今さら聞けない とは? 注目の背景とポイントを解説

木質化

国も推進している内装木質化。内装に木質材料を使った事例も増えています。木の良さはなんとなく理解しているものの、「推進される背景」や「内装木質化の効果」については分からない、という方も多いのではないでしょうか。内装木質化のポイントを解説します。

そもそも内装木質化とは?

「内装木質化」とは、建築物の新築・増築・改築・模様替えに当たり、天井や床、壁、窓枠などの屋内や、外壁などの屋外に面する部分に木材を利用することを言います。混同されがちな「木造化」は、建築物の構造耐力※上の要となる壁・柱・梁・桁・小屋組みなどのすべて、または一部に木材を利用することです。

※構造耐力とは、建築物にかかる垂直・水平方向からの力(重力・積載荷重・地震力など)に耐える力のことを指します。

なぜ、今木質化?

なぜ、今木質化?

1,国が「木材利用」を推進

現在、日本政府は脱炭素社会に向けて建築物における木材の利用を進めています。木は成長の過程で空気中のCO2を吸収するので、燃やさない限り、炭素を体内に貯蔵しておくことができます。そのため、あらゆる建築物の構造材・外装材・内装材などに木材を使用することで、温室効果ガスの削減に貢献することができるのです。また、木材の持つ調湿性や心身のストレスを軽減する効果を利用した快適な生活空間の形成や、木材利用の発展に伴う林業や木材産業の持続化も目的としています。

2,特に公共建築物への利用を促進

住宅・非住宅含め、すべての建築物における木材利用が進められていますが、特に公共建築物において積極的に促進されています。公共建築物に木材を利用することで、周囲の建築物への波及効果を狙うためです。国や地方公共団体等の公共建築物の整備については特別な事情がある場合を除き、木造化するか、木造と非木造を一体化した構造の採用に努める必要があります。木造化が困難な場合には内装等の木材利用「木質化」を進めることが求められます。

3,公共建築物の木材使用を推し進める法律の改正

平成22年「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」制定以降、農林水産省と国土交通省は、公共建築物の木材利用を促進してきました。成果も上がっていましたが、民間建築物における木造率は低いままだったため、国会は令和3年に法律改正し、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」と名前を変え、法の対象を公共建築物だけでなく建築物一般にまで拡げたのです。上記により、脱炭素に向けてさらに加速することが期待されています。

参考:林野庁 改正公共建築物等木材利用促進法

内装木質化のメリットは?

内装木質化することで、木材の持つ心理的・身体的なストレスを緩和する効果や、調湿作用・抗菌作用を生活空間に取り込むことができ、快適な生活空間を実現できます。また、上記のような特長から、利用者が長く滞在する傾向にあり、経済効果や企業ブランディングにつなげることができるでしょう。

1,心理面の効果

心理面の効果

内装木質化した空間で過ごすと、リラックスや癒し効果が見込まれます。木の持つ温かな印象で落ち着く方も多いはず。さらに、地元の木を使うことで建物自体に愛着がわいたり、モチベーションや積極性を高めたりする効果もあります。

2,身体面の効果

身体面の効果

内装木質化した空間で過ごすことは、身体面にも効果があります。具体的には、免疫力のアップやリフレッシュ作用などです。また、足元が滑りにくくなり、足腰への負担も軽減されます。良質な睡眠を引き出してくれる点も内装木質化が身体面に与える効果の1つです。

3,衛生・健康面の効果

衛生・健康面の効果

内装木質化することで、室内の湿度を調整してくれます。これは、木材の湿気を吸収・放出する働きのためです。また、消臭や抗菌に加えて、ダニの防除効果もあります。内装木質化することで、室内の衛生環境や健康面にも良い効果が生まれるでしょう。

4,経済面の効果

経済面の効果

内装木質化した空間で過ごすと、来訪者の滞在時間を延ばす効果があります。また、空間の居心地が良いと来訪者自体が増えることも。来訪の際に企業理念のPRができるため、ブランド力アップにも繋がります。また、居心地の良い空間を作ることは働き手の人材不足の解消にも一役買ってくれるでしょう。

内装木質化するために押さえておきたいポイント

1, 内装制限

建築基準法により、病院やホテル、映画館など不特定多数の人が利用する建築物には、壁・天井・柱・扉など床以外の内装に対して防火材料の使用が義務付けられています。防火材料には不燃材料・準不燃材料・難燃材料の3タイプあり、建物の種類や規模、地域によってどれを使用するか定められているのです。内装木質化を進める際も、内装制限には注意しましょう。

2, 耐久性やメンテナンス性

住宅と異なり、多くの人が利用する施設では過酷な使用環境を想定しておく必要があります。木材は、金属やタイルなどに比べて柔らかく傷つきやすいため、耐久性の高い建材を選ぶことが大切です。例えば、DAIKEN独自のWPC加工を施した床材は、表面に突板を使用しながらも、土足用に使用できるほど衝撃に強く、ピンヒールや摩擦による傷がつきにくい点がポイントです。

今後も検証が必要「内装木質化の効果」

以上のことから、内装木質化の重要性が分かっていただけたと思います。しかし、ただ木質材料を使用するのではなく、その効果を科学的に検証することが求められています。
DAIKENは創業以来、限りある資源の有効活用を通じて、サステイナブルな社会に貢献するため、木材の積極的な活用を推進するとともに、木材の特長を活かした快適な空間づくりを追求しています。
その取り組みの一つとして、実際に働く場所で収集したリアルな声やデータを元に、内装木質化の様々な検証や実証実験に取り組んでいます。

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