事業を通じた価値創造

大建工業グループは、さまざまな社会課題やニーズに対し、独自の素材や技術を活かした事業活動を通じて、 社会への価値を提供しています。

01 マテリアリティ「資源循環・循環型社会の実現」に向けた取り組み

木質資源の活用によるカーボンニュートラルへの貢献

SDGsアイコン 15 陸の豊かさも守ろう

木質資源のマテリアル利用を追求することで生活空間を“第2の森林”に

社会課題・ニーズ

気候変動対策がグローバルな喫緊の課題となる中、省エネや再生可能エネルギーへの転換など、温室効果ガスの排出量を削減するための取り組みに加え、CO2を吸収し、炭素として貯蔵できる機能を持つ森林を守り育て、木質資源をマテリアルとして活用していくことの重要性がますます高まっています。

DAIKENの強みと価値創造

大建工業は、木材を貴重な資源として有効活用し、社会に貢献することを目指し創業しました。創業以来、木材の弱点を克服し良さを引き出す技術や、木材を余すことなく使い尽くす技術を磨き、さまざまな機能を付与した素材・建材を開発してきました。木はその成長過程でCO2を吸収、炭素として固定し、また、マテリアルとして利用し続けることで炭素を貯蔵し続ける働きがあります。木材は再生可能な資源であることから、森林を適切に管理し、利用し続けるサイクルをつくりあげることにより、持続可能な社会の実現やカーボンニュートラルに貢献することができます。①適切に管理された木材の活用、②森林を守るための木材の活用、③余すことのない木材の活用、の3つの視点で持続可能な木質資源の活用を追求していくことで、社会的・経済的な価値を創出し続けていきます。

02 マテリアリティ「資源循環・循環型社会の実現」に向けた取り組み

国産木材の活用促進

SDGsアイコン 12 つくる責任 つかう責任
SDGsアイコン 15

耐水性に優れた特殊MDFで国産木材の活用を促進

社会課題・ニーズ

日本は国土の約3分の2が森林で覆われる世界有数の森林大国です。CO2の吸収や土砂災害防止など、さまざまな機能を果たす森林を健全に育てるため、国産木材の積極活用が求められており、政府は2025年までに木材自給率を50%に高めることを目指しています。

DAIKENの強みと価値創造 1

床材のトップメーカーとして培ったノウハウと、耐水性や表面の平滑性に優れたDAIKEN独自のMDFの技術を活かし、国産木材を用いた床基材の開発を進め、その後も改良を重ねてきました。2022年度は、世界的に木材調達環境が悪化する中、植林木と国産木材の調達バランスの見直しを行うことで製品の安定供給に努めたため、国産木材の利用率が45%に減少する結果となりましたが、引き続き国産木材の魅力を引き出す製品開発を進め、活用促進を図っていきます。

国産木材を用いた床基材の断面イメージ DAIKEN 独自の特殊MDFを国産木材の合板ではさんだ構造 床基材における国産木材の利用率 年々上昇しているが、2022年度は少し減少して約45%

木材硬化技術で国産木材の活用シーンを拡大

DAIKENの強みと価値創造 2

木材組織にプラスチックを注入・充填して硬化させるDAIKEN 独自のWPC※技術により、国産天然木を表面化粧材に用いた、優れた表面硬度を持つ床材の提供が可能になりました。国産樹種の多くは軟らかい材質であるため、床材として使用するには耐久性が低いことが課題でしたが、この技術を活かし、地域材活用のニーズにも応えながら、国産木材の活用の幅を広げていきます。

※ WPC:Wood Plastics Combination の略

WPC技術による地域材製品化実績は28都道府県 床の表面材にプラスチックを注入し、硬化 プラスチックの充填により、凹みや傷に強さを発揮

木質素材の新たな用途展開

DAIKENの強みと価値創造 3

国産木材の新たな可能性を模索する中で、木質繊維として活用するとの着想のもと、製材端材を解繊処理して植物の生育促進効果のあるフルボ酸を添加した土壌改良材「DWファイバー」や、木材から植物の生育を阻害する要因物質を無害化し、最適な栽培環境を整えることができる木質培地「グロウアース」を開発しました。これらの製品は、森林から切り出された木が培地となり、次なる植物の生育を助け、再び土に還るという資源循環を実現するとともに、土木・造園分野や農業・園芸資材分野に展開することで、国産木材の新たな用途展開にもつながっています。

