防音対策・騒音対策についての需要が高まってきています。

本記事は、賃貸物件でもできる防音対策・騒音対策をポイントとともにご紹介します。周囲の騒音が気になる借り手の方はもちろん、防音対策・騒音対策にお悩みのお客様をお持ちの業者様も、ぜひ参考にしてください。

騒音の2つの種類

騒音の2つの種類

騒音の種類は大きく分けて「固体伝搬音」「空気伝搬音」の二つです。賃貸物件の防音対策・騒音対策を練るために、まず騒音の要因を理解しましょう。

固体伝搬音

賃貸物件で気になる騒音の原因の1つに固体伝搬音が挙げられます。固体伝搬音とは建物などに衝撃が与えられて振動し、伝わった先で空気中に放出される音のことです。具体的に言えば、床を歩いた時の音、機器などの稼働音です。固定伝搬音は音の密度が高いため、空気伝搬音と違って遠く離れていても音が小さくなりにくい性質があります。加えてマンション等の床や壁、配管は他の住居と繋がっていることが多いため、音が響きやすい傾向にあります。

建物の構造上、固体伝搬音は音の軽減が難しく、賃貸物件における騒音トラブルの原因になりやすいです。夜中や早朝に発生する固体伝搬音には注意が必要です。音を小さくする対策としては、防音・防振マットなどで振動の伝搬を絶縁させ、さらに吸音材・防音パネルを使用するのが良いとされています。

空気伝搬音

空気伝搬音とは音が空気中に放射され、音波として伝わる振動のことです。様々な外部騒音や設備機器などの騒音、壁や窓などを透過して伝わる音が空気伝搬音です。空気伝搬音は固体伝搬音と比べて密度が低いため、遮音材の使用で音を小さくできます。

賃貸物件での主な騒音3種類

賃貸物件での主な騒音3種類

賃貸物件で生活していると隣人とのトラブルが発生しやすいです。生活音や話し声でも騒音ととられ、トラブルに発展するケースがあります。ここでは、主にどのような音が騒音と受け取られているかご紹介します。

1.生活音

子どもがいる家庭では、走って遊び回ることによる生活音が騒音トラブルに繋がります。家庭用機械の使用も生活音として気になるケースが多いです。掃除機や洗濯機などの家電を周辺環境や人の動きが少なくなる深夜に使用すると音が響き、騒音トラブルに繋がります。また、冷蔵庫やドアを強く開閉すると音が響くので、隣人に騒音と感じられてしまうケースがあります。

2.楽器

賃貸物件の室内で楽器を演奏する場合は音に注意が必要です。楽器の種類によっては左右の部屋に音を漏らさず演奏することは難しく、上下左右の部屋や窓が開いていれば、より広い範囲の部屋に対して騒音の原因を作ります。楽器を自宅で演奏する場合は、時間帯を決めて近隣住民から事前に許可をとるなど、まわりへの配慮を行うことで騒音トラブルの可能性が低くなります。

3.ペット

ペットの鳴き声や足音も騒音と捉えられます。特に響くのは高い声や音です。小型犬や猫の鳴き声は隣の部屋に響きやすいです。中型犬や大型犬の鳴き声は高くないものの、鳴き声自体が大きいため、騒音ととられる可能性があります。夜間など、飼い主が帰宅した際に鳴き声を上げる動物が多いため、騒音トラブルになりやすいのです。大型犬は体重が人間の子ども以上の場合もあり、下の部屋に足音が響いてしまうケースもあるので注意が必要です。

賃貸物件でもできる防音対策・騒音対策2種類

賃貸物件は退去する際の現状復帰が原則なため、防音対策・騒音対策ができる内容は限られます。しかし、全く対策の手が無いわけではありません。賃貸物件ならではの防音対策・騒音対策を行うことで、日々のストレスから解消されるかもしれません。

賃貸物件の防音対策・騒音対策における主なアプローチは以下の2つになります。

1.防音対策・騒音対策のアプローチその1 遮音対策

遮音というのは空気中を伝わる音を遮り、音を小さくすることです。遮音による防音対策・騒音対策は遮音物を使用して音を跳ね返すという方法です。遮音性が高いグッズを使うほど、音が小さくなります。

