内装木質化の効果と事例

内装 木質化

オフィスやクリニック、学校など、住宅だけでなく公共・商業施設でも空間の過ごしやすさが求められています。東京大学大学院 農学生命科学研究科の恒次教授は、公共・商業施設に木材を使用することで生まれるリラックス効果など、内装木質化の効果について長年研究を重ねてこられました。
DAIKENも2021年に、恒次教授とともにオフィスの内装木質化が働く人に与える影響について検証を実施しました。その担当者でもあった私:栢野が、内装木質化の効果について改めてインタビュー。その内容をお伝えします。

  • お話を聞いた方々

  • 恒次
  • 東京大学大学院農学生命科学研究科
    生物材料科学専攻・材料・住科学講座 木材物理学研究室
    恒次 祐子 教授
    東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。専門分野は林産学、居住環境学。木材や、木材を用いた空間が人に与える影響、木材利用による地球環境保全効果の定量的な評価などを研究。

     

  • 栢野 旭代
  • 大建工業株式会社
    栢野 旭代
    恒次教授とともに、オフィスの内装木質化がワーカーの生産性、心理・身体面に与える影響や樹種に応じた影響の変化を検証。

木材・木質内装が室内環境におよぼす影響

恒次教授は空間に木材があることで室内環境におよぼす影響、またヒトにおよぼす影響などを、実際にデータを測定することでその効果を実証されています。
「木材が空間の湿度を調整する効果は良く知られており、外部の湿度が上下していても木材を使用した室内の湿度は一定を保つことが分かっています。またアンモニアなどを吸着し、活性炭と同レベルの消臭効果があることも分かっています。」と、今回お話を聞いた中でもまず最初に、内装木質化の調湿効果と消臭効果について示された恒次教授。木材は多孔質という構造のため表面積が大きく、その穴の中に湿気やアンモニアが吸着され、室内環境の湿度を一定に保ち、消臭効果もあるということを、分かりやすくご説明いただきました。

内装 木質化

木材の調湿効果。下のグラフの赤線が内装木質化した空間の湿度。
他の空間に比べて一定であることが分かる。

内装 木質化

木材の消臭効果。木の枝葉やチップに触れたアンモニア濃度が
時間経過とともに低下していることが分かる。

木材・木質内装による人への影響

内装 木質化

次に木質空間が人におよぼす影響についても教えていただきました。まずは木の香りによる人への影響です。
「スギの香りを嗅いだ被験者の血圧と脳活動が、スギの香りを嗅いでしばらくすると低下し、落ち着いた状態であることが示されています。また都内のホテルに37~60歳の男性を3日間宿泊させ、3晩ともヒノキ材油の香りをアロマ加湿器で発生させたところ、宿泊前に比べてNK活性が有意に上昇し、尿中ノルアドレナリンが有意に減少するなど、免疫機能が上昇することが分かりました。」と語る恒次教授。

これまでなんとなく木の香りは落ち着くというイメージがありましたが、こうしてデータで示されることによりその効果を実感しました。また免疫機能を上昇させる効果があることは新たな発見にもなりました。

内装 木質化

スギの香りを嗅ぐことで血圧や脳の活動量が低下。
落ち着いた状態であることを示しています。

内装 木質化

免疫力の指標のひとつされるNK活性が上昇し、
尿中のアドレナリンも低下。

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恒次祐子

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