グロウアース DWファイバー

03 マテリアリティ「資源循環・循環型社会の実現」に向けた取り組み

未利用資源の有効活用

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耐久性に優れた不燃素材による未利用資源の活用拡大

社会課題・ニーズ

日々の生活がより便利で豊かになる一方で、地球上の限りある資源やエネルギーは大量に消費され、天然資源の枯渇が懸念されています。これらの課題に対応するためには、再生産可能な資源や未利用資源の有効活用、廃棄物の削減など、持続可能な生産と消費の追求が不可欠となっています。

DAIKENの強みと価値創造

未利用資源であるシラス(火山灰)を主原料に用いて、従来の無機質素材では実現できなかった、軽量、高強度、防耐火などの性能を備えた世界初の新素材「ダイライト」を開発し、1997年から発売を開始しました。「ダイライト」は当初、住宅の強度を高める耐力面材が中心でしたが、現在は不燃性と意匠性を兼ね備えた壁材やルーバー材としても提案を行っています。未利用資源に価値を見いだし、用途を拡大することで持続可能な社会の実現に貢献しています。

「グラビオエッジ」、「グラビオルーバー」 自然界に存在する未利用資源「シラス」

04 マテリアリティ「ニューノーマル時代のユーザーニーズ」の充足に向けた取り組み

安全・安心・健康・快適な空間づくり

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生活空間の音環境改善

社会課題・ニーズ

時代の変遷とともに日常生活の中での音に関する課題が多様化しています。特にコロナ禍では在宅勤務やウェブ会議の増加により音漏れや反響防止などに対するニーズが急速に高まりました。

DAIKENの強みと価値創造 1

生活空間の快適さを追求する中で、1980年代から音響製品を手掛け、さまざまな音の課題に向き合ってきました。以来、40年にわたる技術とノウハウの蓄積により、遮音、吸音機能を持つ製品開発にとどまらず、最適な音環境を実現するための空間提案を行っています。昨今は、オフィスや店舗、医療施設などでも、音に関する新たな課題が顕在化していることを受け、各施設のニーズに応じた製品ラインアップの拡充を図っています。快適性を大きく左右する音の課題の解決を通じて、より心地よい生活空間を実現していきます。

楽器演奏に対応した防音室、防音室用天井材「オトテン」

高齢者と一緒に安心して暮らせる空間づくり

社会課題・ニーズ

先進国の中でも急速に高齢化が進んでいる日本では、4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えています。老老介護の社会問題化も懸念される中、年齢を重ねても安心して暮らせる生活空間が求められています。

DAIKENの強みと価値創造 2

これまでに培ってきた住空間の発想や技術を製品開発に活かし、高齢者の方だけでなく、家族や介助に携わる方も含めたすべての利用者の視点に立ったものづくりに取り組んできました。近年は、高齢者施設や在宅介護に配慮した住宅など、施設ごとに異なるニーズにきめ細かく対応できる仕組みを整えるとともに、安全性や機能性を兼ね備えた多彩な製品ラインアップを展開しています。

高齢者の方の暮らす住空間向け建材「おもいやりシリーズ」採用事例、高齢者との暮らしに配慮した業界初の開閉機構を採用した「ひきドア」

子どもたちが安全に過ごせる空間づくり

社会課題・ニーズ

女性の社会進出の増加に伴い、ますます重要性の高まる保育施設においては、施設が不足する待機児童問題に加え、より安全性の高い施設づくりや保育士の方々の負担軽減への対応も急がれています。

DAIKENの強みと価値創造 3

保育施設の中でも特にけがのリスクが高いドアまわりに求められる性能を徹底的に考え、これまでの住宅や高齢者施設向けのドアづくりで培ったノウハウを活かしながら、幼稚園・保育施設に特化した「おもいやりキッズドア」を開発しました。安全性や快適性の向上、さらには保育士の負担軽減に向け、保育施設に求められるさまざまな課題解決を独自の技術と多彩な製品でサポートしていきます。

