事業を通じた価値創造

大建工業グループは、さまざまな社会課題やニーズに対し、独自の素材や技術を活かした事業活動を通じて、 社会への価値を提供しています。

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木質素材の可能性拡大

社会課題・ニーズ

木質資源を活用し、カーボンニュートラルに貢献

木質資源のマテリアル利用を追求することで生活空間を“第2の森林”に

大建工業は、木材を貴重な資源として有効活用し、社会に貢献することを目指し創業しました。創業以来、木材の弱点を克服し良さを引き出す技術や、木材を余すことなく使い尽くす技術を磨き、さまざまな機能を付与した素材・建材を開発してきました。木はその成長過程でCO2を吸収したあと炭素として固定し、その後マテリアルとして利用し続けることで炭素を貯蔵し続ける働きがあります。木材は再生可能な資源であることから、森林を適切に管理し、利用し続けるサイクルをつくりあげることにより、持続可能な社会の実現やカーボンニュートラルに貢献することができます。①適切に管理された木材の活用、②森林を守るための木材の活用、③余すことのない木材の活用の3つの視点で持続可能な木源の活用を追求していくことで、社会的・経済的な価値を創出し続けていきます。

社会課題・ニーズ

国産木材を積極的に活用し、森林を健全に保つ

耐水性に優れた特殊MDFで国産木材の活用を促進

床材のトップメーカーとして培ったノウハウと、耐水性や表面の平滑性に優れたDAIKEN独自のMDF技術を活かし、国産木材を用いた床基材の開発を進め、その後も改良を重ねてきました。2023年度は主力製品の基材変更等により国産木材の利用率が42%に減少する結果となりましたが、引き続き国産木材の魅力を引き出す製品開発を進め、活用促進を図っていきます。

床基材における国産木材の利用率 2023年度約42%
国産木材を用いた床基材の断面イメージ DAIKEN独自の特殊MDF 国産木材の合板

木材硬化技術で国産木材の活用シーンを拡大

木材組織にプラスチックを注入・充填して硬化させるDAIKEN 独自のWPC※技術により、優れた表面硬度を有する国産天然木化粧材を用いた床材の提供が可能になりました。国産樹種の多くは軟らかい材質であるため、床材として使用するには耐久性が低いことが課題でしたが、この技術を活かし、地域材活用のニーズにも応えながら、国産木材の活用の幅を広げていきます。

※WPC:Wood Plastics Combination の略

WPC技術による地域材製品化実績30都道府県 床の表面材にプラスチックを注入し、硬化 プラスチックの重鎮により、凹みや傷に強さを発揮

木質素材の新たな用途展開

国産木材を木質繊維として活用するという着想のもと、未利用材や製材端材等を解繊処理した木質ファイバーを利用し、有機質の土壌改良材や園芸資材として、「DWファイバー」「グロウアース」を開発しました。これらの製品は、森林から切り出された木が培地となり、次なる植物の生育を助け、再び土に還るという資源循環を実現する環境配慮型資材として、健全な森林資源の保全やカーボンニュートラルの取組に寄与します。

DWファイバー グロウアースの特徴・用途の違い

2023年4月より、都市部のオープンスペースの新たな活用法として、グロウアースを用いた「みんなのエコ菜園」を事業化しています。都市型菜園のプランニングから運営までをワンストップでサポートし、ウェルネスな空間づくりによる建物価値向上に貢献します。

みんなのエコ菜園

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未利用資源の有効活用

社会課題・ニーズ

持続可能な生産に向けた未利用資源の活用

耐久性に優れた不燃素材による未利用資源の活用拡大

未利用資源であるシラス(火山灰)を主原料に用いて、従来の無機質素材では実現できなかった、軽量、高強度、防耐火などの性能を備えた世界初の新素材「ダイライト」を開発し、1997年から発売を開始しました。「ダイライト」は当初、住宅の強度を高める耐力面材が中心でしたが、現在は不燃性と意匠栄を兼ね備えた壁材やルーバー材としても提案を行っています。

ダイライト基材の深彫調不燃壁材「グラビオエッジ」ダイライト基材の不燃造作材「グラビオルーバー」 自然界に存在する未利用資材「シラス」

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ウェルビーイングへの貢献

社会課題・ニーズ

心身の健康と充実した生活を実現する快適な空間提案

誰もが安心して過ごせる空間づくり

高齢者施設や在宅介護を行う住宅など、利用者のニーズにきめ細かく対応できる製品ラインナップにより、年齢を重ねても安心して暮らせる生活空間を提供しています。また、これらの製品開発ノウハウを活かし、より安全性・快適性の求められる幼稚園・保育施設に向けた製品群の展開を行うことで、各施設に求められる様々な課題解決をサポートしていきます。

高齢者の方の暮らす住空間向け建材「おもいやりシリーズ」採用事例 高齢者との暮らしに配慮した業界初の開閉機構を搭載した「ひきドア」 子供たちの安全に配慮した「おもいやりキッズドア」 「キッズデザイン賞」受賞 天井吸音パネル「KIN TONE(キントーン)」

快適な生活環境の提案

住宅の省エネ水準向上に伴う高気密化により、湿度、におい、音の問題が顕在化するようになりました。このような室内の困りごとへの対応として、ダイロートン健康快適天井材の提案を行っています。一般的なクロス貼り天井と比べ、陰影が際立つ立体的なデザイン性を実現。また、調湿性能や消臭性能、不快な音の響きを抑える吸音性能を備えており、空間全体を健やかで快適に演出します。