しかし、遮音性を高くし過ぎると必要以上に室内の音が反響してしまうので注意が必要です。

2.防音対策・騒音対策のアプローチその2 吸音対策

吸音は遮音のように音を跳ね返すのではなく、音を吸収するものを用いて音を小さくすることです。吸音対策を行うことで室外に音が漏れにくくなり、室内では音がクリアに聞こえます。音を吸収する素材としては小さい孔が多く空いている素材を使うことが多いです。小さな孔は入り込んだ音を収縮して吸収します。

賃貸物件にオススメの防音対策・騒音対策製品4選

賃貸物件にオススメ騒音対策製品4選

賃貸住宅では様々な騒音問題があります。問題の改善には、手軽で設置可能な防音対策・騒音対策製品がオススメです。賃貸住宅で簡単に使用できる4つの製品をご紹介します。

1.防音テープ

防音テープは隙間の防音対策・騒音対策として使える商品です。窓を開閉する際に軽く感じる時は、隙間が空いている場合があります。隙間から音が漏れるのを防ぐため、遮音テープや隙間テープといった防音テープを貼り付けることは防音対策・騒音対策の1つとなります。
室外からの音を室内に入れにくいだけでなく、室内の音を外に漏らしにくくします。騒音に悩まされている方にも、騒音で隣人とトラブルになりたくない方にも有効な防音対策といえるでしょう。
なお、賃貸物件の場合は防音テープを剥がす際に接着剤が残ってしまうので、退去時はシール剥がし剤などで現状復帰をする必要があります。

2.吸音材

吸音材は特に「良質な音で映画を楽しみたい」「音楽鑑賞専用の部屋にしたい」といったニーズをお持ちの方におすすめです。

賃貸物件の壁を防音仕様にする際は大掛かりな工事が必要になる場合があります。一方の吸音材は賃貸物件向けで簡単に設置可能なものもあるため、工事を最小限にして防音対策・騒音対策ができます。

吸音材には主に3つの種類があります。

・多孔質系の吸音材
小さな穴が無数に空いている繊維質な素材やスポンジです。多孔質系の吸音材は音が入射した時に摩擦や細かな振動が発生し、音の反射率を低下させる構造になっています。
・振動板系の吸音材
薄い板や紙などに音の振動が伝わり、発生した振動エネルギーによって音を減衰させる原理の防音材です。振動板系の吸音材は、膜状のシールドやフィルムなどを用いて振動を吸収させる仕組みになります。
・共鳴型系の吸音材
共鳴現象を利用して空気自体を激しく振動させ、摩擦熱で音のエネルギーを消費させる吸音材です。共鳴型系の防音材は小さな穴が設けられており、穴が音を吸収する際に共鳴する周波数で音が減衰する仕組みになります。

3.防音カーペット

防音対策・騒音対策としては、お手軽に利用できる防音カーペットも候補の1つに挙げられます。カーペットは床一面に敷き詰められるため、騒音・防音効果が期待できます。防音カーペットを選ぶ際は、カーペット自体に防音性があるかの確認と、はっ水加工などのオプション機能が付いているかを確認すると良いでしょう。また、床衝撃音レベルを見て判断するのもおすすめです。

床衝撃音レベルは特級から1級、2級、3級まであります。防音カーペットを選ぶ際は、2級以上の商品を選ぶことがおすすめです。床衝撃音レベルが3級の防音製品は、防音性の低いものが多いため、買い直しのリスクがあります。防音性能を気にする方は、2級以上の製品を購入するのが望ましいでしょう。

4.防振ゴム

防音グッズの1つに、防振ゴムがあります。防振ゴムはエアコンの室外機から出る騒音を防ぐのにおすすめです。室外機音の原因としては、長年の使用による影響とエアコン振動が考えられます。室外機の振動が壁や床に伝わると、騒音となることがあります。

防音対策・騒音対策ができる防振ゴムには丸型、板型の2つがあり、床と室外機の間に挟みます。ゴムを噛ませることで室外機の振動を吸収し、床や壁に伝わることを防ぎます。ただし、室外機の振動自体を止めることはできません。室外機は壁にピッタリくっつけるのではなく、少し離して置くことで振動が伝わりにくくなります。

騒音が気にならない賃貸物件を選ぶポイント5選

騒音が気にならない賃貸物件を選ぶポイント5選

賃貸住宅を探す際に重視すべきポイントの1つに「防音」を挙げる方は少なくありません。自分自身が静かな落ち着いた環境で過ごしたいという理由もあれば、子どもの泣き声や足音、楽器演奏の音で周辺住民と騒音トラブルになりたくないなど、防音性の高い物件を希望する理由は人それぞれです。住んでから後悔しないように、騒音が気にならないアパート、マンション選びのポイントを5つご紹介します。

