【第2回】高齢者施設の安全について考える 転倒・転落リスクを軽減させる床

転倒 転落 リスク

高齢者の転倒・転落リスクを軽減させる床

●転倒・転落リスクから高齢者の日常を守る

高齢者の日常においては、つまずいたりすべったりして転倒する危険、椅子やベッドから転落する危険が潜んでいます。転倒や転落による骨折といった身体的苦痛や精神的ダメージを受け、外出や運動を控えてしまい、筋力が衰えさらなる身体機能の低下を招くことも。利用者さんの生活の質を維持するためにも、高齢者施設の床には転倒・転落への配慮が欠かせません。

●約6割の方が「つまずいて・すべって転倒」することに危険を感じている

床に潜む危険性について、現役の高齢者施設スタッフへDAIKENが独自調査を行ったところ、約6割の方が「つまずいて・すべって転倒」することを「危ない」と感じていました。

◎床について、これまで「危ない」と感じたことを教えてください

転倒 転落 リスク

「その他」への自由回答にも、「水濡れですべる」「敷物にひっかかる」などといった利用者さんの転倒リスクについての声が寄せられています。

●6割強が床に関するアクシデントの経験あり

上記質問で「危ない」と感じていた方へ、実際に何らかのアクシデントへとつながった経験の有無について聞くと、61.4%の方が「経験がある」と回答しています。

◎「危ない」と感じたことが、アクシデントへとつながった経験はありますか

転倒 転落 リスク

室内ドアに起因するアクシデント有無に関する質問においては46.1%の方が「ある」と回答していたことから、床の方がよりアクシデントへと繋がりやすい傾向も伺えます。

●スタッフが高齢者の転倒を見かける回数って?

同調査において、1日の勤務につき何回程高齢者の転倒を見かけるかについて聞いたところ、約半数(59人)の方が「1~2回見かける」と回答。驚くことに6~10回ほど見かけている方も2人いらっしゃいました。

◎1日の勤務につき、多い時で何回ほど高齢者の転倒を見かけますか。

転倒 転落 リスク

さらには、居室に1人で過ごしているタイミングで起きた転倒は防ぎづらいもの。転倒の要因を取り除き、転倒しても大ケガをしにくい環境を整えることが、転倒リスクに備える有効な対策と言えるでしょう。

●事故事例の6割以上を占めるのが「転倒・転落・滑落」

公益財団法人 介護労働安定センターは、平成26年から平成29年にかけて消費者庁より厚生労働省老健局に報告された介護事業所※における事故276事例を分類。すると、約66%と圧倒的に多かった事例は「転倒・転落・滑落事故(181件)」という報告も上がっています。
※調査対象:通所サービス・入所サービス・居宅介護支援サービス

◎厚生労働省報告276事例 事故状況分類

転倒 転落 リスク

出典:公益財団法人 介護労働安定センター「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業」報告書(平成30年)を基に作成

この276事例は、概ね30日以上の入院を伴った重大事例が対象です。よって、この結果には比較的怪我の症状が軽かった事例は数に含まれていないことから、介護サービスの現場ではさらに多くのアクシデントが起きていることも予想されます。

転倒・転落事故は骨折などの大ケガへとつながる場合もあるため、高齢者施設においては設備面での備えをしておきたいところです。

【設備面での備えの例】
滑りに配慮した床材は、転倒・転落が発生するリスクを抑えてくれます。共有スペースではクッション性のある畳を活用すると安心です。

・高齢者の滑りに配慮した木質フローリング
・畳

重大な介護事故が起きてしまうと、利用者さんはもちろん、担当スタッフやその他職員の心身へ及ぼす影響も大きくなります。運営に携わる全員が日々のヒヤリ・ハット事例を共有してアクシデントの芽を摘む他、施設運営者は転倒・転落に備えた環境づくりを心掛けることが求められます。

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