ダイロートン健康快適天井材
湿度が高い時は空気中の湿気を吸収 湿度が低い時はため込んだ湿気を放出

音を通じた空間価値向上

生活空間の快適さを追求する中で、1980年代から音響製品を手掛け、さまざまな音の課題に向き合ってきました。以来、40年以上にわたる音研究の技術とノウハウの蓄積により、遮音、吸音性能を持つ製品開発にとどまらず、最適な音環境を実現するための空間提案を行っています。楽器演奏やシアタールームのような、高い防音性能とハイクオリティな音の響きを目的とした本格的な「音づくり」だけでなく、リビングや寝室といった生活空間における物音や話し声への悩みを解決するための防音工事まで、幅広い製品群と提案力により、心地よい生活環境の実現を目指しています。

在宅ワークを実施するときに気になった環境要因のグラフ

昨今はオフィスや店舗、医療施設などでも、音に関する新たな課題が顕在化しています。当社も新たなビジネスモデルの1つとして、公共・商業建築分野を中心に音環境改善を主軸とした、空間価値向上に資する設計・企画・コンサルティングから、製品開発・調達・製造・材工受注まで、一気通貫で対応できる体制の構築に向けて活動を始めています。従来、建物を施工した後に顕在化した音問題への対処が中心であった音環境のコンサルティングを施工前の建物にも拡大し、建築の技術的知識を持つプロジェクトマネージャーを新たな提案ターゲットとしました。これにより、測定・改善提案から材販に留まっていた当社の事業分野を、「音環境のコンサルティング」というコト提案に展開することができます。音の広がりや遮音性能を視覚的に確認できるシミュレーションソフトを用いるなど、提案方法についても新たな手法を開拓しています。

会議室内の反響音を抑制する製品の設置 音の広がりを視覚的に確認するシミュレーションシステム

抗ウイルス製品の拡充

2009年の新型インフルエンザの流行をきっかけに抗ウイルス機能に着目し、2011年に開発に着手。翌年、業界に先駆けて抗ウイルス機能「ビオタスク※」を実用化しました。2020年以降も、コロナ禍におけるウイルス対策へのニーズにあわせ、高齢者施設・幼保施設・クリニックなど、高い衛生管理が求められる施設向けの製品を中心に、抗ウイルス機能を付与した製品群を拡充しました。今後もさらなる技術開発に向けた研究をおこない、ウイルスの脅威低減に貢献することを目指す取り組みを進めていきます。
※ビオタスク:抗ウイルス機能に対する当社独自の名称(当社商標登録)

坑ウイルス機能を付与した製品 R&Dセンター 微生物測定室

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新たな価値創造への挑戦

社会課題・ニーズ

サステナブルな製品を通じた新しいビジネスモデルの構築

アップサイクルによる廃棄物の削減

サステナブルな社会の実現に向けた新たな取り組みとして、JR東海及びジェイアール東海商事と連携し、東海道新幹線の引退車両をリサイクル活用した、駅舎や店舗などの天井を立体的に演出する内装建材「グラビオルーバー 新幹線再生アルミ芯タイプ」を3社で共同開発しました。「東海道新幹線再生アルミ」は、アルミを新製する場合に比べ、製造時に必要なエネルギーを抑えられるため、CO2排出量を97%削減することができ、環境負荷軽減にもつながる素材です。この度共同開発したルーバーは、天井固定用の芯材に新幹線再生アルミを使用しており、化粧材基材には、未利用資源である「シラス(火山灰)」や製鉄時の副産物である「スラグ」を有効活用したエコ素材「ダイライト」を使用しています。環境に配慮した素材同士を組み合わせたサステナビリティ性の高さに加え、表面材に地域産材を使用することも可能なため、地域経済および林業の活性化にも貢献します。今後も地域との共生を図りながら、資源を廃棄せずマテリアルとして再利用し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献できる製品の開発を積極的に進めていきます。

【化粧材基材】未利用資源を使用した不燃基材「ダイライト」 【アルミ芯材】東海道新幹線再生アルミ 「グラビオルーバー新幹線再生アルミ芯タイプ」駅舎天井への施工イメージ 東海道新幹線再生アルミ

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安心と省施工の両立

社会課題・ニーズ

職人不足への対応・建築物の安全性確保を両輪で実現する

省施工製品・工法の開発による工期短縮と防災強化

東日本大震災以降、建築基準法の改正による大型公共建築物等の天井耐震化のニーズに応えるため、省施工・短工期で耐震化が可能な独自の天井工法「ダイケンハイブリッド天井」を開発しました。工事に携わる職人不足が見込まれる中、安全性と施工スピードの向上の両立を目指したこの工法により、在来天井を耐震化する場合に比べ、約25%の施工手間を削減することが可能となりました。また、災害時には避難経路となる廊下専用の天井システム「マモローカ」の開発や、木造住宅用耐力面材「ダイライト」による木造住宅の耐震性能向上など、災害大国の日本における防災強化向けて、製品開発力で貢献します。

在来天井の耐震化と比較したダイケンハイブリット天井の施工手間削減率※当社推計 約25% ダイライト採用戸数(累計)※当社推計 約100マ万戸(2022年3月末時点)→約105万戸(2023年3月末時点)