ウッドショックで見直される日本の木 国産材・地域産材を活用した地産地消の施設づくり

ウッドショック

日本は国土面積の約7割が森林で覆われている、世界有数の森林大国です。
しかしながら、日本で使用されている木材のうちの約7割が外国産材で、国産材の使用率が約3割と低いことが長年の課題でした。このような状況が続く中、「ウッドショック」と呼ばれる木材の不足と価格高騰により、海外からの木材輸入量が大きく減少する状況が続いており、その結果として、国産材の活用を見直す動きが活発化しています。 今回は、ウッドショックをきっかけに注目を浴びている日本の国産材や地域産材の活用のポイントをご紹介します。

「森林大国」日本の国産材の優位性と木材自給率の問題

ウッドショック

日本は国土の約7割を森林が占め、その面積比はOECD(経済協力開発機構)諸国の中で3番目に位置しており、木材に恵まれた環境を持っているといえます(2020年7月時点)。
※出典:FRA2020「世界森林資源評価2020 Main report」

さらに、日本の木は寒さの厳しい冬や高温多湿の夏といった寒暖差が激しい環境下で育つため、耐久性が高く、腐食に強く、年輪や木目が美しいという優れた特性を持っています。

また、外国産材の場合、輸送中に虫がつきやすいため防虫剤や防腐剤が注入されているケースがありますが、国産材はこれらの薬剤が使われていないことが多いです。以上のことから、国産材は建材としての用途に適した材料と言えます。

豊富な森林資源と優れた国産材がありながらも、日本で木材の自給率が低迷し続けたのは、輸入材の増加による林業のサプライチェーンの崩壊が大きな要因でした。1964年に行われた木材輸入の自由化により、価格の低い外国産材の需要が高まり、国産材の使用は半分以下に減少しました。その結果、林業は衰退し、慢性的な人手不足に陥ることに。そうして1973年以降は需要が伸びない状況が続いたのです。

ウッドショックとは、その背景は?

ウッドショック

木材の需要が供給に追い付かず木材不足となり、輸入材を中心に木材価格が世界的に高騰する状況をウッドショックと呼んでいます。これは、1970年代の原油価格上昇で起きたオイルショックをイメージさせることから名付けられました。ウッドショックにより木材の供給不足が続いていることで、費用の高騰、住宅建設の工期遅れといった深刻な状況が生まれています。

ウッドショックが起きている背景には、以下の4点が絡んでいます。
・アメリカにおける新築の住宅建設・リフォーム需要の急伸
・中国の著しい景気回復による丸太の消費量の増加
・ウクライナ情勢を受けたロシアによる日本に対しての木材輸出禁止
・世界的なインターネット通販の隆盛によるコンテナ不足や海外輸送コストの上昇

今後の世界情勢次第ではありますが、ウッドショックは世界中で長期化するとの見通しが立てられています。

地元の木で地産地消を

ウッドショック

現在、輸入材が抱えている課題を受けて、国産材への切り替えを本格的に進める動きが見られています。国は国産材の安定的な確保・活用のための支援をスタートしたり、迅速に地産地消を進めるために、自治体(都道府県)レベルでも公共施設や商業施設などへの国産材・地域産材の活用を支援したりしています。
※参考:「東京都産業労働局 多摩産材の利用拡大」

建材メーカーでは、上質な国産材・地域産材を活用する取り組みとして様々な内装材を開発し、公共施設の内装の木質化を進めています。その一例として、『WPC加工』を施したフローリングが挙げられるでしょう。『WPC加工』とは、木材の導管部分にプラスチックを注入し、木材の風合いを生かしながら、木材の欠点である傷や汚れの問題を改善する技術です。上質な国産材を施設に活用することで、木の温もりや木目の美しさに包まれた心地よい空間づくりを実現できます。

地域でとれる木材を活用して、その土地の公共施設などに活かす地産地消を進めれば国内の木材消費量は増加し、林業の人手不足を解消できるようになります。全国的な課題となっている地方創生を促進させ、さらには観光資源へとつなげていくために、日本の優れた国産材・地域産材を積極的に活用していきましょう。

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