1.建築構造

騒音が気にならないアパートやマンションを選ぶ際は建築構造の確認が必要です。建築構造は「鉄骨造」「鉄筋コンクリート」の大きく2つに分けられます。中でも防音性に優れているのが「鉄筋コンクリート」です。

鉄筋コンクリートは鉄の骨組みにコンクリートを流し込んでおり、密度が高いので遮音性に優れています。マンションには鉄筋コンクリート構造のものが多く、生活音が騒音となり、周りに迷惑をかける可能性は低くなります。一方の鉄骨造や木造は、鉄筋コンクリート構造と比べると、音を通しやすいので防音性は低いです。また、壁が薄い場合、隣人の話し声や物を動かす音が聞こえてくる物件もあります。

2.物件の立地

騒音が気にならないアパートやマンションを選ぶ際は、物件の立地確認が必要です。賃貸物件の中だけでなく、周囲環境に騒音の原因がないかの確認が重要です。例えば、頻繁に電車が通る線路付近の物件は、電車の音や地響きが広まる可能性があります。他にも多くの人が出入りするお店や施設、学校や幼稚園などがある場合も、周辺の音環境をあらかじめ確認することが必要です。

3.部屋の配置

騒音が気にならないアパートやマンションを選ぶ際は、部屋の配置も大切なポイントです。近隣住人のライフスタイルなどの事前確認も重要です。騒音のあるなしは立地環境だけでなく、同じアパートやマンションの住人にも影響されます。例えば、小さな子どもやペットがいると、鳴き声や足音が気になるかもしれません。賃貸物件を内覧する際は数分しか滞在しないため、細かく知るのは難しいですが、できる限り近隣住人の様子を確認するのが大事です。

4.壁の確認

騒音が気にならない賃貸物件かどうかは、内覧時にアパートやマンションの壁を軽く叩くのがおすすめです。コンクリートの場合、壁を叩いた際に固く詰まったような音がします。一方で、叩いた感じが軽く、壁の内側に高音が響くような壁は石膏ボードです。コンクリートは防音性が高く、石膏ボードは防音性が低い傾向にあります。

5.共有スペースの確認

騒音が気にならないアパートやマンションを探す際は、共有スペースの確認も行うのがおすすめです。「防音対策・騒音対策あり」を条件に見つけた賃貸物件でも、実際に住んでみないと分からないこともあるものです。例えば、共有スペースのゴミ捨て場やポストなどの周辺で入居者のマナーが悪かったり、エレベーターの中に「騒音注意」の張り紙があったりする場合は、実際に騒音トラブルが発生している可能性があります。

騒音トラブルにならないためのコツ5選

騒音トラブルにならないためのコツ5選

騒音トラブルで自分自身が加害者にならないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。アパートやマンションで騒音トラブルを起こさないための主な対策は以下の5つです。

1.生活家電の使用は日中にする

賃貸物件で騒音トラブルを避けるコツとして、生活家電の使用は就寝時間帯や早朝をできるだけ控えることが大事です。日中に家電を使用する際も音が気になる場合は洗濯機の下に防音シートを貼ることや、防振マットを敷くのがお勧めです。

アパートやマンションで騒音トラブルを避けるためには、テレビやステレオを壁にピッタリつけないことも大事です。壁にくっついていると、空気音に加えて固体音の振動も伝わる可能性があります。また、テレビボードの下に吸音マットを敷くなど、できる限り周囲に音が漏れないような防音対策・騒音対策をすることが重要です。

2.足音などの生活音に注意する

アパートやマンションでは、生活音が騒音トラブルに発展する可能性もあるため、注意が必要です。生活音を防ぐには、床に防音マットや防音カーペットを敷く方法があります。マットやカーペットが衝撃を吸収するため、騒音の軽減が期待できます。

3.テレビや楽器などのオーディオ機器の設置

アパートやマンションでの騒音トラブルを避けるには音量の配慮が必要です。テレビや楽器などのオーディオ機器を使う場合は、振動が伝わりやすい廊下側や壁側にできるだけ設置しないことも大事です。なるべく壁から離して設置し、床には専用の防音マットを敷くなどの防音対策・騒音対策が必要です。吸音効果を高めるためにカーペットを床に敷いた上で、窓には厚手の防音カーテンをかけるのも音漏れを防ぐ1つの方法です。

