テクノロジー情報:素材

環境に配慮した新建材

合板を主力製品として製造してきたDAIKENは、1957年、日本の建築業界で初となる新建材「インシュレーションボード」の生産・販売を始めました。
合板の生産には良質な原木が不可欠でしたが、木質繊維板(インシュレーションボード)は原木ではなくウッドチップを原料とするため、建築解体材や製材の際に出る端材といった廃材など木材資源を無駄なく活用することが可能で、再生資源を100%使用した環境に配慮した新建材として注目を集めることとなりました。

地震に強い新素材

地震大国である日本において、震災にあっても倒壊せず、火災もおこさない住宅用の建材開発が求められていました。
1997年DAIKENは、これまで培ってきた開発力・技術力を駆使し、画期的な世界初の新素材『ダイライト』を誕生させました。
鉄鉱スラグ(鉱石母岩の鉱物成分などを含む物質)を原料にしたロックウール(鉱物繊維)と火山性ガラス質材料(シラス)によって生み出された『ダイライト』は、これまでの無機系素材では実現できなかった、軽量、高強度、高耐久、防耐火、加工性、通気性という、地震の揺れを面で支える耐力面材に求められる性能を兼ね備えた新素材でした。
2006年に信州大学工学部および(独)防災科学技術研究所との共同で実施した、実物大の家屋を使った振動実験では、震度7という強い揺れにも倒壊せず、耐力面材ダイライトは優れた耐震性を発揮することが証明されました。

国産材を活用した木質培地により新たな市場開拓へ

これまで利用されることの無かった国産木材の端材、間伐材、林地残材、河川木などの木材チップを独自の技術で特殊解繊処理し、植物の生育促進効果をもつフルボ酸を添加することで、全く新しい土壌改良材を誕生させました。
これら土壌改良材の開発において培った木材加工技術を応用し、粉砕処理した国産の木材チップに針葉樹が持つ生育阻害物質を無害化する処理を施すことで、野菜や花卉の栽培に適した性能を付与した木材由来の培地を開発しました。従来の培地から切り替えることで、収穫量の増加、良品割合の増加、水はけ改善による水分管理手間の軽減、軽量化による作業負荷の軽減など、さまざまな効果を確認することができました。
これらの生産・販売を通じて、国産木材の活用を推進するとともに、木質資源を燃料として使うサーマル利用だけではなく、付加価値の高い製品へと生まれ変わらせるマテリアル利用を推進することで、循環型社会の形成、さらには地球温暖化の防止といった社会課題の解決に貢献できるものと考えております。
また、「土木・造園分野向けの土壌改良材」、「農業・園芸資材分野向けの木質培地」という形で、異なる市場向けの新たな展開が可能となりました。

次世代技術から生まれた新素材による内装建材

間伐材などの森林資源や、産業廃棄物を含むさまざまな植物資源の有効活用につながる セルロースナノファイバー(CNF)は、持続型資源として注目されています。木材などから抽出されるセルロースを、幅15ナノメートル程度(ナノメートルは100万分の1ミリ)にまで細くした繊維がCNFです。繊維素材として結晶化しやすく、軽量・高強度・高弾性率など多くの利点を秘めている新素材です。
この新素材CNFを主原料とした、軽量で高強度のCNF成形体を用いた、室内用ドアをはじめ床材や壁材など高品質・高付加価値の内装建材を開発し、内装建材分野における新規用途の開拓を目指しています。CNFの成形体を建材に活用できれば、他素材に数%程度を添加するこれまでの一般的な活用方法以上に、大量のCNF需要が創出され、将来的なコストダウンが見込めます。また、建材製造時や資材運搬ならびに施工時を含めた製品ライフサイクル全体でのCO2排出量の総合的な削減も期待できます。