騒音対策は賃貸物件でもできる?
おすすめの防音対策4選

アパートやマンションなどの集合住宅の場合、隣の部屋からの生活音などが気になることがあります。しかし、賃貸物件では、退去の現状復帰や退去費用のことを考えると出来る防音対策が限られます。

都会に近い物件では、騒音対策がしっかりなされているかで大きく賃料や成約率に差が出てしまいます。リノベーション案件でも騒音対策についても、近年需要が高まってきています。

本記事は、賃貸物件でもできる防音対策をポイントとともにご紹介します。周囲の騒音が気になる方や、騒音対策にお悩みのお客様をお持ちの業者様も、是非参考にしてください。

騒音の2つの種類

騒音の2つの種類

騒音の種類は大きく分けて「固体伝搬音」「空気伝搬音」の二つになります。騒音対策を練るためには騒音要因と音の種類の理解をしましょう。

固体伝搬音

賃貸物件で騒音の原因の1つに固体伝搬音が挙げられます。固体伝搬音とは建物などに衝撃が与えられて振動し、伝わった先で空気中に放出される音のことです。床を歩いた時の音、機器などの稼働音です。固定伝搬音は音の密度が高いため、空気伝搬音のように遠く離れていても音が小さくなりにくい性質があります。床や壁、配管は他の住宅と繋がっていることが多いため、音が響きやすい傾向にあります。

建築の構造上、固体伝搬音は音の軽減が難しいため騒音トラブルになりやすいです。夜中や早朝に発生する固体伝搬音には注意が必要です。音を小さくする対策として防音・防振マットなどで、振動の伝搬を絶縁させ、さらに吸音材・防音パネルを使用するのが良いとされています。

空気伝搬音

空気伝搬音とは音が空気中に放射され、音波として伝わる振動のことです。様々な外部騒音や設備機器などの騒音、壁や窓などを透過して伝わる音です。空気伝搬音は固体伝搬音と比べて密度が低い性質のため、遮音材の使用で音を小さくします。

賃貸物件での主な騒音3種類

賃貸物件での主な騒音3種類

賃貸物件で生活していると隣人とのトラブルが発生しやすいです。騒音トラブルは生活音や話し声でも騒音と感じられます。主にどのような音が騒音と受け取られているかご紹介します。

1.生活音

子どもがいる家庭は、走って遊び回ることによる生活音が騒音トラブルに繋がります。家庭用機械の使用も生活音として気になるケースが多いです。掃除機や洗濯機などの家電用機械は周辺環境や人の動きが少なくなる深夜の使用は音が響きトラブルに繋がります。また冷蔵庫やドアの開閉を強くすると音が響くので騒音と感じてしまうケースがあります。

2.楽器

室内で楽器演奏をする場合は音に注意が必要です。楽器の種類によって左右の部屋に音を漏らさずに演奏することは難しく、また上下左右の部屋や窓が開いていればより広い範囲の部屋に対して騒音の原因を作ります。楽器を自宅で演奏する場合は、時間帯を決めて近隣住民への事前の許可をとるなど、まわりへの配慮を行うことで騒音トラブルの可能性が低くなります。

3.ペット

ペットの鳴き声や足音も騒音と捉えられます。特に響くのは高い声や音であり、小型犬や猫の鳴き声は隣の部屋に響きやすいです。中型犬や大型犬の鳴き声は高くないものの、鳴き声自体が大きいため騒音になる可能性があります。夜間など、飼い主が帰宅した際に鳴き声をあげる動物が多いため、トラブルになりやすいです。大型犬の場合、重さが人間の子ども以上の場合もあり、下の部屋に足音が響いてしまうケースもあるため注意が必要です。

賃貸物件でもできる騒音対策2種類

賃貸物件は退去する際に現状復帰が原則なため、防音対策できる内容は限られます。賃貸物件ならではの防音対策を行うことで、日々のストレスから解消されることが期待できます。賃貸物件の防音対策における考え方は主に以下の2つになります。

1.遮音対策の考え方

遮音は空気中を伝わる音を遮り、音を小さくします。遮音は遮音物を使用して音を跳ね返すため、遮音性が高いものほど音が小さくなります。

しかし、遮音性を高くしすぎると必要以上に室内の音が反響してしまうので注意が必要です。

2.吸音対策の考え方

吸音は遮音のように音を跳ね返すのではなく、音を吸収するものを用いて音を小さくする対策です。吸音対策を行うことで室外に音が漏れにくくなり、室内では音がクリアに聞こえます。音を吸収する素材としては小さい孔が多く空いている素材を使うことが多いです。小さな孔は入り込んだ音を収縮して吸収します。

