【第4回】設計前におさえておきたい「庁舎や公共施設の作業環境」について考える

ここまでは、地域の利用者が庁舎・公共施設へ感じる課題や愛着度についていくつか参考になるデータをご紹介しました。では、実際にこれらの施設で働く公務員行政職の方たちは、自分達の室内・作業環境についてどのように感じているのでしょうか。

●1/4以上の方が室内・作業環境に不満を抱えている

役所・役場などで働く公務員行政職※の方へDAIKENが独自調査を実施。お勤め先の室内環境・作業環境の満足度を聞くと、27.1％が不満を持っていることがわかりました。
※公務員行政職：行政に関わる一般事務に携わる公務員のこと

●空調、トイレ、収納スペースの少なさについての不満が目立つ

続いて不満に思っていることについて聞くと、「エアコンの効きが悪い」との回答が39.3％、次いで「トイレが古くて暗い」27.1％、「狭くて収納に苦労している」が24.3％と続きました。他にもバリアフリー、音漏れ、衛生対策などに不満の声が挙がっています。

●約1/3の方が空調設備の改善を求めている

あると望ましい設備については79人の公務員行政職の方から回答があり、約1/3の方が空調について言及しています。

＜空調設備…24人＞
エアコン（20代～60代の男女9名）
サーキュレーター、扇風機（0代～60代の男女8名）
空気清浄機、加湿器、除湿機（30代～60代の男女7名）
廊下の空調設備（60代男性）

＜レイアウト、広さ…8名＞
部課ごとの部屋（50代男性）
背面の椅子との間隔が十分にある（50代男性）
広い室内空間（50代男性、60代男性）
パーテーション（50代男性、60代男性）
職場全体を見通せるレイアウト（20代女性）
窓（20代女性）

＜リラクゼーション関係…6名＞
コーヒーメーカー、ウォーターサーバー（20代男性、50代男性、60代男性）
音楽（60代男性）
観葉植物（60代男性）
休憩スペース（50代男性）

＜トイレ…4名＞
消臭機能つきトイレ（30代男性）
シャワートイレ（60代男性×3名）

＜ネット環境…3名＞
業務用無線LAN（30代男性×2名、50代男性）

＜照明…2名＞
明るさ（30代女性）
LED照明（60代男性）

＜その他…7名＞
自動整理券（40代男性）
老朽化対策（60代男性）
抗菌対策（20代女性）
ロボット型掃除機（40代男性）
食堂（30代女性）
換気対策（20代女性、50代男性）

●約半数の方が利用者から不満の声を聞いた経験あり

また、施設利用者から不満の声を聞いたことがある公務員行政職の方は46.7％。約半数にのぼることもわかりました。

●利用者も空調、トイレ、そして設備の古さについて不満あり

利用者からの不満を聞いたことがあると回答した方から実際に届いた声を拾うと、「エアコンの効きが悪い」が64.0％、次いで「トイレが古くて暗い」40.0％、「設備が古くて使いづらい」が38.0％という回答でした。他にもバリアフリー、段差で転倒、ニオイ、プライバシーなどに不満の声が挙がっています。

実際に働く方も利用する方も最も多い不満はエアコンの効きが悪いことや、換気が悪いことなどの空調についてでした。小さな子どもや妊婦の方、ご高齢の方なども多く利用する場所だけに、昨今の猛暑やコロナ対策を鑑みても、空調設備を改善して快適な空間を整えることが望まれます。

●作業環境を改善し、質の高い公共サービスに繋げる

アンケートの回答より、空調設備や見通しの悪いレイアウト、トイレ周り、さらには音漏れやバリアフリー、衛生対策について改善を希望する公務員行政職が多いことが分かりました。地域の方から様々な声を受け止めることの多い立場ゆえ、少しでも気持ちよく働ける環境を整えることは大切なこと。室内・作業環境の改善は、質の高い公共サービスを提供することにも繋がっていくのではないでしょうか。