4.外部の騒音にも注意

アパートやマンションで生活する際は、外部の騒音にも注意が必要です。線路が近い賃貸物件や道路沿いのマンションでは、家の中まで音が入ってくるため、生活のストレスになる可能性があります。賃貸物件を選ぶ際は、外部の音を遮断できるか確認するとともに、交通量の把握も必要です。

一方、道路沿いに面している賃貸物件でも、配置や間取りによっては騒音が部屋に入ってきにくい部屋もあります。物件を決める際は時間帯を分けて複数回訪れることで外部の騒音が把握できます。

5.入居者のマナー

賃貸物件では入居マナーが騒音トラブルに発展するケースもあります。近隣住人のマナーが悪い場合、扉の開閉音や家電製品を使用した際の音などが夜中に聞こえてくるケースもあります。また、テレビの音量などが大きすぎた場合でも近隣住民のストレスになり、賃貸物件内での騒音トラブルに発展する可能性があります。建物自体が防音対策・騒音対策に優れている場合でも、入居者のマナーによってはトラブルに発展するケースがあることを覚えておきましょう。アパートやマンションを内覧する際は、エレベーターなどの張り紙で騒音トラブルが起きていないか、確認を行うことがおすすめです。

もし、アパートやマンションで騒音トラブルになってしまったら…対処方法のヒントを紹介

もし、アパートやマンションで騒音トラブルになってしまったら…対処方法のヒントを紹介

賃貸物件では自分の生活音が騒音と取られてしまうこともありますし、逆に隣人が出す音に我慢できなくなることもあるでしょう。もし、アパートやマンションで騒音トラブルに巻き込まれた時はどうすればよいのでしょうか。対処方法のヒントを紹介します。

アパートやマンションで騒音に悩まされている場合

1.客観的なデータや記録を取る
まず、どの時間帯にどのような音が騒音となっているのか、客観的なデータを取ります。騒音計測器や録音機を使い、騒音の大きさを実測値として残しておくことが大事です。

2.管理組合、管理会社、オーナーに相談する
アパートやマンションのような賃貸物件における騒音トラブルは、個人の間で解決しようとしないほうが無難です。お互いに感情的になってしまう可能性があり、ヒートアップすれば重大な事件などにつながってしまう危険性すらあります。その場合は管理組合や管理会社やオーナーに相談し解決を図るようにしましょう。

3.第三者機関に相談する
管理組合やオーナーによる対処がうまくいかない場合は、第三者機関に相談することもできます。騒音問題に強い弁護士や市区町村の公害苦情相談窓口、住宅紛争審査会などがアパート・マンションで起こる騒音の相談に乗ってくれます。また、騒音トラブルが発端となって脅迫を受けるなど、身の危険を感じるようなら警察に行きましょう。

アパートやマンションの住人から騒音のクレームが入った場合

1.どの時間帯のどの音がうるさいかを把握する
騒音がうるさいと言われた場合は、どの時間帯のどのような音がうるさいのかを管理会社や直接相手からから聞き取ります。マンションなどの集合住宅では、どの部屋からの音なのか明確に分からないため、見当違いの騒音クレームを受けている可能性があるからです。

2.防音対策・騒音対策をする(心当たりがなければ第三者に相談する)
苦情の内容を聞いた結果、心当たりがあるなら速やかに防音対策・騒音対策を行う必要があります。騒音の感じ方は人それぞれなのに…と思う方もいるかもしれませんが、音の大きさは数値化して客観視できますし、それが社会通念上我慢できるレベルを超えていると判断されれば、損害賠償請求の対象となることもあります。
逆に騒音を出している心当たりがない、相手の勘違いである場合は、大きなトラブルに発展しないよう、管理組合やオーナーなどに相談しましょう。

賃貸物件でできる防音対策・騒音対策まとめ

本記事では、賃貸住宅でできる防音対策・騒音対策をご紹介しました。防音対策・騒音対策は近隣住民とのトラブルを回避するためにも必要です。有効な手段としては、「遮音材・吸音材を設置する」「隙間を埋める」ことが挙げられます。遮音材は音を減らし、吸音材は音を吸収する性質を持つので、音の種類を把握した上で選ぶと良いでしょう。防音対策・騒音対策を施せば、室外からの音漏れを小さくするだけではなく、室内から発せられる音を室外に漏らさないことにもつながります。ご紹介した防音対策・騒音対策を取り入れるなど、自身に合った方法で賃貸物件内の防音対策・騒音対策を行ってください。

※ここに掲載されている情報は2024年1月時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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