賃貸物件にオススメ騒音対策製品4選

賃貸物件にオススメ騒音対策製品4選

賃貸住宅では様々な騒音問題があります。騒音改善には、手軽で設置可能な防音対策製品がオススメです。賃貸住宅で簡単に使用できる4つの防音対策製品をご紹介します。

1.防音テープ

防音グッズには防音テープもオススメです。防音テープは室外からの音を室内に入れず、室内の音を外に漏らさないための有効な防音対策です。窓を開閉する時に軽く感じる時は、隙間が空いている場合があります。隙間から音が漏れることがあるため、隙間を埋めるために遮音テープや隙間テープを貼り付けることは防音対策のひとつです。

賃貸物件の場合は、テープを剥がす際に接着剤が残ってしまうので、退去時はシール剥がし剤などで現状復帰をする必要があります。

2.吸音材

吸音材は特に「良質な音で映画を楽しみたい」「音楽鑑賞専用の部屋にしたい」といったニーズをお持ちの方にお勧めです。壁を防音仕様にする際は大掛かりな工事が必要になりますが、吸音材は賃貸物件向けで簡単に設置可能なものもあるため、工事を行わずに部屋の壁に吸音対策をとることができます。吸音材には主に3つの種類があります。

・多孔質系の吸音材
小さな穴が無数に空いている繊維質な素材やスポンジです。多孔質系の吸音材は音の入射で、摩擦や細かな振動の発生により吸音させるものです。
・振動板系の吸音材
薄い板や紙などに音の振動が伝わり、発生した振動エネルギーによって音を減衰させる原理の防音材です。振動板系の吸音材は、膜状のシールドやフィルムなどを用いて振動を吸収させる仕組みになります。
・共鳴型系の吸音材
共鳴現象を利用して、空気自体を激しく振動させて摩擦熱で音のエネルギーを消費させる吸音材です。共鳴型系の防音材は小さな穴が設けられており、穴の中に音を吸収する際に共鳴する周波数で音が減衰する仕組みになります。

3.防音カーペット

防音製品には防音カーペットも、お手軽さという意味では候補のひとつに挙げられます。カーペットは床一面に敷き詰められるため、防音効果を期待できます。防音カーペットを選ぶ際は、カーペット自体に防音性があるかの確認と、はっ水加工などのオプション機能が付いているかを確認すると良いでしょう。また、床衝撃音レベルを見ての判断もおすすめです。

床衝撃音レベルは特級から1級、2級、3級まであります。防音カーペットを選ぶ際は、2級以上の商品を選ぶことがおすすめです。床衝撃音レベルが3級の防音製品は、防音性が低いものが多いため、買い直しのリスクがあります。防音性能を気にする方は、2級以上の防音製品の購入が望ましいでしょう。

4.防振ゴム

防音グッズには防振ゴムがあります。防振ゴムは室外機からの音を防ぐのにお勧めです。室外機音の原因は長年の使用による影響とエアコン振動が考えられます。壁や床からの振動によって共振します。

防振ゴムには丸型、板型の2つがあります。防振ゴムは床と室外機の間に挟みます。ゴムを噛ませることで室外機の振動を吸収し、床や壁に伝わることを防ぎます。ただし室外機の振動自体を止めることはできません。室外機は壁にピッタリくっつけるのではなく少し離して置くことで振動が伝わりにくくなります。

騒音が気にならない賃貸物件を選ぶポイント5選

騒音が気にならない賃貸物件を選ぶポイント5選

賃貸住宅を探す際に重視するべきポイントの1つに「防音」を挙げる方は少なくありません。自分自身が静かな落ち着いた環境で過ごしたいという理由もあれば、家族の場合は子どもの泣き声や足音をかけたくない、楽器演奏の音で周辺住民に気を遣いたくないなど防音性の高い賃貸住宅物件を希望する理由は人それぞれです。住んでから後悔しないように、騒音が気にならない物件選びのポイントを5つご紹介します。

1.建築構造

騒音が気にならない賃貸物件を選ぶ際は建築構造の確認が必要です。建築構造には、「鉄骨造」「鉄筋コンクリート」の大きく2つに分けられます。中でも防音性に優れているのが「鉄筋コンクリート」です。

鉄筋コンクリートは鉄の骨組みにコンクリートを流し込んでおり、壁の密度が高いため遮音性に優れています。鉄筋コンクリート構造の賃貸物件であれば、生活音が周囲に響いて迷惑をかける可能性は低くなります。鉄骨造や木造は、鉄筋コンクリート構造と比べると、音を通しやすいため防音性は低いです。また壁が薄い場合、隣人の話し声や物を動かす音も聞こえてくる物件もあります。

2.物件の立地

騒音が気にならない賃貸物件を選ぶ際は、物件の立地確認が必要です。賃貸物件だけでなく周囲環境に騒音の原因がないかの確認が重要です。例えば、頻繁に電車が通る線路付近の物件は、電車の音や地響きが広まる可能性があります。他にも多くの人が出入りするお店や施設、学校や幼稚園などがある場合も、周辺の音環境をあらかじめ確認することが必要です。