おもいやりキッズドア 子どもたちの安全に配慮したドア 『キッズデザイン賞』受賞

耐震化・防災強化

社会課題・ニーズ

東日本大震災をはじめ、これまで幾度となく地震による被害を受けてきました。今後も南海トラフ地震などの巨大地震が高い確率で発生すると予測されており、政府も耐震化率の目標を掲げ、住宅や建築物の耐震化や防災強化を後押ししています。

DAIKENの強みと価値創造 4

これまで、鉱物繊維や未利用資源のシラス(火山灰)を主原料とする無機系の木造住宅用耐力面材「ダイライト」の開発により、日本の木造住宅の耐震性能向上に貢献してきました。また、耐力面材だけでなく、ダイライトが持つ特長を活かし、不燃性や防火性に優れた製品ラインアップを多数展開することで、防災強化も推進しています。当社の独自基材により、木造住宅や公共・商業建築物など、さまざまな生活空間の安全性向上を図っていきます。

ダイライト採用戸数(累計)2022年3月末時点100万戸→2023年3月末時点105万戸

抗ウイルス製品の拡充

社会課題・ニーズ

世界的な感染症の流行に伴い、健康や清潔な環境に対する意識が急速に高まっており、住空間や人々が集まる公共空間における衛生対策や安全性に対するニーズが広がっています。

DAIKENの強みと価値創造 5

2009年の新型インフルエンザの流行をきっかけに抗ウイルス機能に着目し、2011年に開発に着手。翌年、抗ウイルス機能「ビオタスク」として業界に先駆けて実用化しました。コロナ禍のニーズに対応し、抗ウイルス機能を付与した製品バリエーションを拡充するとともに、抗ウイルスのメカニズムから見直し、ウイルスへの脅威低減に貢献することを目指す取り組みも進めています。
※ビオタスク:抗ウイルス機能に対する当社独自の名称(当社登録商標)

抗ウイルス機能を付与したドアの写真、R&Dセンター 微生物測定室

緑あふれるコミュニケーションスペースの創出

社会課題・ニーズ

コロナ禍によるライフスタイルの変化に伴い、屋外で密を避けながら楽しめる家庭菜園が注目される中、都心部では貸し農園などが不足している状況にあります。また、空きスペースを活用した屋上菜園なども広がりを見せているものの、使用する土の質量が重く、建物の耐荷重制限などから、導入できる物件が限られるという課題がありました。

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土壌と比べて軽量で、手が汚れにくく、燃えるゴミとして廃棄できる手軽さが魅力の国産木質培地「グロウアース」を使用し、ビルの屋上などで手軽に野菜が栽培できる菜園システム「みんなのエコ菜園」の提案を、2023年4月から開始しました。「都市部で手軽に植物を育てる」という“ コト” 提案を通じて、人が集まり、緑あふれる開放的なコミュニケーションスペースの創出を目指します。

屋上菜園(イメージ)、国産木質培地「グロウアース」

05 マテリアリティ「ニューノーマル時代のユーザーニーズ」の充足に向けた取り組み

省施工製品及び工法の開発

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省力化工法の開発により天井耐震化に貢献

社会課題・ニーズ

建設業界における人手不足が深刻化しています。一方で東日本大震災後の建築基準法改正では、大型公共建築物などの天井に、より高い耐震性能が求められる中、一般的な在来天井の耐震化には大きな施工手間がかかるという課題がありました。

DAIKENの強みと価値創造

東日本大震災以降、特に、大型公共建築物等の天井耐震化のニーズに応えるため、省施工・短工期で耐震化が可能な独自の天井工法「ダイケンハイブリッド天井」を開発しました。この工法により、在来天井を耐震化する場合に比べ、約25%の施工手間を削減することが可能となりました。さらに、災害時には避難経路となる廊下専用の天井システム「マモローカ」も開発しました。
天井に限らず、リフォーム用建材などでも新たな工法の開発という切り口で、さらなる省施工の実現を目指していきます。

在来天井の耐震化と比較したダイケンハイブリッド天井の施工手間削減率 約25%