3.部屋の配置

騒音が気にならない賃貸物件を選ぶ際は、部屋の配置も大切なポイントです。また近隣住人のライフスタイルなどの事前確認も重要です。静かに暮らすためには同じ物件に住んでいる住人にも影響されます。例えば、小さな子どもやペットがいると鳴き声や足音が気になります。内覧の際は数分しか滞在しないため細かく知るのは難しいですが、できる限り周りの住人の様子を確認するのが大事です。

4.壁の確認

騒音が気にならない賃貸物件を選ぶ際は、内覧時に軽く壁を叩くのがおすすめです。コンクリートの場合、壁を叩いた際に固く詰まったような音がします。一方で、叩いた感じが軽く、壁の内側に高音が響くような壁は石膏ボードです。コンクリートの方が防音性は高く、石膏ボードの場合は防音性が低い傾向にあります。

5.共有スペースの確認

騒音を避けるための賃貸物件を選ぶ際は、共有スペースの確認を行うのがおすすめです。騒音が気にならない物件の条件の場合でも、実際に住んでみないことには分からないこともあるものです。例えば、共有スペースのゴミ捨て場やポストなど入居者のマナーが良いかどうか、エレベーターに乗る際も張り紙などで騒音の注意がある場合は、実際に騒音トラブルが発生している可能性があるといったことに注意することも大事です。

騒音トラブルにならないためのコツ5選

騒音トラブルにならないためのコツ5選

騒音トラブルで自分自身が加害者にならないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。トラブルを起こさないための対策は主に以下の5つです。

1.生活家電の使用は日中にする

賃貸物件で騒音トラブルを避けるコツとして、生活家電の使用する時間帯は、就寝時間帯や早朝をできるだけ控えることが大事です。日中に家電を使用する際も、音が気になる場合は洗濯機の下に防音シートを貼ることや、防振マットを敷くのがお勧めです。

テレビやステレオは壁にピッタリ設置しないことも大事です。壁にくっついていると、空気音に加えて固体音の振動も伝わる可能性があります。また、テレビボードの下に吸音マットを敷くなど、できる限り周囲へ音が漏れない配慮をすることが重要です。

2.足音などの生活音に注意する

生活音が騒音トラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。生活音を防ぐには、床に防音マットや防音カーペットを敷く方法があります。マットやカーペットが衝撃を吸収するため、騒音の軽減が期待できます。

3.テレビや楽器などのオーディオ機器の設置

賃貸物件での騒音トラブルを避けるには音量の配慮が必要です。テレビや楽器などのオーディオ機器を使う場合は、振動が伝わりやすい廊下側や壁側にできるだけ設置しないことも大事です。なるべく壁から離して設置し、床には専用の防音マットを敷くなどの対策が必要です。吸音効果を高めるために床にはカーペットを敷いた上で、窓には厚手の防音カーテンをかけるのも音漏れを防ぐ1つの方法です。

4.外部の騒音にも注意

賃貸物件で生活する際は、外部の騒音にも注意が必要です。線路が近い物件や道路沿いのマンションでは、家の中まで音が入ってくるため、生活のストレスになる可能性があります。賃貸物件を選ぶ際は、外部の音を遮断できるかの確認とともに、交通量の把握も必要です。

一方で、道路沿いに面している賃貸物件でも配置や間取りによっては、道路に近くても、騒音が部屋に入ってきにくい部屋もあります。賃貸物件を決める際は、時間帯を分けて複数回訪れることで外部の騒音の把握が可能になります。

5.入居者のマナー

入居マナーが騒音トラブルに発展するケースもあります。近隣住人のマナーが悪い場合、扉の開閉音や家電製品を使用した際の音などが夜中に聞こえてくるケースもあります。テレビの音量なども大きすぎた場合、近隣住民はストレスになり騒音トラブルに発展する可能性があります。建物自体が騒音対策に優れている場合でも、入居者のマナーによってはトラブルに発展するケースもあります。物件内覧の際は、エレベーターなどの張り紙で騒音トラブルが起きていないか、確認を行うことがおすすめです。

賃貸物件でできる騒音対策まとめ

本記事では、賃貸住宅でできる防音対策をご紹介しました。防音対策は近隣住民とのトラブルを回避するためにも必要な対策です。防音対策の有効な手段は、「遮音材・吸音材を設置する」「隙間を埋める」ことが挙げられます。遮音材は音を減らし、吸音材は音を吸収する性質を持つので、音の種類を把握した上で選ぶと良いでしょう。防音対策による効果は室外からの音漏れを小さくするだけではなく、室内から発せられる音を室外に漏らさないことにも有効です。ご紹介した防音対策を取り入れるなど、自身にあった方法で防音対策を行ってください。

※ここに掲載されている情報は2023年10月20日時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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